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Jensen Huang 日本講演続き9・SoftBankとの協力で日本全土に5GAI を展開・エッジ化
AIファクトリーについてお話しします。これはNVIDIA DGXを基盤に構築され、来年初頭には稼働を開始します。このAIファクトリーの性能は25エクサフロップスに達する予定です。参考までに、世界最大のスーパーコンピュータでも最近ようやく1エクサフロップスを達成したばかりです。このAIファクトリーは、AIを生み出すためのものですが、そのAIを配信するためには、SoftBankがNVIDIAのArialを統合します。Arialは、先ほど説明したように、CUDA上で5G無線を動作させるエンジンです。
これにより、無線コンピュータ、ベースバンド、AIコンピュータを統合し、従来の5G RAN(無線アクセスネットワーク)から、AIによって進化したAI RANに再構築することが可能になります。この新しいAI RANは、音声、データ、ビデオだけでなく、将来的には**知能(インテリジェンス)**という新しい情報も運ぶことができるようになります。
SoftBankとの協力で日本全土にAIを展開
このAI RANは、SoftBankの20万拠点に展開され、日本全国の5,500万人の顧客にサービスを提供します。AIファクトリーがAIを生産し、AI RANがAIを配信するのです。また、これに加えて、SoftBankが開発したAIやサードパーティが開発したAIを、55万人の顧客に提供するためのAIストアも設ける予定です。NVIDIA AI Enterpriseプラットフォームを基盤に、これらのアプリケーションが構築され、新しいAIストアを通じて誰でもAIを利用できるようになります。
この結果、日本全土を網羅するAIグリッドが形成されます。このAIグリッドは、インフラストラクチャの一部として非常に重要なものになるでしょう。工場や道路が物資を生産・配布するためのインフラであり、エネルギーや通信が情報を流通させるためのインフラであるように、AIグリッドもまた新しいインフラの基盤となります。
インフラの進化と新たな産業革命
新しいインフラを構築するたびに、新しい産業や企業が生まれ、新たな経済的機会と繁栄が生まれます。もし道路や工場がなければ、産業革命は起こらなかったでしょう。また、エネルギーや通信がなければ、IT革命もなかったはずです。各インフラの進化が、新しい可能性を切り開いてきました。そのため、SoftBankと協力してこれを日本で実現することは、私にとって非常にエキサイティングなことです。宮川さんのチームの皆さん、ここにいらっしゃるかと思いますが、一緒に取り組めることを本当に嬉しく思います。これは通信ネットワークをAIネットワークに変革する、世界初の試みです。
AIの新たな応用事例
では、いくつかの具体例をご紹介します。
自動車とAIの連携
今、私は無線基地局の下に立っています。自動車のカメラからの映像が無線基地局にストリーミングされ、その基地局にはAIが搭載されています。この基地局にはビジョンインテリジェンスが組み込まれており、車が見ているものを認識し、理解することができます。このAIモデルは車内に搭載するには重すぎるかもしれませんが、基地局内であれば十分に処理可能です。車から基地局に送られた映像をもとに、周囲の状況を理解し、車が直面している問題を判断することができます。これはAIをエッジで活用して安全性を向上させる例の一つであり、まるで自動運転車の航空管制のような役割を果たします。このコンセプトは、他にも様々な応用が可能です。
工場のAI化
次に、工場の例です。工場内には多数のカメラが設置されていますが、それらのカメラからの映像が無線基地局にストリーミングされます。この工場は、AI RANとAIモデルを活用して、まるでAI化された工場のように機能します。工場に対して質問を投げかけることができ、たとえば「何が起きているのか?」「事故は発生していないか?」「異常はないか?」「今日の作業に怪我人はいたか?」といった質問に対して、AIが答えてくれます。このようにして、工場そのものがAI化され、日々のレポートを生成することも可能になります。
新しいAI産業革命の幕開け
このようにして、私たちは物理AIとデジタルAIの両方を活用して、次の産業革命を推進しています。企業はAIを活用して従業員の生産性を向上させ、さらに製品やサービスの価値を高めることができます。
未来の自動車産業では、2つの工場を持つことになるでしょう。一つは車を製造する工場、もう一つは車に搭載するAIを生産する工場です。これがロボティクス革命であり、世界中で急速に進行しています。そして、この変革をリードする国として、これ以上にふさわしい国はないと信じています。