49.熱帯建築家: ジェフリー・バワの冒険
今日は、隈 研吾 (著), 山口 由美 (著)の『熱帯建築家: ジェフリー・バワの冒険』です。
ジェフリー・バワ設計の建築や彼の生い立ちなど、バワについての情報量がバランスよく盛り込まれており、写真も豊富に使われているので彼について知りたい方にはオススメできる一冊でした。
著者の考察、バワ建築の14のホテルの写真と説明、バワの生涯というような構成になっています。
この本で分かること
「ジェフリー・バワ建築や彼の生い立ち」
読む目的
「自然や外部と内部のあいだをうまく使うジェフリーバワについて知るため」
私は自然や建物の外と中のあいだの空間に興味があり、(私の生い立ちが影響していると考えています)、そういった建築を作っていた人がいないか探していた時に、半田悠人さんのInstagramでジェフリーバワという建築家の存在を知りました。
半田さんもジェフリーバワについて敬愛する人物だと表現しており、このことも興味を持つきっかけになりました。
このブログでは、建築設計を軸に世の中により豊かな瞬間を増やす為に、2025年から空間づくりを学びに再進学する予定の一般会社員が将来、活躍していく為に学んだことを記録しています。
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庭の時代
バワ建築といえば自然を活かした空間や庭の存在ですが、そもそも庭という概念はどのように作られていったか、隈研吾のインタビューで語られています。
かつてのイギリス人はいくらいい建築をつくろうとも、所詮庭の上のパビリオンだという意識が芽生え土地所有の明確化、エンクロージャーの時代が始まったのです。
そして、価値ある自分の土地を美しく飾りたいという思いが始まり、十八世紀の風景式庭園がはじまったのです。
二十世紀においても、同じ転換があり、モダニズム建築が「建築の時代」を牽引し、その後「庭の時代」が訪れたのです。そのきっかけを作ったのが、アメリカの建築家、フィリップ・ジョンソンであるみたいです。
ジョンソンはミースのアメリカ化ではなく、ミース建築を「庭園化」した。
ガラスの家は二十世紀建築における決定的な転換点を示しているとのこと。
そして、このガラスの家は駄作であると言われています。
理由は、庭という圧倒的な価値を見せる為の装飾物としての建築であって、あくまで装飾品のような役割をしているのです。
ここでジョンソンのあとに、「庭の時代」を決定的にしたのがバワであると隈研吾氏は言及されており、ジョンソンはアメリカにいたことでモダニズム建築的な数学や建築をという制度から抜け出すことができなかった。
だが、バワは法律を学び弁護士であったし、建築は趣味としてはじめ、スリランカという西欧ではない国にいたので、建築の「外」にいた人間であったため、「建築の時代」に終止符を打てたのだ。
ジェットウイングライトハウス
このホテルで有名なのが、この海が眺めながら食事も可能なエリアである。
ヘリタンスカンダラマ
バワの建築のほとんどがビーチリゾートにあるが、唯、ヘリタンスカンダラマは内陸部に位置しており、木々の豊かな岩山と同化するかのように建っている。
ジェットウイングラグーン
1階部分は、壁のないオープンなスペースのリビングとなっており、バワの建築ではリラックスできるスペースを屋外に設けるということが多いみたいです。
ベントータビーチホテル
ベントータという地域にはバワの初期作品が集中するエリアで、彼の建築家としての方向性を決定ずけた代表作が、ベントータ・ビーチ・ホテルです。
ここのホテルはプールサイドからの外観が圧巻です。
アヴァニベントタリゾート&スパ
ヘリタンスアフンガラ
バワと言えば、今やシンガポールのホテルかた日本の露天風呂までに見られるインフィニティプールを発案したことで有名だ。
そのインフィニティプールがもttも有名になったのが、ヘリタンスアフンガラである。
ザブルーウォーター
これホテルではバワ最後の作品である。
椰子の木が印象的に用いられている。
ザ・セブン・スピリチュアル・リゾート・アット・バワハウス
バワとアマンリゾートの創業者は面識があり、創業者のエイドリアン・ゼッカの別荘を改装した建築家が、最初のアマンのホテルを設計した。
エイドリアン・ゼッカのお気に入りのバワ作品はザ・セブン・スピリチュアル・リゾート・アット・バワハウスであるらしい。
レッドクリフス
ここは、バワが1997年に脳梗塞の発作をおこして倒れた日に現場監督に出かけていた場所で、生涯で最後に現場で指揮を執った作品となります。
この別荘の依頼者はスリランカの第二代大統領ジェニウス・リチャード・ジャヤワルダナの孫である。
1951年(昭和二十六年)のサンフランシスコ講和会議で、一部の戦勝国が日本に厳しい賠償請求や制裁を用意おり、旧ソ連は日本を朝鮮半島や旧ドイツのように四つにする案を提案した。
ジャヤワルダナは、そこで
「憎しみは、憎しむことによって消えることはない。ただ愛することによって消えるのだ」
と発言し、危機を救い、日本の国際社会復帰の手助けをしたのである。
この別荘のリビングも半屋外となっており、半地下に居住スペースがある。
インフィニティプールもある。
バワについて 山口由美
バワは先にも触れたように、その生い立ちが少し特徴的で一言でまとめると、欧州とスリランカにルーツを持ち、裕福で、弁護士をしていたところから建築家を目指した。
本当はイタリアに身を置きたかったみたいなのだが、資金面等が理由でセイロンに落ち着くようになった。
感想
バワの建築は生い立ちが建築家として王道でなかったからこそ、自由な発想で庭を飾ることができたことを知りました。
スリランカと欧州の両方にルーツを持ち、法律を学び、同性愛者でもあった、人と異なる環境だったからこそ、特徴的な建築家として知られているのでしょう。
私も今後建築をやりたいので、少し勇気がもらえました。
バワについて知りたい人は是非手に取ってみてください!
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