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カンヌライオンズ 2022速報 by 銀河ライター【最終日】

カンヌライオンズ 2022速報(最終日)です。

今日は「フィルム」ほか「タイタニウム」「SDGs」「グラス」の4部門が発表に! 早速グランプリから見ていきましょう。

※クレジットは以下の順です。

施策タイトル
企業名(ブランド)/商品名
企画+制作会社
エントリー国

フィルム部門:グランプリ①

※今回フィルム部門のグランプリは2つ選出されました。

Super.Human.
Channel 4/Channel 4
4 Creatives,London+SOMESUCH,London
United Kingdom

「Tokyo 2020 パラリンピック」の番組宣伝として制作された「チャンネル4」(イギリスの公共テレビ局)のコマーシャル。

2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロに続く"スーパーヒューマン"シリーズの第3弾。見比べると、それぞれの時代の空気感みたいなものが滲み出ており、興味深いです。

参考①:London 2012


参考②:Rio 2016


フィルム部門:グランプリ②

Escape From The Office 
Apple/Apple Device
Apple,Sunnyvale+Smuggler,London
USA

アップル・デバイスの仕事での使用シーンを「これでもか!」というくらい盛りこんだコメディ動画シリーズ「Apple at Work」の第3弾。

毎回、"箱づくりプロジェクト"に悪戦苦闘している、へなちょこ4人組チームがついに会社から独立?

これも続けて見ると楽しめます。いずれも長尺ですがシリーズ作を貼っておきます。

参考①:Apple at Work — The Underdogs

参考②:Apple at Work — 在宅勤務のすべて(日本語字幕付き)


タイタニウム部門

Long Live The Prince
Kiyan Prince Foundation+EA Sportsほか
Engine,Londonほか
United Kingdom

将来の活躍を大いに期待された天才的サッカー選手、カイヤン・プリンス。2006年、彼は仲間の喧嘩を止めようとして、校門の前で刺殺された。まだ15歳だった。

父親のマーク・プリンスは、亡き息子の名を冠した財団を設立。スポーツとメンタルトレーニングを通じて、人生に前向きになれない若者たちを支援する活動を行なっている。

存命であれば30歳を迎えるはずの2021年、カイヤンはプロ選手として甦った。サッカーゲーム「FIFA21」内に。15歳当時の写真と父の30歳の頃の写真を合成して生み出された"バーチャル・カイヤン"を、ユーザーはゲーム内で活躍させることができる。

スポーツゲームブランド「EAスポーツ」はじめ、様々なブランドとの連動キャンペーンも展開。一連のキャンペーンによる収益は、カイヤン・プリンス財団に寄付された。これまで財団が3年がかりで集めていた寄付金が、たった1日で集まったという。


サステナブル・ディベロップメント・ゴールズ(SDGsライオン)

The Missing Chapter
P&G Whisper/Whisper Sanitary Pads
Leo Burnet,Mumbai
India

インドでは毎年230万人の女性が、義務教育をドロップアウトする。貧困がその理由の大きなものだが、生理教育の欠如も一因として挙げられている。

特に農村部では、現在も生理がタブー視されており、生理用品の使用率は低い。家庭でも女性の身体の仕組みについて詳しく教えることが少ない。

「Keep Girls In School」を掲げる生理用品ブランド・ウィスパーは、インド社会にはびこるスティグマ(差別・偏見)を打破するための様々な活動を行なってきたが、今回はその一環としてキャンペーン映画を制作した。

このショートフィルムを通じて、生理教育が行われないことが、ティーンエイジャーの義務教育のドロップアウトに結びついていることを、インド社会に訴えている。

グラスライオン・フォー・チェンジ

Data Tienda
WE Capital/Data Tienda
DDB México,Mexico City+Estudios Machina Bogotá他
México

※昨日の「クリエイティブ・データ部門」に続いて2つ目のGP。今日はエントリーボードを上げておきます。動画や解説はバックナンバーをご参照ください。

Cannes Lions 2022ー"とりあえず"のまとめー

受賞結果はこんなところで。まだ情報が整理できていないため、日本に戻ったら今年の傾向などじっくり分析してみたいと思います。

最終日、ウクライナから参加しているペイヴェル・ヴォルジェッシュさん(通称パーシャさん)のお話を聞くことができました。

パーシャさんは同国最大級のクリエイティブ・エージェンシー「Banda」の共同代表で、初日のメインセミナーにも登壇していた方です。

ペイヴェル・ヴォルジェッシュさん

Bandaは今年、デザイン部門でシルバーも受賞しています。年月をへるにつれ"消滅"していくチョルノービリ原発のロゴをデザインするプロジェクト。

インタビューはまたどこかに発表したいと思います。いろんなことを考えさせられる取材となりましたが、次の言葉が刺さりました。

「戦争が始まってからすべてが変わりました。いま私たちがやっているのは、ブランドを売る仕事ではなく、真実(Truth)を売る仕事なんです」

企業との仕事がなくなり、現在はウクライナ国防省と連携、ロシアから発信されるフェイクニュース対策のプロジェクトなどに関わっているパーシャさんが、自身の現状を説明する言葉です。

しかし、その話を聞きながら、ふと、こうも思った。「ブランドを売る仕事=真実を売る仕事」にはならないのだろうか? 両者はまるで"別のこと"なのだろうか?

日頃はあまり考えることがない、ビッグなテーマに気づかせてくれるのが、カンヌ・ライオンズの面白いところです。

(カンヌライオンズ2022速報:バックナンバー集)


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