川合ケンのノート
◆ミンミンコラムその1
みんなの民族楽器ミンミンの創作者川合ケン(意匠登録第1277496号 2006年)です。
みんなの民族楽器ミンミンは株式会社ホスコ(2022年に川合は定年退職しております。)で取り扱っていました。
残念ながらミンミンは2024年5月、ホスコさんで廃番・取り扱い終了となりました。
私は個人で細々とでもこの楽器を世に残していきたい旨、ホスコさんに伝え、まだ生産ラインの残っている工場と交渉し、ミンミン復活のプロジェクトを立ち上げ、個人での 販売を始めることに致しました。8月から準備を進め、ミンミン及び新製品のミンミ・ミニともに新しいサンプルも出来上がってまいりました。
今回から数回にわたってミンミンに詰め込まれた思いや工夫についてお伝えしてみようと思います。
1)ミンミンという楽器について
今回は楽器としての音楽的な工夫についてです。
ミンミンは小さいボディで大きな音が出るように設計されています。ボディーとネックの間に接着部分が無く、ボディのサイドとバックもくり貫き構造で、ちょうど1枚の板 から削りだした柄杓にトップ板で蓋をしそこに弦を張ったような、パーツも少なく非常にシンプルな構造です。この構造によって、弾いたときに弦の両端で起こる振動が減衰 されること無く効率的に楽器全体を振動させます。
使っている弦はアコースティックギター用のスティール弦(ライトゲージの2弦016、3弦024、4弦032)です。ギターでは低い方からレ、ソ、シにチューニングするところを ミンミンは基本ド、ソ、ドにチューニングします。使っているゲージに対して音程的にはギターと同じような高さですが弦長は590mmと通常のギターよりかなり短いので弦のテンション弱くなり、振幅幅は大きくなり共鳴もしやすくなります。アコギのチューニングを緩めてオープンチューニングにしたときに生まれる響きの良さを想像していただくとお分かりいただけるでしょう。
サドルはトップにそのまま乗せるタイプで弦のボールエンドは簡単なテールピースの穴に通すだけです。ここでも楽器の端から端までを確実に振動させる工夫がなさ れています。
さらに最近のギターでは見かけなくなったゼロフレットを採用することにより弦高を低くし、共鳴により若干のビビリ音が生じるようになっています。これは三味線その他 の民族楽器に多くみられる「サワリ」といった構造の効果を狙っています。普通に使われているエレキギターのディストーション(ひずみ)も同じ効果ですが、雑音が入ることにより驚くほど音に広がりと深みが生まれます。
このようにいろいろな方法で小さなボディで大きな音が出るように工夫してあるのです。
ミンミンの音の良さ楽器としての構造をご理解いただけましたでしょうか?
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%83%9F%E3%83%B3_(%E6%A5%BD%E5%99%A8)