見出し画像

援農から繋がる、人生の大きな学び

【福島大学農林サークル】 
廣瀬辰馬さん(写真左)、佐藤実結さん(写真右)
【受入農家(トルコギキョウ、米)】                      
 廣野晶彦さん(写真中央)

廣瀬さん(埼玉県出身、福島市在住)、佐藤さん(福島市出身、在住)は福島大学食農学類の3年生で、川俣町山木屋地区で援農、ボランティア活動をしております。
お二人が所属されている福島大学農林サークルは、現在90名程の学生が所属し、自分たちの畑で作物の栽培のほか福島県各地での援農活動を行っております。
川俣町山木屋地区ご出身の廣野さんは、川俣町でブランド化されているトルコギキョウ農家さんで、2020年から農林サークルの学生を6名受け入れております。


援農のきっかけは?
廣瀬さん)福島大学農林サークルでは、自分たちの畑で作物を育てる活動をしていました。しかし、新型コロナウイルスの影響で、大人数での活動ができなくなり以前のような活動が難しい状況となりました。そんなときに大学の先生から「山木屋地区で援農を募集しているので、サークルとして行ってみないか?」と声をかけていただいたのがきっかけです。実は以前にも、山木屋地区に一度だけお手伝いに来たことはありました。その時にふるまっていただいた芋煮(福島県・宮城県・山形県の郷土料理)が美味しく感動したのを覚えており、いいところだったと印象に残っていました。

援農をされていてのやりがいは?
廣瀬さん)大学で学んでいる農業を実際に事業として行われている農家さんのもとで、実践を通して勉強させていだだけるこの環境は大変貴重で、農業の技術はもちろんのことですが、それ以上の学びがあることです。農業=畑での作業と思っていましたが、農業機械、畑以外での作業が多く、驚きました。また、廣野さんの知識が豊富で、最先端の知識が得られるのも楽しいです。
佐藤さん)廣野さん、知識豊富で学びが多いですね。私は廣野さん以外の農家さんにも行かせていただいています。新しい取組をされている農家さんなので、ゼロから考えることが多く、いちから土壌をつくることからたくさんの学びを得ています。

画像2

援農で大変なことは?
廣瀬さん)真夏日にハウスの中で腰を屈める作業をはじめ、肉体重労働が大変です。毎日されている廣野さんはすごいなと思います。肉体に負担のかかる作業なので効率重視で作業されている姿が印象的です。
廣野さん)「楽をして」をモットーにしています。ここでいう「楽をして」は「手を抜く」ということではなく、合理的に作業をしましょうということです。私の栽培しているトルコギキョウは最盛期が3ヶ月続きます。毎日深夜まで作業をするようなことになれば身体は持ちません。前もってやれることはやってしまう、機械を使えるものは使う等、作業を効率的に行うことが重要です。
佐藤さん)新規事業立ち上げ農家さんのお手伝いは、柔軟なアイデアで効率化を意識し取り組むようにしています、とても勉強になりますね。

画像3

今後取り組んでみたいことは?
廣瀬さん)2つ取り組みたいことがあります!一つは地域のひととの交流機会を設けること、そして2つ目は大学を卒業するまでに「芽整理」をマスターしたいです。
廣野さん)芽整理とは、上流等級の花にしていくためのテクニックのことで、開花時期を揃える重要な作業です。マスターするのにはとても時間がかかり1年やってみてうまくいったとしても、来年、環境や気候が違えばうまくいくとは限りません。農業は、1年に1回しかできず、環境や気候に左右されるのが難しい部分ですね。
佐藤さん)いろんな方と繋がり、ご縁を紡いでいきたいと考えています。援農に来たことで、 農家さん、農家さんと関わっている方、地域の方との繋がりもできました。
誰かと繋がることが何に繋がるかはまだわかりません。でも、自分の繋がりがまた誰かとの縁を繋げることになるかもしれませんし、それで役に立てることもあるかもしれません。「人と人」を繋げることが好きなのです。

町の魅力は?
廣瀬さん)山木屋地区は、風が通って過ごしやすく、星空がきれいです。動物との遭遇率も高いですね。住んでいる方も、外部の人にウェルカムな方が多いです。田舎ですと、同じ地域に住んでいない人によそよそしい感じがしますが、皆さん親近感を持って接してくれます。まちなかは、生活に必要なものは揃っていて、大きなスーパーもありますし、自分の地元と大差ないなと感じます。
また、福島に住んで思ったのは、目の前に大自然があって、空が高いということです。実家(埼玉)では住宅地しかないので下を向いて歩いたり、スマホを見たり、外の景色を楽しむことはしていませんでした。しかし福島県は空が広く、外の景色の移ろいが楽しい地域なので、移動中は景色を満喫しています。
廣野さん)私は東京に7年住んでいました。山木屋地区に帰ってくると、すっきりした気持ちになりました。山木屋地区は、夏は涼しく、開放感があります。自宅でBBQをしても周辺近所を気にせずのびのび楽しめたりできます!山木屋地区は、夏は涼しく、開放感があります。自宅でBBQをしても周辺近所を気にせずのびのび楽しめたりできます!よく、道端で寝転がって、星空を見上げていました。そのまま眠ってしまったり、蚊に刺されたりしないように、気をつけましたが(笑)
佐藤さん)「川俣町ならでは」のものが多いですよね。高い標高を生かしたトルコギキョウ、川俣シャモ、そして農業以外にも、面白い会社がたくさんあると思います。私は隣の福島市に住んでいますが、川俣町の魅力のことを援農にくるまで知りませんでした。 川俣町に実際に訪れてその魅力を見つけることができました。

大変なところ、困るところは?
廣瀬さん)電車、バスがないことですね。けれど、ドライブやツーリングには最高の場所なので自家用車があればあまり大きな問題にはならないと思います。

あなたにとって川俣町とは?

廣瀬さん)自分の価値観を開拓できる場所です。以前は、川俣町について知っていることとすれば「原発事故による避難地域だった場所」ということだけでした。けれど、川俣町に来てみて、ここで生活しているひとがいて、そのひとたちの人生観、経験を伺い、「こういう生き方もあるのだ」と多様な価値観、人生観を学びました。
川俣町は、絹で栄え、川俣シャモ、ベルグ福島…などなど新しいことにチャレンジしている地域です。そして、年齢にとらわれず、若い方から高齢の方まで、川俣町を再開拓をしていこうと意気込み、実践されているひとがたくさんいます。
そういう方との沢山の出会いは自分の価値観を変える機会になりました。
佐藤さん)私にとって川俣町は学び舎です。援農(アルバイト)として来始めましたが、町を訪れたときには必ず学びを得ています。
ただの仕事ではなく、勉強している感覚です。他よりも学んでいることが圧倒的に多いと思っています。
廣野さん)援農は、単純に、マンパワーを解消したいというところからはじめました。農業に関心のある学生が来てくれて、とても嬉しく思っています。農業は、やることは毎年毎年同じですが、同じことをやっている中から何かに気づき、発見しなければなりません。
頭を働かせるというのは大変ですが、何か問題があったときにスルーしてはいけないですし、解決しなければなりません。どの業種でもそうですが、大ヒット商品は、「気付けるひと」がつくっていると思います。「気付ける力」をつけるには、注意深く常に意識しなければなりません。ここで、ただ働いてもらうだけではなく、学生に学んでもらう機会になっているのは嬉しいことです。

農業に関心のある方へメッセージを
廣瀬さん)川俣町は、見学や教えてくださる農家さん、研究機関との連携も多い印象で農業を見学・体験するのに素晴らしいフィールドだと思います。
佐藤さん)同じく、アポイントを取れば快く見せてくださるところだと思います。ぜひアポイントを! あと、冬は道路気をつけてくださいね(笑)

画像4

▲発色がよく日持ちする山木屋のトルコギキョウは市場での評価が高い


いいなと思ったら応援しよう!