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キャロルとチャック。

ご存じワイルドアームズ5の操作キャラクターです。
このゲーム、かなり曲解すると、
主人公ディーンとアヴリルの決して結ばれる事のない恋を描いたRPGですが、
川上智弘さんは、キャロルとチャックこそベストカップルだと思っています。

理由ですか?

チャックにはキャロル、キャロルにはチャックなのです。
…理由になっていないですね。

チャックはキャロルを異性として見てはいないです。
保護欲は強いですが距離は取っている感じ。
しかしキャロルは、その近過ぎる距離にドキドキすると同時に苛立ちも看せています
異性ではなく、チャックに小さな女の子扱いされる事に。

キャロルは絶対に認めないでしょうけども、
チャックとキャロル、様々な面で対照的でありそれ故に互いに互いを補え合えるのです

キャロルはチャックに依存はしていません。
気になって仕方がないのです。
頼りなくて、見てられない訳です。
そして遠慮無しに頼れる、頼ってしまうのです。
キャロルは、甘える事を覚えたから。
キャロルは、乗り超えたから。

逆にキャロルにとってもチャックは異性なのでしょうか?
それは半ばチャックの対応のせいですが、
キャロルのチャックに対する態度は、
余りにもキャロルの教授に対する態度に似過ぎています。
もっとも女の子の初恋が父親ならば、
そしてキャロルの場合その相手は生家の父ではなくエルヴィスでしょうから、
何処か父親に似た人と言うのは、対象に入るのかも知れないです。

かなりお似合いじゃないか🍨

キャロルから見て、エルヴィスもチャックも、
能力そのものとは別に、「自分が見てないとダメ」で、
「遠慮なく小言を食らわせられる」相手なのです。

キャロルはディーンたちと出会った刻、少しずつ教授を投影する事で距離を縮めました。
最初はアヴリルに。
次にディーンに、さらにグレッグに。
最後にチャックに。
しかも遠慮なしに。
投影した時のしっくり具合が、他の仲間達とは格段に違うのです。

キャロルは軽薄さを曝け出していた頃のチャックを知りません。
チャックもまた、他人に対して怯え切っていた頃のキャロルを知りません。
互いに全く知らない訳では無いですが。

キャロルを拾った教授はキャロルの弱さも知っています。
キャロルが能力以上に背伸びしている事も。
色々とキャロルの事を知った上で、理解って大人しく小言を食らいます。

では、チャックは?
キャロルの事情を、直接聴かずとも知っている可能性は勿論あります。
親友のケント?がキャロルらしき噂を聞いているのだから、
チャックだって噂を知っていても、寧ろチャックの方が詳しい噂を知ったと言う事も、有り得るでしょう。
しかし、直接は見ていないし、直接聴いてもいないです。

強く出られると逆らえない、チャックの気質もあるでしょう。
女の子からの小言にも慣れている様です。
チャックとファリドゥーンがルシルから小言を食らっている公式の壁紙があります。
ファリドゥーンは「何故怒られなければならないのだ?」的な態度なのに対して
チャックは「いいからさっさと謝っちゃえよ」的です。
そしてキャロルにとって腹立たしい事に、
年下の女の子に、正面きって反論出来ない、と言う子供扱いもあります。

キャロルは対等の積りでいるのです。

チャックだって、キャロルの能力は認めています。
キャロルがチャックに対して、そうである様に。
キャロルがチャックの事を、情けなくて頼りなくて目が離せないと考えている様に、
チャックにとってもキャロルは保護対象である年下の女の子なのです。

気が強いルシルとキャロル。
しかしこの二人はまるで違います。
ルシルは、誰に対しても気が強いです。
何にでも反発する強さではなく、現実の状況や力関係を知った上で、弱気にならず強気に出ます。
キャロルの気の強さは限定されています。
一人で荒野を渡る事は出来ても、
魔獣とだって闘う事が出来ても、
強気に出られる相手は、教授と、そしてチャックです。
キャロルは、魔獣であれ敵であれ、接点の無い敵に対してなら強く出る事が出来ますが、
感情を通わせるべき相手に、疎まれたり憎まれたり、そして無視される事に、耐性がありません。
その様な経験を沢山してきたが為に、刺激されれば古傷からすぐに血が流れ出します。

キャロルの故郷の村には支え合える友達がいなかったのかも知れないです。
勿論、子供の力が及ばずと言う事もあったでしょう。
キャロルは親に虐待されていました。
しかしそこに割って入ってくる他の大人も、慰めてくれる人も、一緒に泣いてくれる友達もいませんでした。
キャロルがどんな眼に遭っていても、厄介事に巻き込まれるのを懸念して、見て見ぬふりをされて来ました。
それこそが、キャロルが何よりも恐れる無視だったのでしょう。
酷い眼にあっていて自分の力ではどうしようもない時に、目さえ合わせて貰えない様な。
キャロルは、ディーンたちに、嫌われないか?と、心配しています。
大丈夫だと保証されても、まだびくついているのです。
さらに兄妹と言う切れない血の繋がりを模し、距離を詰めて行きます。
そして、チャック。
兄妹発言の時はいましたが、大丈夫の保証の時には、まだいませんでした。
家族的に捉えた他の仲間とチャックは、少し立ち位置が違っています。
寧ろ家族という基盤を得たキャロルにとって優しい他人。
それ故、まだ父娘にはなれていないエルヴィスを投影したのでしょう。
見た目もそれ以外も全然違いますが、投影し得る要素がチャックには幾つかありました。
そう言うチャックを、キャロルは欲して見出したのです。
無意識に結びつけ、説教を食らわせても大丈夫な相手、エルヴィスの代りをキャロルは得たのです。

チャックがその型に填ったのには、
偶然の一致もあったでしょうし、
キャロルの要求に応えた部分も勿論ありました。
ルシルとの付き合いで、
女の子に説教喰らう状況に慣れていた、と言う部分も大きかったのでしょう。
しかしルシルの代わりを求めた訳では無いのです。
チャックの「甘えられる人が欲しい」は、本音でもあると思います。
チャックにとってキャロルは甘えられる人ではありません。
寧ろチャックは大人しく怒られる事で、キャロルを甘やかしています。
けれどキャロルは、それを感じ取り、そこに不満を持ちます。
キャロルはまだまだ、甘え足らない。
チャックは教授の替わりではあるけれど、教授の様には頼れない。
チャックは、キャロルが甘えるには頼りないのが問題です。
エルヴィスを投影するからこそ色々細かな不満が出て来ます。

エルヴィスはキャロルを保護し、衣食住を与えました。
強くて大きく、べたべたに甘やかす。
キャロルはエルヴィスの手の中で、赤ん坊からやり直す事が出来ました。
エルヴィスも研究一筋の人生を、キャロルの存在が人間味あるものに色付けました。

クレイドルで、久方振りにキャロルと再会したエルヴィスは、
いきなりチャックを巻き込んだトラブルの件で、キャロルに怒られてしまいます。
改造実験塔Sではキャロルの言葉に、いきなりお付き合いの相手はチャックだと決めつけるのです。
女っ垂らしの様な顔、とは言え、
キャロル溺愛なエルヴィスとしては、一番の敵と直感したのかも知れないです🍰。

#RPG
#カップリング

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