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河合正澄
2024年5月23日 10:14
真夏の昼下がり、主人公は四つ年上の女性と母校の高校野球の観戦に向かう。 野球場の席に腰を下ろした時、彼はふと今隣に座る女性と参加した、花火大会の夜に見た光景を思い出す。 あるビルの屋上から、外国人の幼い少女が夜空に咲き乱れる花火に向けて手を振り、大声に叫んでいる姿があった。 成人した後まで、彼女はこの夜のことを覚えているだろうか、と彼は考える。大人になった彼女は、花火のことは覚えていても、
2023年7月16日 10:45
大学浪人時、予備校にあまり行かず、代わりに図書館のロシア文学やフランス文学を読破しようとの試みに時間を費やす主人公の志水靖高。 ひょんなことから、同じ予備校に通う有吉、草間という生徒二人と友達同士になり、彼らと共に喫茶店へ行く。 その店には、『星々の悲しみ』との題が付けられた一枚の大きな絵が入口に飾られていた。 青々とした葉が茂る大木の下で、麦わら帽子を顔に載せて眠り込んでいる少年の絵。