水飴おじさんの話
子供の頃、地元の公園に水飴を売りに来るおじさんがいた。
週一くらいの頻度で軽トラに乗って公園に来て、プラスチックのコップに水飴を半分くらい入れて、たしか200円くらい?で売ってくれるおじさんだった。
自分の地元はまあまあな田舎で、コンビニすら近くに無かったので
そのおじさんが来た時は、水飴を求めた子供達で公園は賑わった。
ある日自分が公園で遊んでいると、その水飴おじさんが来た。
すぐに子供達が水飴おじさんの軽トラの周りに集まって、水飴を買って食べだした。
自分も食べたくなったが、その時お金を持っていなかったので、家に帰りお母さんにお金を貰いに行くことにした。
家に帰るとお母さんはお昼寝をしていた。
お母さんに
「水飴が買いたいからお金ちょうだい」
と伝えると、お母さんは眠そうに財布を取りだして、しばらく財布の中を探して一万円札をくれた。
自分はその一万円札を握りしめて、水飴おじさんのところへ向かった。
公園に着いて、水飴おじさんに一万円を渡して
「水飴ください」
と伝えると水飴おじさんは一瞬戸惑った後に一万円札を受け取って、プラスチックのコップいっぱいに水飴をくれた。
自分はいつもより多く水飴をもらえてラッキーだなあと思って、水飴を食べながら家に帰った。
家に帰ると、お母さんが聞いてきた。
「お釣りは?」
自分はお釣りなんてもらっておらず、山盛りの水飴しか持っていなかった。
お母さんは当然 "一万円札で水飴を買って、お釣りを貰ってきてくれる" と思っていたが、当時の自分はアホだったので何も考えずに、一万円分の水飴を買ってしまったのだった。
しばらくお母さんに怒られて、その後お金を返してもらおうと一緒に水飴おじさんのいる公園へ向かったが、既に水飴おじさんは帰ってしまっていた。
子供の頃に起きた切ない出来事でした。
アホな子供俺も悪いけど、無知な子供に一万円で水飴を売った水飴おじさんも悪いと思う。
みなさんも水飴おじさんには気をつけてください。
PS.一万円っていうのは正直盛ってるかもしれません。五千円か千円だったかも。
オワリ