MMTメモ3 量的緩和の失敗
そもそもMMTの概要とか初回から説明してないことに気が付いたが、次にでも書く。
量的緩和に関してはMMTの話に入るのか微妙だけど、日本においては経済政策の失敗の縮図というか、説明しやすいので書いてみる
1.量的緩和とは
1-1.対応内容
デフレ対策として、市中銀行が保有している国債を日銀が買い集めることで、市中銀行の当座預金残高量を増やした。ただし、現状わかる通り景気は良くなっていない。
1-2.目的
市中銀行、つまり民間の銀行の預金残高を増やすことで、銀行が企業へ融資できる量を増やす。その結果市場へお金が流れ、景気が回復することを見込んだ。
1-3.経緯
ゼロ金利政策で景気が改善しなかったため、そのテコ入れとして採用した。
*ゼロ金利政策 ・・・ 政策金利をゼロに近づけることで、民間での金利も下げる。そうすることで企業が低リスクで融資を受け、資金調達を行えるようになり、経済が活性化するのが狙いだった。ただし、後述するが量的緩和同様の理由で効果がなかった。
2.期待値が誤り
2-1.できたこと、できなかったこと
市中銀行のお金を増やすこと自体はできている。ただ、そこから民間へ流れることがなかった。
2-2.なぜデフレ脱却の効果がなかったか
この対策、要するに
・企業がお金貸してほしくて手を伸ばしてる
・銀行のお金が増え、銀行側がその手を握り返せる量が増える
・その結果企業の資金調達が全体的に増え、経済回復
という見込みであったが、1番目の、企業が融資を求めている、という考えがそもそも誤りだったため、他すべてが成り立たなかった。
2-3.結局デフレが原因
融資を受けたいとき、おそらく以下の2パターンだと思う
・新規事業のための資金調達のため
・事業拡大のための投資資金のため
ただし、不景気の状態では、新規事業もハードルが高く、事業拡大も見合うだけの利益がなく、リスクが高い。
そのため、そのそもこのタイミングでの融資を希望する企業が少ないため、政策が想定していたほど企業が手を伸ばしていなかった。なので融資をデフレ対策のターゲットに考えるという前提の部分から破綻していた。
3.限度がある
量的緩和は、市中銀行の国債を買い取ることで対応しているため、市中銀行の国債がなくなってしまうまでのリミットが存在する。
正直、現在でも効果が上がっていないので、買い取り増やしたところで意味もないと思う。ただ、仮に効果があったとしても買える国債がなくなるまでの限定的な対応になってしまうので、恒常的な対応にはなりえない。
なので改善したとしても一時的なものにしかならず、根本が改善できない。
4.まとめ
つまるところ、デフレ対策なのに成功する前提条件がインフレであることだったのでどうしようもなかったというのがこの政策。
ただ、少なくともデフレ対策ではあるので、マイナスにはなっていないので他よりはマシと思っている。PB黒字化目標だとか、消費増税だとかは完全にインフレ対策なので、効果はなかったとしてもインフレにしようとした政策は最近少ないので。
今世紀入ってからの希少なデフレ対策だと思うので、失敗はちゃんと分析して別の対策を考えるのが今必要な対応だと思う。