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『デスペラドロップス』レビュー書き殴り ~犯罪者達とヨーロッパへ行こう~
※記事前半までネタバレ無し
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今回レビューするのは「DesperaDrops/デスペラドロップス」。ディースリー・パブリッシャーから2022年11月30日にNintendoSwitch向けソフトとして発売された恋愛ADV(愛と逃亡のクライムADV)。価格は7480円。
D3パブリッシャーの乙女向けゲームシリーズ「D3Pオトメ部」の新作だ。最近だと去年にアイチュウも出していたが、実は完全新作は久しぶりだったりする。レッド・エンタテインメントとD3パブリッシャーのタッグで制作された本作だが、このタッグも「百花百狼」以来7年ぶりだ。
2028年の夏。
イタリアのボローニャにある大学に留学中の天峰ミカ(主人公)は試験が終わったお祝いに、友人とローマへ小旅行に来ていた。
しかし、その旅行中に殺人事件に遭遇し、更にはその容疑者として逮捕されてしまう。
護送車に乗せられ運ばれる途中、突如、車が横転する事故によって自由の身となった主人公は、乗り合わせた6人の犯罪者と共に逃亡者となってしまう。
更には主人公が持つ「力」を狙う謎の襲撃者も現れ、警察と襲撃者の二手から追われる7人。
主人公の力に隠された秘密、襲撃者の正体、全ての始まりである殺人事件の真相……。
これらの謎を解き明かし、平穏な日常を取り戻すことはできるのか――。
公式サイトのあらすじに書いてある通りのクライムサスペンス。ただ今作の特徴としては
・主人公は特殊な力を持っているけれど、価値観は普通の人寄り
・他6人の登場人物は全員何かしらの犯罪者
・警察や謎の襲撃者等から逃げるためにヨーロッパ中を駆け巡る
といった感じ。
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次にキャラクターについて出来る限りネタバレ無しで紹介する。
・アッシュ
スイス出身、罪状は傷害。イメージカラーはグレー。
基本的には無口なバイク好き。
喋ると面白いことを言うことが多いと個人的には思っている。
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・ハミエル
スペイン出身、罪状は詐欺。イメージカラーはブルー。
基本的には悪態ついたり皮肉いったりする色男。
頭も良いので結構話の展開に一役買っている気がする。
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・ジブ
ドイツ出身、罪状は殺人罪。イメージカラーはレッド。
罪状に反して、一番まともで年長者らしい発言も多い。
狙撃手としての一面もあるので、そういった活躍シーンも多い。
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・カミュ
オーストリア出身、罪状は危険物所持、器物損壊。イメージカラーはイエロー。
爆破物のプロフェッショナルかつオタクという結構濃いキャラ。
所謂コメディ要員。
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・ラミー
フランス出身、罪状は窃盗。イメージカラーはグリーン。
スリがもう癖になってる猫みたいなショタっぽい人(19歳)
自称大怪盗というだけあってピッキングとかも出来る。
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・サリィ
イタリア出身、罪状はサイバー犯罪。イメージカラーはピンク。
原宿系ファッションを着こなすハッカー。
基本明るく元気な子。
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こういうゲームの紹介としては定型文すぎるけど、癖のあるキャラ達(後、罪状)なので彼らの繰り広げる会話は結構面白い。同じ犯罪者としての括りではあるものの、出来ることや出身国が違うのでこの差異のズレを楽しむのも良いだろう。
ゲームシステムの話に移ろう。ゲームシステムとしては普通のアドベンチャーゲーム。ところどころミッションモードという特殊なモードはあるものの、そこも基本システムはアドベンチャーゲームだ。
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オプションやチャート、Tips的システムもちゃんとありノベルゲームとしては当たり前だけど問題の無い作りとなっている。
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大体の解説はしたので、良かった点を。
まず普通にストーリーが面白い!息もつかせぬ逃走劇とそれと共に深まり明らかになっていく謎!共通パートでは攻略キャラに若干フォーカスしたエピソードもあるので、そこで次のルートを誰にするか考えたくなる作りになっていて非常に楽しめる。
また、逃走劇はヨーロッパ中を巡るわけなんだけど、場所によって背景が変わるので本当に旅してる感じが出てきて良い。
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後これは良かった点というとあいまいではあるけど、今作は糖度(※)が低い乙女ゲームとなっている。
あんまり乙女ゲームやったことないなぁという人とかにも普通におすすめしやすいので
やったことない人は是非やってみてほしい。
※ 糖度
恋愛要素の強弱を乙女ゲーム界隈では糖度という場合が多いです。
恋愛要素が多かったり、胸キュンシーンが多いのは糖度が高いと言って
逆にそこまで多くない場合は糖度が低いと言う。
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では次にちょっとアレ……というかまぁ良くなかった点をば。
まず周回のやりづらさがある。このゲームは一応最終的なオチを観るためには周回が必要ないものの、全ての謎を知るためには全キャラ攻略する必要がある。そうなると周回をする必要があるのだが、これがちょっと面倒なつくりとなっている。
というのも上述したミッションモードの選択肢スキップが出来ない為、毎回同じ選択肢を選ばなくてはいけないのだ。普通の乙女ゲームなら「選択肢を変えることによって攻略キャラや好感度が変わる」といった要素があるのだが、ミッションモードについては分岐に影響する箇所がほとんどないので本当に無駄足となる。
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また、これについては賛否分かれるところではあるが共通ルートが結構長く、1周のプレイ中3/4が共通ルートとなっている為、ここも周回のやりづらさに繋がる節がある。乙女ゲームは結構個別ルートが長い方が評価が高い場合が多いのでここは評価が割れるところではあると思う。個人的にはストーリー重視作品なのでしょうがない節はあるかなと思うけど。
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次の問題点としてはCGの少なさがある。上述で背景が多いという話があったが、それに反して一枚絵、スチルは少ない。また1つの一枚絵につき差分がないことも多いので、そこからも少なさを感じてしまう。何回も見るバイクシーンは大体のシーンにあってないので毎回浮いてるしね。
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何故か主人公が真顔で表情差分が存在しない。そして基本緊迫シーンだからこの表情はシュール。
総評
ちょこっと難点はあるものの、ちゃんとADVとして面白いです。
ストーリー重視な作りではあり、ちゃんとクライムサスペンスしているのでそういうのが好きな人は是非!!
恋愛要素は低いけど、どうやらDLCの配信が予定されているのでそこで補われる……かも!?
【お知らせ】
— D3Pオトメ部 (@D3P_otome) December 25, 2023
🎄Merry Christmas✨
昨日の #デスペラXmas は楽しんでいただけましたか?
クリスマスプレゼントにゲーム最新情報をちょっとだけお届け🎁
『DesperaDrops/#デスペラドロップス』
追加DLCの配信が決定しました🎉
それぞれのED後を描いたストーリーです🥰
詳細は続報をお待ちください。 pic.twitter.com/Rn3vu1AqPQ
▲所謂ファンディスクだよなぁ
おまけ
おすすめ攻略順
ジブ→サリィ→ハミエル→カミュ→ラミー→アッシュ→真相
基本的にはどのキャラから攻略しても問題ないけど、多分この順番で攻略するとちょうどよさそう。
※理由についてはネタバレとなるのでここでは記載しません。
※実際に私がプレイした順は
サリィ→カミュ→ラミー→ジブ→ハミエル→アッシュ→真相
※ここまでネタバレ無し
※以下ネタバレ感想ゾーン
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・アッシュルート
アッシュの兄貴は最後にしようと決めてました(乙女ゲームってメイン攻略キャラで結構重要な要素出したりするので)
案の定出してきた(ハートフィールド周り)ので本当に最後にしてよかったぜ!
アッシュは最初無口系か俺様系かどっちかなのかなって思ってたんだけど、いざ攻略すると不器用でかわいそうな人だった。
アッシュは勿論自分から暴力を振るっているところはあるんだけど、結構な率で勘違いされて生きてきただろうし、本当につらかったんやろな……ってなってもう救われてくれて良かった~~~~幸せになってくれ~~~~ってなった。なるだろ、そりゃ。
ちょっと惜しむべきはバッドエンドの雑さ。他ルートに比べると短いし、なんかこう雑なんだよな……
~個人的に好きなシーン~
ダニエルさん家で嘘のカップルを演じたシーンは嘘だけどお互いを意識していくってのが本当に良いよね……。そういえばダニエルさんの一件回収されてないけど、DLCで回収するのかな。
・ハミエルルート
あーーーー好き。こういうキャラに弱いんですよね、私。
詐欺師とかそういう偽ってるキャラを攻略すると何かが見えていって相互理解~~みたいなの本当にいいよね……。ハミィ君のルートはそういう感じ。
詐欺師っていう特徴はちゃんと活かしたストーリーだったし、ハミィ君の弱い点、強い点がちゃんと描かれて良かった……。個人的にはグッドエンドバッドエンドどっちも好きかなぁ。
ちょっと残念なのは執行人がこのルートだと扱いが雑っていうのと、若干カルロスさんに印象が取られているってこと。カルロスさんが一番格好いいのはこのルートなので……。
~個人的に好きなシーン~
正直全部好きだしなぁ……、あえて挙げるならホテルでミカが全員をだまそうとしていることにハミエルが気付いたシーンかな。あそこ辺りになると騙しあいだから面白いよね……!
・ジブルート
まぁ絶対シリアスなルートあるよなぁ~~と思ってたらやっぱりあった、ジブさんン。思ったより嫌な事件過ぎてこのルート最初にやると「C.R.O.W.N、許すまじ!!」ってなると思ったのでおすすめ攻略順を最初にしました。後単純にこのルート最初にやんないと「あの長髪の唸っている人、なんだったの……?」ってなるので……いや、別にこのルートやっても「執行人ってなんだったの……?」とはなりますが……と
ジブさんは奥さんと死別してたり、主人公を思うあまりのこのすれ違いが本当によくて「幸せになっていいんだよ……」とならざるを得ない。そして個別ルートに入れば入るほどジブさんの不器用さというか、長らく人と一緒にいなかったからこそのシーンが多くて、このおっさんずる過ぎるだろ……ともなった。
~個人的に好きなシーン~
プロポーズ、というか結婚式の話してるシーンのワチャワチャいいよね……てかこの面子が結婚式に乗り気過ぎて面白い。
・カミュルート
その本質はサリィルートでも出てくるんだけど、カミュルートはこのゲームの一つのテーマである「EU」が強いルートですね。それ以外にも学生運動や情報操作等ちょっとリアルな怖さのテーマが多かったのでカミュ君とのギャップが大きくてビックリした記憶があります。
カミュ君自体はずっと変というか、空回りしたオタクって感じなんだけど寂しさというか……良くも悪くも子供のままになってしまっているんだよね。でも色々なものを乗り越えていって成長していく姿は本当に良き……。
その暗さを一気に変えるグッドエンドと、その暗さのまま突き進んだバッドエンドという滅茶苦茶極端なルートなのでカミュルートは本当に印象に残るな……個人的にはバッドエンドが好き。
因みにおすすめルートが後半なのは勿論、ルカ君の存在があるから。あいつの存在を早めに知ると他のキャラや共通ルートの印象がちょっと変わっちゃうので……
~個人的に好きなシーン~
なんだかんだ父と池で対峙したシーンかな。あそこのお互いのセリフやミカの能力を活かしたシーンは結構印象に残る。
・ラミールート
共通ルートの節々から苦労人臭がしてたんだけど、なんか想像以上に暗い話でヒエ~~~~ってなったよ。服については全然気付いてなかったので本当にビックリした。マージで幸せになってくれ……。
ラミールートは段階を踏んで少しずつ重い話してくるから、それがまたちょっとずつラミー君苦しめてくので……苦しすぎる~~。
これはしょうがないんだろうけど、グッドエンドのあれは「まぁ絶対死んでない
な……」とは思っていた。大怪盗がああいう時死なないのは当然なので……
後これはちょっと話それるけど、あの薬作った男の立ち絵ないの何でなんだよ!!見せろ!!
~個人的に好きなシーン~
最後かなぁ。やっぱ怪盗は夜の窓際が似合う……
・サリィルート
個人的には一番評価が割れるだろうなぁと思っています。
サリィルート行く人の何割かは「サリィは女の子だろうな」と思って行くと思うので、どんどん思っているのとは違う話になっていくのはどう感じるか……みたいなのがありますね。個人的には好きですが。
てかサリィの描き方って結構このゲーム気合入ってるんですよ!サリィを他人事のように話してるように気付かれないようなキャラだし、お風呂シーンとかで女性であるかつ(あたりまえだけど)サリィ本人であると思わせている共通シーンは本当にうまいなぁとなる。そしてそっからどんどん崩壊していく個別ルート……!
サリィルートは最初自分は「自主的に妹になりきっている」と思っていたんだけど「精神的な方」って分かってからは本当につれぇってなってった。
後エレベーターというトラウマをいじってくるコンマス君許せねぇ!!ってなったんだけど、ハミィ君ルートであっさり克服してたの笑っちゃった。そんなアッサリ克服すな!!
~個人的に好きなシーン~
これを好きっていっちゃいけないんだろうけど、墓場のシーンですね。あのシーンでの崩壊は本当に心にくる……。
後これは好きなシーンって訳じゃないけどお風呂上りのシーン、本当に見ちゃいけないものを観た感があってビックリした……。
・真相ルート
一応は大体の謎が解明されるルートなんだけど、なんかまだ謎が残っているような……というかだいぶ駆け足なんですよね。C.R.O.W.Nもまだ壊滅してないしね(まぁ壊滅してないということは次回作も可能なので嬉しいですが……!)
宰相が思ったよりヤバい計画でぶっ飛んだことをしようとした割りにドジも多かったり、後何より一番計画の邪魔をしていたのが自分だったというのは拍子抜けだけど……最終的なまとめかたは好きだし、良いエンドだなと思った。最終的にはコメディで終わるしね。
後ちょっと面白いのが執行人の出番が0なこと。本当にあいつ何なんだよ!!
~個人的に好きなシーン~
悩むな……地下に閉じ込められたシーンも好きなんだけど、やっぱり船のシーンかな。ミカが宰相のここを読んで喋るところカッコよすぎるだろ……!本当に強くなったなぁ……
※余談
ルカ君以外(レベッカとか欧州警察)はほとんどのシーンでちゃんと味方であり続けたのは意外だった。裏切るかなとも思ったので……いや最終的には裏切ったんだけども。