ハチャトゥリアン楽団ニューアルバム「ホームタウン」に込めた思い。
2022/4/22(金)は、僕がやっているバンド、
「ハチャトゥリアン楽団」の4枚目のアルバム、
「ホームタウン」
のリリース日だ。
(記事の末尾に入手方法が載っています)
アルバムをリリースすると大抵の場合、
音楽関係者は「おめでとう」と言ってくれる。
正直な話、
今までの3枚をリリースしたときにいただいた「おめでとう」と、
今回のアルバムを出すときの「おめでとう」では、
受け取り方がかなり違う。
今まで思っていなかったわけではないけれど、
今回は「本当にめでたいな」と強く思う。
何故だろう。
それは今回のアルバム「ホームタウン」が、
現状間違いなく僕が作った作品の中で最高傑作であり、
今までの3枚とは、録音方法、関わってくれた人の数、かけた時間、
色んなことが全く違うからである。
今までのアルバムを気に入って聞いてくれている人には感謝しかないが、
今回のアルバムは全く違うバンドの作品だと思ってもらってもいい。
もちろん面影は沢山あるけど、
前作の「マカロニチーズ!」をリリースした2019年から、
バンドの個人個人やそれを取り巻く環境が、
めちゃくちゃ成長し、変化し、進化したのだと捉えてくれたらこの上なく嬉しい。
今までとは何が違うのか。
まず第一にあげられるのが、
「ぶどうレコード」
からリリースするという点。
彼らとの出会いは、話せば長くなるので割愛するが、
同年代の、気の良い音楽ラバー達の集まりで、
しかも少数精鋭とはこのこと!
全員が一人一人、とてつもなく自分の役割に関して優秀なんである。
こんな人たちと一緒にアルバムを作ったら楽しいだろうなぁと、出会った瞬間に思った。
ちなみに、今までの3作は、程度の差こそあるが、
ほとんどバンドだけで作っていた。
自分達でスタジオを抑え、
その日初めて会うエンジニアさんにイメージを伝え、
2、3日で録音。
録音中も、バンドメンバー同士だけで、
「もうちょっとこうしよう」、「あそこだけ録り直そう」みたいなことを言い合いながら作る。
もちろん自分たちが演奏しながら。
端的にいうと、第三者の意見がない。
決してこの方法が悪いと言っているのではないのだけれど、
これが意外と、というか、とてつもなく疲れる。
脳みそがふにゃふにゃになる。
向き不向きだなぁ。僕には向いていなかった。
プロデューサーと、ディレクターと、アレンジャーと、エンジニアへの指示と、マネージャーと、作詞作曲と、演奏を全部やるわけだから。(ケータリング買ったりするのも結構大変なんだよね)
更に、
良いか悪いか、はさておき、
僕自身その全ての役割において、バンド内でどんどん自分のパーセンテージを上げていってしまった。
出来上がったものにはもちろん納得していたし、今でも全て大切な作品だ。
だけどこの、
「究極のワンオペ方式」
が、
頭うちになっていたのも事実。
そんな時にぶどうレコードと出会った。
音源化したいオリジナル曲も溜まっていたし、
なにより気があったし、
ぶどうレコードからニューアルバムをリリースすることを、
出会って1時間くらいで決定した。
彼らとはレコーディング開始までの期間、色々なことを通じて、
「友達」、「仲間」になっていき、
なんでも言い合える仲になった。(と、思っているのが僕だけの可能性もないではない)
だから、「ホームタウン」を制作している時間はとっても楽しかった。
リラックスしながら、色んな意見を出し合い、笑いながら作品が出来上がっていった。
ぶどうレコードがいてくれたから、
僕らはミュージシャンとして、集中して1曲1曲と向き合っていけた。
これで良くないものができたとしたら、僕自身の楽曲や歌が良くないのだろうとすら思うくらいに、最高の環境だったと思う。
今までの僕は「作品を作る」ということにちゃんと向き合えていなかった。
いや、何にもわかっていなかった。
「ひとり」でやるもんじゃない。「みんな」でやるもんなんだと、恥ずかしながら初めて気がついた。
お金や時間や労力をケチってはいけない。妥協してはいけない。
何度も言うが、今までの3作品が、「ダメ」だと思っているわけじゃない。
今回が「めちゃめちゃ良い」のだ。
2つ目の今までと違うところは、
僕の大好きな、
「ポップミュージック」
を作ったということ。
我々「ハチャトゥリアン楽団」は、
ニューオーリンズジャズ、トラディショナルジャズ、と言われる音楽をルーツにもつバンドだ。
僕やドラムスの三輪は、日本で言えばそのあたりの専門家なこともあり、
長きにわたって、トラッドジャズや、そういった雰囲気のオリジナルソングを演奏してきた。
先に言っておくが勘違いしないで欲しい。
「僕はニューオーリンズミュージック、そしてトラディショナルジャズが大好きだ」
だけど、日本におけるその立ち位置や、
「ジャズ」自体の敷居の高さ、
そして「ジャンル」に押し込められることの窮屈さ、
にずーっと苦しみながら活動してきた。
丸山=バンジョー=ニューオーリンズ
という、自分で作ってしまったのであろう、
「イメージ」
から、純粋に楽曲や歌や歌詞を聴いてもらえていないというストレスを感じることも少なくなかった。
「シンガーソングライター」
としてもっと評価されたかったのだと思う。
「わかってもらえない」という被害妄想から、なんとなくクサっていたような気もする。
これ、ホントにほとんどが被害妄想で、
単純に自分の腕や行動力が全く足りてなかっただけなんだけど。
そんな中、
「コロナ禍」
が訪れた。
演奏すること、旅をすること、飲みに行くこと、
生き甲斐を奪われた僕は、
今までやったことのない、体を鍛えたり、歌の練習をしたりすることを始めた。
いつかくるその時、のためにゆっくりと「準備」をしようと思ったからだ。
そうしたところ、今まで自分を苦しめていたこと、
納得がいかなかったこと、がだんだんどうでも良くなってきた。
どんどん考え方がシンプルになっていったんだと思う。
「ルサンチマン」から少しずつ解放されていった。
「良い」とか「好き」とか、そういう感情だけでやれば良いじゃんかと。
ニューオーリンズも好きだけど、
J-Popも好きじゃん。いや、むしろJ-Popのほうが長いこと好きじゃん。
じゃあ次回作はポップに作ろう。
てな具合で、「ホームタウン」のコンセプトは初めから「ポップ」だった。
色んな意味があるのだろうけど、
僕にとっての「ポップ」は、幅広い人に理解しやすく、楽しいことだ。
そこに少しだけ「切ない」というスパイスをふって出来上がったのが今回の「ホームタウン」だ。
今までの作品は、「ルーツ」つまり僕にとっては「トラディショナルジャズ」とか「ニューオーリンズ」を強く感じる作品だったと思う。
ここでいう「ルーツ」というのは、
「音楽を演奏する方法」
だと思ってもらうとわかりやすいのかもしれない。
血でも骨でもない、「技法」や「知識」
だ。
これはとてつもなく大事なものだし、これがなかったら音楽演奏、制作はできないと思う。
だけど今回のアルバムは、
僕の血となり骨となっている、
「音楽好きだなぁ」と思ったあの感動
を作品にしたかった。
高校生の自分が、
「このアルバム好きだなぁ」と思うような作品を作りたかった。
今までのアルバムや活動は、
「バンジョーやニューオーリンズに対する気持ちや感謝」
だった。
今回のアルバムやこれからの活動は、
「自分が聞いてきた音楽自体への気持ちや感謝」
なんだと思う。
3つ目は、
アルバムタイトルに込めた気持ち。
今までの3作品のタイトルにはあまり意味はない。
ちょっとしたエピソードや理由はあるけど、
なんとなくキャッチーな言葉を選んでつけていた。
アルバムが完成に近づいたとある日、
ぶどうレコード社長、鈴木裕太郎が、
「アルバムタイトルどうしましょうね」
と言った。
「あぁ、そーいえばそれも決めなきゃね」
くらいに考えていた僕は、その場でいくつか案を出した。
でも、全然、
「それいいですね!」
という反応がない。
こーゆー男なのだ。
納得するまで求めてくる。
「そうかぁじゃあちょっと真剣に考えないとなぁ」
と思った僕は、そこから何日か考えた。
このアルバムをどんな人に聞いてほしいか。
どんな場所で聞いてほしいか。
なにを感じてほしいか。
聞きながらどんなお酒を飲んでほしいか。
そんなことを考えていたら、ある言葉が脳裏をよぎった。
「ふるさと」
僕には故郷がない。いや、川崎市というまぁまぁ好き(と言っておこう)な地元はあるし、そこに実家もあるのだけれど、盆や正月にいわゆる「帰省」をするような故郷がない。中高一貫の私立高校に行っていたのもあって、同窓会とかを地元で開くこともない。そもそもみんなバラバラの場所に住んでいたから。
それをなんとなーく寂しく思っていたりもした。
でも今は違う。
僕には沢山の「ふるさと」があるからだ。
旅暮らしのおかげで、色んな場所に何度も行ったりする。
回を重ねてくると、お客さんの中から、
「おかえりなさい」
と言ってくれる人が出てくる。
これがめちゃめちゃに嬉しい。
そんな場所が僕には何箇所もある。幸せなことだ。
そして魂の故郷「ニューオーリンズ」もある。
そんな思いから、
「ホームタウン」
というタイトルをつけた。
今後、大腕を振って旅ができるような状況になるのかはわからないけど、
全国、世界各地、そしてまだ見ぬ「ホームタウン」にこの作品を届けたいと強く願う。
このアルバムが、
1人でも多くの人に届きますように!
最後まで読んでくださった奇特な方、
ありがとうございます。
是非いつでも我々のライブに足を運んでくださいね。
2022/4/21 丸山朝光
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