連結仕訳:どこまでシステムで自動化すべきか
前回までの流れを一旦振り返ります。
まず、「会計ビッグバンで爆誕した連結会計:何が変わって何が変わっていないのか」の記事にて、連結財務諸表の作成方法はずっと変わっていないという話を書きました。そして「連結F/Sざっくり作成方法①」と「②」にて、連結範囲を決めて→各社の試算表を合算して→連結仕訳を計上して→連結CF作る、という超ざっくりな(連結キャッシュ・フロー計算書はほぼ説明してない)流れを書きました。
続いて連結キャッシュ・フロー計算書をテーマにして書いていこうかと思ったのですが、、、その前に結/YUIの大きなテーマでもある「単純作業と専門的な論点を分ける」という話について触れたいと思います。
「ちょうどいい」連結会計ソフトとしている中で、使いやすさを追求しつつ、難しくなりすぎないように機能開発をしていますが、その際に特に気を付けている部分となりますのでぜひご覧ください。
1.単純作業はシステム化、専門的な論点は人が行う
結/YUIは、「Excel連結」と「既存システム」の間に位置するような「ちょうどいい」連結会計ソフトという立ち位置をとっています。意味合いとしては「クラウドで実現する「ちょうどいい」連結会計:結/YUIの紹介」に記載のとおり、初めての連結や最初にシステム化するのに「ちょうどいい」連結会計ソフトとなります。
それでは機能面ではどうでしょうか。「ちょうどいい」中間くらいの機能ということではなく、明確に方針をもって開発しています。具体的には、以下の3つの種類の作業の「単純作業」の部分を結/YUIが請け負うという方針です。
単純作業
専門的な判断を伴う単純作業
専門的な判断をするための単純作業
「1.単純作業」は、例えば各社の試算表の単純合算の作業です。その手前の連結範囲の検討は専門的ですが、範囲が決まった後の「単純合算」の作業は何も考えずに手だけ動かす作業となります(連結科目への集約含めて)。
「2.専門的な判断を伴う単純作業」は、例えば「開始仕訳」が該当します。この仕訳は翌期に繰り越すのか、洗い替えるのかといった判断を連結仕訳ごとに判定するのは専門的な判断を伴います。そしてその結果を受けて翌期に繰り越す作業はシステムが行います。この繰り越す部分が単純作業なのでシステムが行います。
「3.専門的な判断をするための単純作業」は、例えばあるべき残とのチェックはシステムが行って、出てきたエラーに対して修正すべきか判断するのは人、であったり、月次推移の加工作業はシステムが行って、その結果を受けて増減分析するのは人、といった内容です。
2.連結仕訳のシステム化(自動化)はどう考えるか
では連結仕訳は上記方針に従って考えるとどうなるでしょうか。これは仕訳種別によって異なりますが、例えば内部取引の相殺消去で考えます。この場合、
・各社から内部取引をAPI連携して持ってくるのは「システム」
・照合ルールの設定は『人』
・照合ルールに基づく照合作業は「システム」
・照合差額について判断するのは『人』
・照合差額の判断結果に基づいて連結仕訳を計上するのは「システム」
となります。
また、投資と資本の相殺消去の仕訳については、
・仕訳を考えるのは『人』(別途検討資料をExcel等で作成)
・連結仕訳を一番最初に計上するのも『人』(Excelインポートは可能)
・そして計上された仕訳を翌期以降に繰り越すのは「システム」
といった形になります。
例えば、投資と資本の相殺消去の仕訳までシステムが作れるようにしてしまうと、システムで処理される内容に専門的な論点まで含まれてしまうため、システムで作成された仕訳自体の検討が別途必要になってきます。そうすると、結局人が考えて、検討結果を入力した方が、後々の監査法人によるチェックも考えると効率的となることが多いです。
上記の通り、連結仕訳についてどこまでシステムで自動化すべきか、という話については、連結仕訳のうち単純作業のみをシステムで巻き取っていく、という回答になります。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。キャッシュ・フロー計算書の前に軽く1つ記事を、と思ったのですが軽くはなかったですね。。ただ、結/YUIの開発方針についての重要なお話でしたので、この機能は結/YUIでは実装されないの?と思った場合にふと思い出していただけると幸いです。
次回はいよいよキャッシュ・フロー計算書について、難しくなりすぎずシンプルに書きたいと思います。
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