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【社会環境部会コラム】社会と環境について思うこと(31)めざせ!川越に豊かな湧水と清流を

 10月末、東京都で唯一「平成の名水百選」に選ばれた「落合川と南沢群」のフィールドワークにとあるご縁で参加した。集合場所は本川越から30分ほどの東久留米駅。駅から少し歩いたところでもう清流の落合川に出られ、あちこちで湧水を見つけることができた。

南沢緑地
住宅地を流れる落合川

 湧水を水源とする落合川は、黒目川に流れこんだ後、新河岸川と合流する。今年は、長年シルバーガイドをしてきた父が「舟運が支えた川越藩と江戸との取引」を自費出版した。その中に「湧水を水源とした新河岸川は季節に影響を受けず流量が安定していたため、江戸にとって重要な舟運であった」と記されている。川越が新河岸川の舟運で栄えたことは知っていたけれど、湧水ゆえに安定的に富がもたらされたことは知らなかった。

 フィールドワークの後、月吉陸橋を車で渡った。下を流れる新河岸川は私の子ども時代よりはきれいになっているけれど、清流とはほど遠い。清らかな湧水があふれ、流れ出る地であったはずなのに、それを失ってしまったのはなぜか? 考えられる理由は二つ。下水道整備が早かった川越市街地は、雨水と下水を合わせて管で流す合流式で、降雨時には汚水の一部が新河岸川に流れ込んでしまうから。もう一つは、東久留米のように「多様な自然環境を残すための湧水地と樹林の保全」に取り組んできていないから。

 下水道を分流式にすることも、市街地を雑木林に取り戻すことも簡単ではない。莫大な費用がかかる。でも、市民レベルでお金をかけずにできることもある。それが、雨を貯め、土に浸み込ませ、下水に雨水を流さないことだ。

 11月末、かわごえ環境ネットの会員として「雨と緑を楽しむグリーンインフラ講座」を企画から担当させていただいた。墨田区を拠点にする雨水市民の会、川越市上下水道局、事業者、市民の夢のコラボ企画となった。

 12月初旬、家族と共に東久留米を再訪。20歳の娘も自然と清流を大いに楽しみ「こんなきれいな水が流れる街になるならどんな努力もするのに」と話してくれた。目標にできる場所を見て楽しんでもらうのが一番よいみたいだ。

12 月初旬、娘が現地で撮影した写真(1)
12 月初旬、娘が現地で撮影した写真(2)

(石山民子)

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