機械系メーカーの品証はいいぞ
大手機械系メーカーの品質保証部門として1年間ほど働いたので、入社する前には知らなかった品証の良いところを紹介します。
ただし、同じ品質保証部門という名前でも、会社によって役割はかなり異なるそうなので、あくまで一例として参考にしてもらえると嬉しいです。
品証に向いている人
私が思った品証に向いている人はこんな人です
製品が好きな人
全体を見たい人
知的なコミュニケーションが好きな人
上流工程に携わりたい人
メリット
ここからは、品証部門のメリットとデメリットについて、紹介しようと思います。
メリット①:モノづくりをビジネスにする仕事
趣味のDIYやモノづくりと製品を売って利益を出す製造業との大きな違いが、品質保証があるかどうかだと思います。
DIYや工作が趣味の人、これまでプラモや何かしらのものを作ったことがある人は想像してほしいのですが、自分が創ったものを売ってビジネスにするには何が必要でしょうか。
利益を出すには材料を一気に安く仕入れ、大量生産で効率用作っていく必要がありますが、それと同時に、すべての製品で安全や外観、性能などが基準を満たしていることを保証する必要があります。
ここが保証されていないと、製品を買った人からクレームがきたり、製品の評判が落ちたり、返品や修理などで多額の費用が掛かる可能性があります。
最悪の場合は裁判沙汰です。
それを防ぐのが、出荷前製品検査を主体とした品質管理であり、ミスが起こらないような仕組みを作りこむ品質保証なのです。
品質保証部門は、自社が作る製品を、趣味からビジネスに昇華させる非常に重要な部門であり、そこにやりがいを感じることができます。
メリット②:現場に近い
品質保証部門は非常に現場に近い仕事です。
不具合が起きたときの原因調査などは、現場・現物・現実の三現主義をベースに行う必要があります。
いつでも好きなだけ仕事中に製品を見ることができますし、図面や仕様書なども読みたい放題です。
また、不具合が起きていなくても、日々現場に足を運ぶことはとても重要です。
作業者に変化はないか、現場に異変は起きていないか、工具や治具に変更はないかなど、作業者や検査員とコミュニケーションをとりつつ、不具合の原因となりうる要素を常にチェックすることも仕事のうちです。
そうした日々の観察力が、不具合が起きたときの速やかな原因究明に役立ちます。
とにかく現場に近く、好きな製品のそばで仕事ができる点も、品質保証部門の良いところです。
メリット③:全体を見ることができる
品質保証部門は、製造業の流れでいうと最下流部門ですが、だからこそ全体を見渡して仕事をすることができます。
不具合が起きるときの原因は、構造、電気系統、燃料系統、材料、調達、部品工程、組立工程、塗装、接着、など多岐にわたります。
ミスが起こらない工程など存在しないので、品質保証部門にいることで、製品を作るために必要なほぼすべての部署とかかわりを持つことができます。
その中で、製品製造に関するすべての知識を得ることができるので、幅広い知識と専門性を持った、各分野の専門家と話ができる人材になることができます。
製品全体を見ることができるのは、最上流にいるプロダクトマネージャー化、最下流にいる品証部門のメンバーのどちらかだけです。
プロダクトマネージャーになるには長く険しい道のりが待っていますが、品質保証部門に入れば平社員の階級でもモノづくりの全体像を把握できる立場で仕事をすることができるようになります。
メリット④:下流工程の最上流
生産現場は製造業の流れでいうところの最下流工程ですが、その最下流工程の、とくに不具合対策の業務では品質保証部門が最上流に位置しています
不具合対策の際は、品質保証部門が問題の定義から行います。
要件定義(何が問題で、どう解決するのか)がその後のコストに最も影響を与えるのは設計開発でも製造現場でも同じです。
不具合対策は品証が設定した方針で動くので、自分が方針を決める、という最上流の仕事を経験することができます。
問題というのは、あるべき姿と現状との差、として定義されるので、品証部門で仕事をするためには、常に「自分が担当する製品はどうあるべきなのか」ということを頭に思い描いておく必要があります。
大手機械メーカーの設計の最上流工程は概念設計ですが、ここに至るためには長い長い出世競争を勝ち抜いていく必要があります。新米設計者では触れることすらできない領域です。
新入社員の時から最上流工程のエッセンスを経験することができる、というのは、品証部門に入った社員の特権です。
メリット⑤:べからず集を学べる
品証部門にいると、製品にかかわるありとあらゆる不具合に遭遇します。
そうはならんやろ、、、なっとるやろがい!の連続で、賑やかな職場です。
それらの失敗は、その原因とともに、経験や知識として自分の中に蓄積されていきます。
品証部門として頑張ることで、「ある製品について、上流から下流までの幅広い知識を持っていて、過去の製品で実際にどんな不具合が起きたかをすべて知っている人材」になることができます。
あなたが新製品を開発するプロダクトマネージャーになったとしたら、このような人材についてどう思うでしょうか。
私は、極論すべての新入社員が入社から1年間品質保証部門に配属されれば、設計や生産技術の不具合はほぼなくなるのではないかと思っています。
デメリット
ここから先はデメリットについて紹介します。
デメリットとはいえ、所詮は個人の特性との相性の問題なので、別に全然気にならない人もいると思います。
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