演劇ライブ配信を観た。

本多劇場グループ PRESENTS ACALINO TOKYO
「演劇の街をつくった男」千秋楽をライブ配信で見た。

ACALINO(本拠は福岡)とはいくつかの企画で関わらせてもらっていたり、今回の公演を動かしている林雄大は昔からの芝居仲間だったり、企画の中心であろう中薗ことゾノとも、北九州のノゾエさんのプロデュース公演で一緒だったり、

あと、演劇のライブ配信というものにも興味があって(というか自分らもやがてやらなきゃいけないことだろうのでその予習も)初めてオンラインでチケット購入し、開演を自宅で待った。

50分ほどの中編。主人公の、ゾノ演じる女優が、下北沢の珉亭の階段から転げ落ち、どういうわけか過去の下北にタイムスリップ。本多劇場を作った男、雄大演じる本多氏と出会い・・・。というストーリー。

なんというか、色々ぐっときた。ゆったりと進む物語。
劇場が生まれる前の下北沢から、2020年の下北沢へ。
ゾノが完成したばかりの本多劇場の客席に座って、やがて来る未来を思うシーンが素敵だった。
登場人物は皆、演劇が好きな人たち。悪い奴も嫌なやつもいない。すごく優しい劇だったなあ。

時々、ちらり客席が映る。マスクをして、十分な間隔をあけて座っているお客さんたち。劇場に、客席にお客さんが座ってる、ということがなんだかとても尊く思える。

作り手も観客も関係なく、劇を大好きな人たちがそこにいる。
役者が舞台で演じて、それをお客さんが観ている。お客さんと役者が同じ空間にいるという、これまでだったら本当に当たり前のことに、思った以上にぐっときてしまった。

ああ、今、この同じ空の下、福岡からはちょっと離れてるけど、俺も大好きな下北沢で、劇が行われてるんだなあという事実がとても、尊い。

観ながら、下北沢が、駅前劇場が懐かしくて仕方なくなってしまった。

皆でぎゅうぎゅうになってアップするロビーには、壁際に置かれた差し入れのお菓子。飲み物を飲みながら、壁にかかった山ほどのチラシの束を眺める。
楽屋に続く廊下のフックには劇団員のアウターがかかっている。
楽屋はいつも奥が男子、手前が女子。

仕込みをして、休憩時間に下北をぶらぶらして、本番やって、飲みに行って宿に帰る。なんと愛おしい時間か!と、胸が熱くなる思い。

まだまだ探り探りだろうけど、それでも、下北沢でまた劇が始まったという事実は、とても胸にくるものがある。本多さんご本人の登場もまた、素敵だった。

劇場にお客さんがいて、照明が灯り、音楽が流れ、役者が演じる。
やっぱり、いいなあ。

演劇の火は消えないぞきっと、と、思った。
ほんと、まだまだこれからだけど、少しずつ、少しずつ。

まだ、打ち上げも難しいのかもしれないけど、皆さま、どうにかうまいこと打ち上がってくださいな。お疲れ様でした。素敵でした。

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