石巻の特別な映画館「かわべでシアター」

宮城県石巻市中瀬にある石ノ森萬画館へ映像を投影する野外上映会「かわべでシアター」が今年も開催されました。
石ノ森萬画館は宇宙船がモチーフということもあり、真っ白な楕円形の建物です。海の青、山の緑が広がる石巻の景色には少し奇抜な建物と思われそうですが、地元では石巻を代表する観光施設となっています。

そんな建物をスクリーンにして、映画上映を行うのが「かわべでシアター」です。

第一弾｜2021年6月26日「天空の城 ラピュタ」
第二弾｜2021年７月17日「サイボーグ009 超銀河伝説」

イベント直前、運営者である私たちには様々な思いが駆け巡っていました。
こんな状況でイベントを実施してよいのだろうか。
このイベントで感染者は出ないだろうか、果たして見に来てくれる人はいるだろうか。
おそらくイベントに携わる人なら一度は思い悩むことだろうと思います。皆さんが思い悩むことを当たり前のように思い悩んだ末、イベントを開催することにしました。

結果、予想を上回るほどの大盛況でした。

2021年6月26日「天空の城ラピュタ」
現在、石巻市にある複合文化施設・マルホンまきあーとテラスにて開催中の『「アニメージュとジブリ展」一冊の雑誌からジブリは始まった』みやぎ石巻展(2021/6/19〜9/12)の連動企画としてこの作品が選ばれました。
スクリーンは石ノ森萬画館、客席は北上川堤防です。この場所は河口が近く、川のように見えますが潮の満ち引きの影響を受けます。水音が遠くに聞こえたり、近くで聞こえたり、時間や季節によってみせる景色が違うのも魅力の一つです。

公共空間しかも堤防ということもあり「かわべでシアター」では“開場時間”も“座席指定”も存在しません。上映開始の１時間半も前から人が集まり始め、それぞれレジャーシートやアウトドアチェアを持って自分たちの客席を決めていきます。まるでキャンプサイトのような景色。
あっという間に日は沈み、上映会の幕が上がります。
本編映像が始まると、皆さんスクリーンに夢中になっていきました。

2021年７月17日「サイボーグ009 超銀河伝説」
「天空の城ラピュタ」から約１ヶ月後。この日上映したのは1980年に公開された「サイボーグ009 超銀河伝説」です。2021年7月23日に石ノ森萬画館が開館20周年を迎えるにあたり、この作品が選ばれました。40年以上前の作品ということもあり、情報公開時には「本当に上映するの!?あの作品を!?」「小さい子見れるかな?」「コロナがなければ行ったのに!!」という驚きの声と、行けないことへの悲しみの声が見受けられました。

当日は、堤防沿いにある「いしのまき元気いちば・元気食堂」のテラス席に“予約席”という札が並び、堤防上にはキッチンカーや飲食物販ブースが出店しました。上映が始まるまでの待ち時間や上映中にも美味しい食べ物や飲み物を片手に楽しまれる方が多く見られました。ご家族でお越しになった方の中にはとても元気なお子さんもいて、堤防の上を走り回ったり。
そう、このイベントではご飯を食べながら映画を見たり、上映までの待ち時間には友達と遊ぶことだってできます（もちろん、人に迷惑をかけない範囲で）。

会場の目につくところにはアルコール消毒液、呼びかけ看板、そして全員がマスク着用。以前とは変わってしまった現実はありますが、参加されている皆さんが伸び伸びと映画を楽しんでいることが見てわかりました。

そして両日ともに、エンドロール後に響いたのが皆さんからの温かな拍手でした。
どうしたら良いのだろうと悩み、諦め、決断してきた我々にとって、最高と言っても過言ではない瞬間でした。

映画は映画館で見ることができます。もちろん家でだって。それなのに何故、皆さんはこの「かわべでシアター」に集まったのでしょうか。
きっとここ「かわまちオープンパーク」が“自由”だったからなのだと思います。

来るのは大好きな人と一緒に。
好きなものを食べて、好きなことを話して。
寝てしまったっていいでしょう。遊ぶのだって自由です。

いろんなものが規制される世の中で「かわまちオープンパーク」はプレイヤーや参加者が自由に活動することができます。それがここの良さなのだと思います。

今回は野外上映会を行いましたが、きっと他にもいろんなイベントができるでしょう。子ども向けイベント、音楽イベント、食イベント。さて、次は何ができるでしょうか。

皆さんの「やってみたい」をぜひ聞かせてください。

（書き手：街づくりまんぼう 三浦）

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Posted by かわまちオープンパーク石巻 on Monday, April 12, 2021