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ブレゲンツ+チューリッヒ_day27_ヨーロッパ建築旅行2018

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 ブレゲンツはオーストリアの西の端、ボーデン湖のほとりに位置する街だ。昨日は到着が夜でよく見えなかったが、ホテルを出てすぐに湖が目に入る。アルプス近辺の湖は、氷河に浸食されてできたU字谷に水が貯まることで成立する氷河湖で、レマン湖やチューリッヒ湖なども同じようにできている。

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どの湖も生活のすぐそばにあって美しい風景をかたちづくっている。
 今日の目的地は、ペーター・ツムトア設計の〈ブレゲンツ美術館〉。その後、スイスのチューリッヒに移動してから、夜行バスに乗り込みドイツはベルリンを目指す。 

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〈ブレゲンツ美術館〉はホテルからそこまで離れていないので湖のほとりを少し歩くとあの半透明の外観が見えてくる。

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美術館は展示室棟と管理棟の2棟に分かれていて、エントランスは湖側から裏手に回り込んだ街側にあり、管理棟に囲まれた小さな広場に面している。 ぽこっと突き出たエントランスから中に入る。

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エントランスはこんな感じ。壁と床によってつくられる空間とそれを包むぼんやりしたガラスの境界面という構成が明快に伝わってくる。ガラスは曇りガラスになっていて、外部の風景はぼんやりした光の情報としてのみ内部に入ってくる。というのを書いているツムトアスケッチが飾ってある。

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サッシは床に対して勝つ位置関係で納まっていて、照明もビシッと埋め込み。チケットカウンターは壁から独立して配置して、建築の構成を弱めないように処理している。ロッカーなどの機能も最小限にしてカウンターの背後に納めている。

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サインも最小限で相当分かりづらいが上階の展示室へは、壁についた小さなドアをから階段を使って上に上がる。

展示室は1階のつくりとは異なり、窓のない空間で、光天井を介して自然光を取り入れる。これがこの建築の大きな特徴のひとつなのだが、開催中の展示が全て映像を投影する感じだったので光天井は体験出来なかった…。しかし、展示に引っ張られ、2階へ上がる階段、3階へ上がる階段と全く同じシーンが繰り返されることが映像の延長の様に感じられた。同じことが繰り返されることの非現実さ。

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 展示を見終えて再び外に出る。となりの管理棟にはカフェが入っていて、一息つく。 そんなに大きくない街にある美術館のカフェはあんまりお客が来ないのかスタッフの人が半分休憩しながらテキトーに回している感じで居心地よい。

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〈ブレゲンツ美術館〉は何というか、サインだったり外の風景だったり具体へ向かう物事を発生させない様、悉く先回りされている。そうする事でその体験は抽象へ向かう。それが息苦しくならないぎりぎりのラインで造られているように感じる。そして、その体験を包む建築を外から見たときの、半透明の外観は、外から見られることに気を使わない、内臓が透けて見える生物のそれと同じなのかもしれない、と連想したりした。

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ブレゲンツ駅から電車で、再びスイスに戻り、バーゼルからクールに向かう際にすっ飛ばしてきたチューリッヒへ向かう。チューリッヒには、ル・コルビュジエのパビリオンがあるので、それがメインの目的地だ。その後は夜行バスで向かうため、ぶらぶら時間をつぶすつもりだ。チューリッヒ駅はなんだか映画に出てきそうなかわいい列車が停まっている。トラムに乗って街中をがたごと通り過ぎる。街全体がいい雰囲気で、成熟しているように感じる。これまでも、魅力的な街をいくつか見てきたが、どの街も観光客だけでなく、そこに住んでいる人が街を楽しんでいるということは共通している気がする。

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ちょっと行って、コルビュジエのパビリオンに到着したものの、遠目にみてなんだか怪しい雰囲気だったのだが案の定、外構のメンテナンスをしていて、中に入れないというアンラッキー…。

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そのあとは、チューリッヒ湖の湖畔をぶらぶらして、ギゴン&ゴヤ―の建築らしきものを時間が許す限り見て回った。

そして、夜行バスに乗り込み、ベルリンへ。

20211219@東京

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