どうにかこうにか。

公演が終わった。
劇団旗揚げ15周年のメモリアルな年で、合計20ステージのロングラン。

これだけでも中々にプレッシャーのかかる状態なのに、コロナとかいう厄介者のせいで、いつ公演が中止になっても全く不思議でないというシビアすぎる状況。関東方面では、誰がどうみても感染拡大と言わざるを得ない報道ばかり。何をどう贔屓目にみたって、公演をするのに不利な条件しか揃ってない。さらに稽古期間も、色々な事情によりめちゃくちゃ短かった。実質いつもの3分の1以下くらいだったと思う。

小屋入り2週間前に台本はまだ1ページもなく、ぼんやりとした構想だけが頭の中に浮かんでいるだけだった。死ぬほど恐ろしかった。稽古スタート同時にカウントダウンが始まっている状態だった。とにかく書いた。

10数年の経験値だけを信じ、大丈夫、今までだってなんだかんだ本番に間に合わなかったことなどないじゃないか、そう必死に自分に言い聞かせながら書いた。

とはいえ、これまでの芝居人生の中で一番恐ろしい稽古期間だった。1日たりともミスれない。書き直しをしている暇はない。一発で決定稿に近いものを書いていかなければいけない。あまりのプレッシャーに、頭おかしくなると思った。大げさでもなんでもなく、人生最大の恐怖の2週間だった。
半分感情に蓋をして、バカになってヘラヘラしながら書き続けた。そうしないとプレッシャーに押しつぶされて心が折れると思ったから。なんとか自分を騙して、毎晩必死にパソコンに向かった。

とにかく自分に自信がない。
こういうピンチの時、その自信の無さが自分を苦しめる。
良いセリフが書ける、面白い笑いを思いつく、その時必要なのはやっぱり心の余裕、楽しいなあという気持ちが何よりも大事。

不安を抱えていたり、心配事があると、そわそわして全く何も思いつかなくなる。焦る、書けなくなる、の負のスパイラルに簡単に落っこちるので、とにかく自分のテンションや気持ちを落とさないことがどんなことよりも最優先なのだ、というこだけはわかっている。この期間はコロナのニュースもできる限りみなかった。
スポーツにはメンタルが必要だというが、脚本も絶対そう。
良い精神状態で臨んだ方が、間違いなく良い本が書ける。少なくとも自分の場合は。

なので、なるべく稽古スケジュールも余裕を持って組みたいし、プライベートや他の現場でも、身の回りに何か問題が起きないようめちゃくちゃ慎重になる。

そういう意味では今回は、本当にベリーベリーハードモードだった。
苦しかったというよりも、怖かった、だ。とにかく。

この節目の公演で、
万が一、書けなかったら?

書けたとして、とんでもない駄作を作ってしまったら?
楽しみにしてるお客さんをがっかりさせてしまったら?
それを一ヶ月上演し続けなければいけないとしたら?

書いてる途中、なんどなんども、頭に浮かぶ様々な不安を、気づいてないふりして突っ走った。お化け屋敷を、目を閉じて走り抜けるあれと似ている。

先日、どうにか千秋楽を迎えることができた。思ってる以上にほっとして、思っている以上に力が抜けて、これはヤバイと気を張り直した。
自分のイメージ以上に体と心がバテてる感じがした。ここで脱力すると体調とか崩しそうだ。このご時世本当にまずい。

そして実は、次の本番まで二ヶ月をさくっと切っている。年末年始を挟むので、執筆と稽古合わせて一ヶ月くらいかもしれない。シビアな現実がそこにある。ああ、怖い。

新作は毎回怖い。今まで書けてたのはただのラッキーだったんじゃないかとか、突然笑いのセンスが全くなくなってしまったら、とかよくない妄想ばかりがぐるぐる巡る。自分に自信がない。ああ、しょうもない。

こういうネガティブなことは、なるべくツイッターとかに書かないようにしてるし、そもそも外に向けて出すもんでもないと思うけど、まあ、ここならば、ということでひっそりと。文章にしてアウトプットすることで、気持ちの深呼吸をして、色々と整えている感じもある。実際、言葉にするのは大事だ。

いつになったら自分に自信が持てるのやら。
いい加減、自信たっぷりに創作できるようになりたい。
自信のある、かっこいい人間になりたいものだねえ。

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