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【自然環境部会コラム】自然を訪ねて(3)世代をつなぎ、子どもが取り組む地域の環境問題

ふくはら子どもエコクラブの活動

 ふくはら子どもエコクラブは活動を始めて10年になります。楽しみながら環境問題で体験的に取り組む活動を続けてきた”地域こどもエコクラブ”です。環境問題は多様にありますが、基本は地域に根差した環境問題に関心を持ち、これに取り組むことが大切だと思います。

 活動の基盤は川越市の福原で、雑木林をフィールドにして年間計画を作成し、子どもたちの興味と地域の課題を考えて体験的な活動にしています。

 この活動は、”循環型農業の支援”と”雑木林などの自然の多様性”を遊びながら体験することです。そのためには、雑木林をよく知り、これを守り、活用することが大切です。行った活動は、①「くずはき」、下草刈り、枯れ木処理など伝統的な管理の実施、②循環型農業で栽培された野菜を活用した豚汁、地産地消のサツマイモやお米を用いた食育の実施、③雑木林や不老川の生きもの調査、④林の中でのキャンプ、奥武蔵へのハイキング、⑤県や市での活動発表と多面的な活動を多くの人の応援を得て楽しく実施してきました。

雑木林で遊ぶ
不老川の生きもの調べ

見つけた雑木林の生きもの

 1年間を通しての活動で、雑木林の生きものを10年間にわたり観察して、11目73科で233種の昆虫を見つけました。毎年見かける昆虫に加えて、アオマダラタマムシ、ヤマトタマムシ、そして樹液に集まるノコギリクワガタ、オオスズメバチ、ルリタテハなどを観察しています。また不老川ではアユの遡上を確認し、大きなアカミミガメを捕まえました。もちろんオオタカの営巣も確認し、キンランなどの貴重植物も見つけ、約1万m2の狭い林にも豊かな生態系が保たれていることがわかってきました。

 この雑木林を守るために、モウソウ竹のタケノコを収穫して竹が林に広がるのを事前に防ぎ、枯れ木を集め焼却し、シノ竹を刈って「くずはき」をしやすくし、昔ながらの雑木林の維持と生態系保全に取り組みました。

地域の環境を豊かにする活動

 世代を受け継ぎ行ってきた小さな活動の積み重ねで、雑木林の自然が守られ、その自然に依存している植物や動物、野鳥、昆虫などが継続して生息することができます。それが地域の環境を豊かにしています。

 今年は、SDGsを意識して日ごろ子どもたちが取り組んでいるエコ活動を報告する交流会を開きました。また、雑木林を再生するために、コナラなどの植林も取り組みました。ささやかな取り組みですが、70人近くの子どもたちが”こどもエコクラブ”を卒業しました。未来の地域の環境を考える一助になれば継続してきた意味があるのかもしれません。

(ふくはら子どもエコクラブ 過昌司)


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