ただ、想いながら。映画『余命10年』の感想
何のためにあなたはそれをしているの?していないの?それでどんな自分になりたいの?毎日がへんに退屈で、本当にいいの?
分からないに決まっているからもう、そんなのは考えたくない。自分が今どんなことをしているのかなんて知らない。
誰にも、なんにも。自分のことを知られたくない。
でも、なにかが変わってほしい—。
その何かは分からないけれどとにかく、今の自分の、この生活の、何かが変わってほしい。そうしたらきっと、自分は頑張れる。自分はきっと大丈夫になれるから。
だから、何かが変わってほしい——。
それで、その笑えるくらいに何もない24時間が、少しずつ変わっていたことに気づくのは、いつも何かが変わっていたあとで。
昨日と今日のちがいなんて、今日と明日のちがいなんてなんにもないけれど、それでも、あの人に会ってからあの人がいなかったら、自分のまだ来ていないその先は、今いる今日と何も変わっていなかったかもしれなくて。
その、たった一人がいるだけで、思い出すだけでそれだけで充分で、それだけで自分は大丈夫になれて。たった、小さいひとりのその大きい存在に、自分は幾度と助けられて。
そんなのは、くだらないと思われるかもしれない。
自分でもそう思うときがあるかもしれない。自分とあの人がおんなじ気持ちかは分からない。
それでも、それでも、あの人がいるから自分はどこかで、繋ぎ止められている。ふんばることができてる。
そんなふうに感情がうごく映画だったのです。
『余命10年』