AS400(IBM i)の豆知識
AS400とは?
AS400とはIBMが販売している汎用機を指します。現在はIBM iという名称になっています。汎用機でしたがIBM製サーバー(Power Systems)に統合されたため、筐体に汎用機感はなく一般的なIBM製ラックマウントサーバーです。
更新する際はざっくり1000万円ぐらいな目安です。必要とするスペックによってピンキリです。
だからと言って異常に高いわけでもありません。ハードウェアとソフトウェア、DB(DB2を内包)、開発環境も含まれるからです。
AS400初見SEのあるある集
AS400に初めて遭遇したSEの不思議体験をまとめてみました。これらが頭の中で繋がるまで、AS400技術者との話し合いは言語変換が必要です。
・テーブルのことファイルって言う。
(例)「このファイルの中にXXXのレコードが」
・データベース(スキーマ)のことをライブラリと言う。
(例)「そのシステムのデータはこのライブラリに」
・2Byte文字の開始位置と終了位置に1Byteの制御コードが挿入される
(例)1111あいう2222 (計14Byte) ⇒ 1111■あいう■2222(計16Byte)
・フィールドの文字列型(CHAR)がさらに、「A:半角英数のみ」と「O:2Byte文字混在タイプ」に分かれている
・「A:半角英数のみ」であっても半角カナは使える
1Byteで表現できるためか、半角英数のみの文字列フィールドに半角カナは問題なく使用できる。正確には、データタイプ「A:制御コードなし」と「O:制御コード混在」という区分けの模様。
・アルファベット小文字が使えない
正確には使用できるが、5250エミュレータ(以下黒緑画面)では標準で表示できない。
・半角英数と日本語の切替の制御コードで文字列サイズが計算できない
・仕様書が無い
※この問題は導入が2000年よりも以前だった場合は、納品物について明記してない状態だったと思われるため、現担当者やベンダーをつついても良い方向には向かわないかもしれません。
・テーブルにキーが無い
固定長のテキストデータから発展して、RDBとして使えるようになっているせいか、昔のテーブルはキーが設定されていないです。そのためデータ同期するにはコツが必要です。
・データベースの列追加するとコンパイルが必要と意味不明な話になる
※AS400ワールドではDBの列構成を変更すると参照しているプログラムをすべてリコンパイルする設定がデフォルトです。
・AS400に内包されるDBとは、世間でいうところのDB2/AS400です。オープン系のDB2とは若干作法が違うようです。パッケージ製品などで対応DBを確認する際は、「DB2に対応していますか?」ではなく、「DB2/AS400に対応していますか?」と聞く方が確実です。
メリット
初見のSEが接触すると戸惑うことが多いAS400ですが下記のメリットがあります。
・既存資産(RPG)が使える
・ハードウェアとソフトウェアについて問い合わせ先がIBMだけになる
・汎用機としては世界規模で現役のため、販売終息については当面考慮しなくてもよさそう
・既存PGMの互換性が高いので、今のシステムを手を入れずに利用する方法が残されている(ケースが多い)
・開発環境やDBもOSに内包されているため、別途必要になるものが少なく、システム移行時の作業も比較的業者に丸投げしやすい。
デメリット
当然ですがデメリットも深刻です。
・AS400しか扱えないベンダーだと、オープン系の話が通用しない
・RPG(AS400の開発言語)が使える技術者がいない=若手技術者が育たない
・そもそもハードウェアが無いとRPGで開発できない
・標準の印刷機能が貧弱(ワープロ的な縦倍角、横倍角、縦横倍角ができて、横132文字ぐらい)
・AS400しか扱えないベンダー内でも高齢化
・EDIとか全銀とか絡むと影響が大きすぎる
・ほかに頼めるベンダーがそもそも無い
とりあえずやった方がよい対策
・EDIや全銀というワードを聞いたら仕様書の存在を確認しましょう。なければ業者に委託してでも作りましょう。
・本番環境とは別にテストできる稼働できる環境づくりをしましょう
AS400にはLPARと呼ばれる、1つの筐体に仮想的に複数台のAS400を稼働させる技術があります。テスト環境が無ければハードウェア更新のタイミングで見積もりに入れてもらうとよいでしょう。
・ODBCやJDBCでアクセスできることを確認しましょう。V5R2より前だとODBCあたりが怪しくなってくる気がします。
・iSeries Access for Windowsで黒緑画面を使っている場合は、Web化ツールを導入するか、5250エミュレータの購入を検討した方がよいです。Windows10非対応だからです。
AS400に初めて遭遇する方向けに、思いつく事を書いてみました。何かのお役に立てば幸いです。
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