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アナスタシアさんがIBMのAIチップ、量子コンピューターについて解説してい

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IBMは最近、メインフレームコンピュータの次世代に向けて開発された2つの新しいAIチップを発表しました。
これらのチップも最初は研究プロジェクトとして始まりましたが、いよいよ実際のメインフレームシステムに搭載されることになります。動画の最初でIBMのメインフレームについて触れましたが、今でもIBMはメインフレームを製造しており、世界中のあらゆる銀行のトランザクションを処理しています。

今回発表された2つの新しいチップ、「Talon II」と「Spire」は、IBMの次世代Zメインフレームシステム「Z17」で使用される予定です。

Talon IIプロセッサは、汎用コンピューティング向けのメインプロセッサであり、専用のAIコアを搭載しており、AI推論タスクを加速させるために1秒間に24兆回の演算を行うことができます。このプロセッサは特にクラウドベースのAIに役立ちます。

さらに、IBMは「Spire」と呼ばれるAIアクセラレータチップも開発しました。SpireはTalon IIプロセッサを補完し、AIの処理能力をさらに向上させます。

このチップの科学的な詳細に入る前に、IBMの最新の動向についても簡単に触れておきます。

最近では、AI ASIC(特定用途向け集積回路)が非常に注目されており、Spireチップもその一例です。このAI ASICは、チップの全領域が行列積加算操作に専念しており、事前にトレーニングされたニューラルネットワークモデルを実行して、言語処理や画像認識のようなタスクの予測を行います。

AI ASICの利点は、アルゴリズムを回路レベルで実装することで、速度と効率が劇的に向上する点です。
例えば、GPUと比較すると、専用のASICは速度を10倍から100倍向上させることができます。Spireチップは、26ビットのトランジスタを使用し、32のコアと各コアに2メガバイトのメモリを搭載しています。

Talon IIおよびSpireの両チップは、Samsungの5ナノメートルプロセス技術で製造され、2025年に利用可能となる予定です。

これらのチップは、ハイブリッドクラウド環境でAI推論ワークロードに使用される予定です。

例えば、金融業界における膨大なトランザクション量を処理します。1日に約3000億件のAI推論を処理することができるため、IBMのクライアントにより良いインフラを提供するための投資となっています。

IBMは、AI推論にとどまらず、メインフレームシステムを使ってAIモデルの微調整やトレーニングも行うことを視野に入れています。

次にIBMの株価の動向に関してですが、IBMは現在非常に多くのことを手掛けているため、その動きを把握するのが難しくなっています。
IBMは4つのビジネスセグメントで事業を展開しており、ソフトウェア、コンサルティング、インフラストラクチャ、ファイナンスの4つです。

IBMの収益の43%はソフトウェアセグメントから来ています。この中には、ハイブリッドクラウドやデータ、AI自動化、トランザクション処理、セキュリティに関する大規模なソフトウェアスタックが含まれており、今年も強い成長を見せています。特にハイブリッドクラウドが非常に好調であり、世界のトランザクションの約70%がIBMのハイブリッドクラウドを介して行われています。

さらに、コンサルティングセグメントもIBMの収益の32%を占めており、こちらも順調に成長しています。IBMは、2012年にPwCのコンサルティング部門を買収し、コンサルティング能力を大幅に強化しました。今日、IBMのコンサルティングは、顧客に技術を活用したビジネス改善を提案し、それを自社のインフラを用いて実装・管理するという形で成功を収めています。また、インフラストラクチャ部門も全収益の24%を占め、こちらも成長しています。

IBMはAIにも大きな焦点を当てており、特に「Watson」プラットフォームを通じて、自然言語処理を活用してデータを分析し、企業がより良い意思決定を行うための洞察を提供しています。

これもサブスクリプションベースのモデルで提供されており、ヘルスケアから顧客サービス、金融に至るまでさまざまな分野で利用されています。

IBMの全体像を見てみると、ハードウェアやトランジスタ技術に注力するIntelのような伝統的な半導体メーカーと比較して、IBMの収益源はより多様化しています。

ソフトウェアやサービスは資本集約的ではなく、利益率も高いです。さらに、IBMはハードウェア、ソフトウェア、クラウド管理ツールまで、技術の全スタックを所有していますが、自社でチップを製造していない点が唯一の違いです。これも非常に資本が必要なため、合理的な選択と言えます。

最後に、IBMの研究開発の取り組みにも触れますが、IBMは量子コンピューティングにも積極的に投資しており、最近「Quantum System 2」という量子中心のスーパーコンピュータを発表しました。

このシステムは古典的コンピューティングと量子処理を組み合わせ、量子の脆弱性やエラーを古典的なマシンで補正するというものです。
IBMはこのシステムを2030年代に100,000キュービット規模にまで拡張する計画を立てており、Watson AIを使って量子アルゴリズムを開発しようとしています。IBMが量子プロセッサを持つスーパーコンピュータをトップ500リストに載せる瞬間が訪れるのが楽しみです。

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