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神職・巫女自らが手をかける紅花栽培
川越氷川神社では、敷地内の畑で紅花栽培に取り組み始めて今年で5年目を迎えます。手摘みした紅花は、伝統的な製法の口紅「千代紅」や、埼玉秩父産の生糸を染め上げたりするのに使っています。
当神社の神職や巫女らが紅花を育て収穫するに至った理由や、紅花生育の様子をぜひご覧ください。
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紅花で染めた糸でお守りを作りたい
古来より紅をはじめとする赤色には、破邪招福の力があると信じられてきました。たとえば鳥居、お守りや水引など、現在も呪術的・祭祀的な意味をもって使われています。
紅とは、紅花の花弁にわずか1%のみ含まれる赤色色素のこと。その紅は、人生儀礼や年中行事において、衣裳や化粧などに用いられてきました。
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神社にとっても人の営みにとってもゆかりの深い「紅」を自分たちの手で作りたいと考えたのは、埼玉県が絹の名産地であることも深く関係しています。
日本三大曳山祭りのひとつである「秩父夜祭」は、別名「お蚕祭り」とも呼ばれる、日本最大級の絹市でした。その年に採れた繭を奉納し、1年の繁栄を祈願する「蚕祭」が現在も行われています。
この埼玉の蚕糸・絹文化を次代に伝えるための方法を模索、実践するための場として、秩父神社・高麗神社・川越氷川神社が合同で、「さいたま絹文化研究会」を平成25年(2013)に発足しました。
絹文化を守るためにも、「自分たちの手で紅花を育て、埼玉産の絹糸を染め上げたい」「その絹糸を使い、神社の者たちで心を込めたお守りを作りたい」ということを、当神社の目標のひとつとして掲げています。
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生糸を染料に漬けるごとにほんのり紅く染まっていく様子や、染めた生糸を竹の棒に垂らして並べた光景はまさに佳麗そのもの。最終的には、紅花栽培からお守り作りに至るまで、一連の神社の取り組み自体を神事として多くの方にご覧いただけるようにしたいと考えています。
紅花栽培や生糸を染める様子は、別の機会に詳しくご紹介させていただきます。