歩くをやる
札幌時代、地下鉄とJRの路線図は頭の中にあった。そのぐらい簡素。東京に出てからすごい量の電車と路線を体験した。東京の人に、
「これ全部おぼえてるの?」
と訊いた。使ってるところは覚えるがそれ以外は知らん、路線図をみて移動する、といわれた。どこの駅でも無料で名刺大三つ折りくらいの路線図が配布されていた。私もそれを財布に入れていた。
その路線図では、ちゃんと連絡してあるように書いてあるのだけど、そして駅名も同じなのだけど、乗り換えにとてつもない距離を歩かされた。こんなもん連結と呼ぶなという感じの距離があった。中には階段のぼりおり複数というのもあった。歩かされてるなあと思った。遊びに出たり買い物にでたりすると歩かされる。東京は歩くところなんだなとわかった。バイクを手に入れてからも、友人との待ち合わせその他は電車を使った。歩くのに慣れて十年くらいして札幌に戻った。
こっちは基本、車のある人は歩かない。徒歩五分の場所にも車でいく。近所のコンビニに歩いていったことなどほとんどない。たかが数百メートルなのに歩かない。今年の冬は車を使わなかったので少し歩いた。
雪もとけたし毎日散歩でもするかなという気分になった。冬の間なんて一歩も外に出たくなかった。今年から歩くをやるかな(『ぼのぼの』のシマリスのように読んで下さい)。東京から戻ってきて、歩くをしないここ二十数年だった。東京時代は歩いた。歩かされた。
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