第69回有馬記念全頭解説&予想(ドウデュース除外後)
・テーマ
20年ぶりの秋古馬三冠で勇退か、別路線組の逆襲はあるか。大本命不在で混戦模様。スローペースを捌くのはどの馬か。
・ポイント
なんといっても引退レースであるドウデュースが主役で間違いない。まさかのドウデュース除外。あれだけの馬なので何かあってはいけないので仕方ないがラストランを見てみたかった気持ちもある。
秋天→JCを優勝し、勝てばテイエムオペラオー、ゼンノロブロイに次ぐ史上3頭目の秋古馬三冠の達成がかかる。
別路線組ではやはり3歳馬だろう。
比較的成績の良い菊花賞から勝ち馬、そしてダービー馬も参戦。
レベル感が測りにくく好枠を引いたので人気するだろうが、取捨が馬券的には重要になるだろう。
加えて、前走海外組にも注目したい。
BCカップの2,3着馬とコックスプレート2着馬がいるがこちらは状態の見極めが鍵。
なにはせておき、歴代最多投票を10万票以上更新した歴史的名馬のラストランを楽しみたい。
しかし馬券的には大本命がおらず混戦模様でお金のにおいがする。
取り消し線を引いたが路線ごとの評価はおおむね上記の通り。
あとはドウデュースが捲っていくことがなくなったのでほぼ確定のドスロー。このペースに合う馬を狙いたい。
・2024年レース雑感
まずは今年行われたレースの結果から振り返りたい。
<古馬中長距離路線>
春は大阪杯、春天ともに良馬場開催で前者は捲りがあり、後者は先行勢で決まったものの中荒れ。
ただどちらのレースにもドウデュースは出走しておらず、有力馬は海外競馬または休養に当てた馬もいた。
対して宝塚記念は例年と異なり荒れた京都開催かつ重馬場。今回出走する馬も多数出走したがレースは大外分回しの差し決着。
今年の有馬は良馬場でできそうなのであまり参考になるレースではなかったか。
秋は秋天、JCとドウデュースが連勝。
どちらのレースも同じ展開で超スローからの上り勝負を異次元の末脚で差し切ってしまった。
去年引退した世界最強馬は自分でレースを作ることもできたが(晩年は逃げ、先行で全く他馬を寄せ付けなかった。)それとは異なる。
圧倒的加速力でコーナーだろうが直線だろうが突き放してしまえば追いつける馬は少なくても前述の2レースではいなかった。
武豊だからなせる業か武豊だからそうなるのかは定かではないが。
強い逃げ馬がいれば差し損ねも考えられるだろうが、スローのあのラップを差し切るのだからドウデュースの強さがより際立っただけのレースだった。
<世代限定三冠競走>
牡馬のみ触れるが、皐月賞はガチンコ勝負だった。
速い逃げ馬がいてそれを前で受けてレコード勝ちの勝ち馬はお見事。レガレイラとアーバンシックはあの位置からでは届かない。(上り1位タイ、3位)
逆にダービーはスロー。
勝ったダノンデサイルは完璧に乗った。一番いいポジションでじっとして直線で前をとらえた。鞍上の腕が光った。
皐月賞と同様、レガレイラとアーバンシックはあの位置からでは届かない(上り1位、4位タイ)
菊花賞はぐちゃぐちゃのレースになってしまった。
入れ替わり立ち代わりの競馬で勝ったアーバンシックは我慢して抜け出す鞍上の好騎乗。ダノンデサイルはかわいそうな競馬になってしまった。
世代レベルは?と言われると弱くもないし強くもない平均的なレベルだと解釈してよさそう。
ただ皐月賞馬が引退してしまったのは残念でならない。
・全頭解説
1枠1番 ダノンデサイル
脚質:差し? 適性:B+ 状態:B-
今年のダービー馬。菊花賞は能力負けということではない内容だと感じる。
京成杯でアーバンシックに先着しているように中山適性は非常に高そう。
エピファネイアにA.P.IndyとStorm Catが入るように瞬発力よりは持続力型で東京<中山の上りがあまり早くならない方がいいタイプ。
ただ今回は状態に疑問符をつけたい。
馬の気持ち重視で調整したというようにダービー、菊花賞の時に行っていたWコースで6F80秒を切るような調教はなし。
陣営のコメントからも経験を積みたいみたいなテンションなので、そこまでしっかりやっていないかも。
鞍上のことも考え、最後方の可能性もあるので能力は評価するものの、馬券的妙味を考えて見送りたい。
1枠2番 ドウデュース(除外)
脚質:捲り 適性:S 状態:S
秋2戦完勝の前年覇者。
その秋2戦は上述の通り、極端なスローを豪快に差し切ったもので僅差だった。2着馬が出てくるならまだしも、それ以下の馬たちに逆転できるとは思えない。
自分でペースを作って負かせない以上、どんなレースをしても飲み込まれるのがオチ。
今回も逃げ馬不在でスローペース濃厚。秋2戦と同じ展開が見込める。
ただ今回は捲りが入る可能性がある。ただそうなっても速めに捲った馬をめがけて昨年の再現をすればなんの問題も無いだろう。
どちらにせよ下げるので枠はどこでもよかったが陣営は内すぎるとコメントしていた。ただ、有馬の内枠を悲観することはないだろう。
状態面もいつも通りWコースで猛時計→坂路で軽く→Pトラックの黄金調整。
昨年勝った時に叩き良化型と言われていたが、今年も秋3戦目で絶好調になっているだろう。
ここまで問題が1つも出てこなかったが唯一、負けるとしたら「コース取り」だろう。
そんなことはしないと思うが内で包まれるまたは外回すときに外すぎてめちゃくちゃ距離ロスするの2パターン。
ただこれは鞍上の腕次第である。
武豊がやらかすことに賭けてもいいと思うがそんなことになる星のもとに生まれてきた人では無いと思います。本命。
2枠3番 アーバンシック
脚質:先行 適性:B+ 状態:B
今年の菊花賞馬。
その年の菊花賞馬が出てくると1984年以降で(6-3-2-9)の回収率は100%越えで成績がとても良い。
ちなみに当馬はセントライト記念を勝っているが、外回りと内回りで若干コース形態は異なる。
個人的に当馬が一番強かったレースは百日草特別だと思っている。上がり3F11.7-11.5-11.3の綺麗な加速ラップを見事に差し切ったレースは本物だと思った記憶がある。
ダービーではペースが合わず届かなかったが、本質的には東京向きの馬ではないか?
血統的にはスワーヴリチャードを父に持ち母父ハービンジャーでウインドインハーヘアの牝系で名馬の家系であるとともに末脚が強力。
どうしても機動力が怪しいタイプだと思うが前走、前々走とルメールがうまく乗っていて今回も継続騎乗。
好枠を確保し、ドウデュースより前にいたいとコメントしてるようにポジション取りに行けば怖い存在であることは間違いない。
能力的には問題ないしコースもベストではないがこなせると思うので人気もかみして紐では押さえたい。
----------
ドウデュースがいないメンバーになるとこの馬の好位を取れる能力は相当生きる。かつルメールなので道中無駄に動くことなく好位から差しに行くはず。前が止まらない展開になるので逃げ馬のわずかに下がった隙間から抜け出せるだろう。対抗評価。
2枠4番 ブローザホーン
脚質:追い込み 適性:C 状態:B-
今年の宝塚記念覇者。
そのグランプリは前述の通り重馬場で大外分回しの馬しか来ない特殊レース。
今回のグランプリとはリンクしていないと言わざるを得ないレースだった。
春天で馬券になっているようにこの馬の長所はスタミナだろう。血統的にも母父デュランダルでスタミナタイプ。
テンのスピードには欠けるので今回も後方からどれぐらい詰められるかだろうが同じようなタイプが揃っており、絶対的なスピードが欠ける本馬にはきつそう。
調教も遅れが続いており心配。見送り。
3枠5番 ベラジオオペラ
脚質:逃げ 適性:B- 状態:B+
今年の大阪杯覇者。
その大阪杯は2着馬の捲りが入るも我慢して2番手から優勝。冷静だった。
道悪もこなすので宝塚記念も3着に粘ったが秋天は状態が上がっておらず6着。頑張った方だろう。
今回は逃げ馬不在で行こうと思えば行けそうな枠に入ったので逃げるのはこの馬だろうと考えているが問題は距離だろう。
父ロードカナロアは数々の重賞馬を生み、あのアーモンドアイの父としても知られるがアーモンドアイが惨敗した生涯唯一のレースが有馬記念だった。
父ロードカナロアで芝2400m以上の重賞を勝った馬はアーモンドアイ、サートゥルナーリア、キングオブコージの3頭いるがすべてNureyevかSadler's Wellsのクロス持ち。
本馬は同血脈のクロスを持たないため、ゴール前の坂を2回上がるかつ2500mの距離はどうしても長いと思える。イメージはパンサラッサ。
前走からの上澄みに期待できるし状態はよさそうだが、人気もしそうなので見送り。
3枠6番 ローシャムパーク
脚質:捲り 適性:A 状態:B+
今年のブリーダーズカップ2着馬。
戦績を見るとわかるように負けるときは重馬場か後ろから行って物理的に届かない位置の2パターン。
父ハービンジャーは不器用な馬が多くそのような競馬になりがちだが、血統的にはエアグルーヴ牝系ということもあり能力は確かであろう。
今回もテンが遅いので後ろからになりそうだが中山の内回りなら捲りが効果的に使える舞台である。
ただし、ドウデュースを負かしに行くのか行かないのかで取捨は異なる。
ギリギリまで我慢して3~4コーナーでドウデュースの前後で捲るなら残り目は充分だろう。
ただ向こう正面(3コーナー手前)で捲るとカッコウの標的となるだろう。逆にドウデュースの差し遅れを狙うならこの戦法は有効だがドウデュースはすごく強いと思う。
マーカンド騎手がどのように考えているかわからないが大阪杯は向こう正面で捲った。
3年連続の来日で3回目の騎乗となる有馬記念で年々上がっている中山の騎乗成績の通り、上手に乗ってくる可能性もあるので4番手の評価とする。
----------
ドウデュースがいないのでより難しくなった捲り戦法。ほぼ向こう正面で捲っていくことは確定だろうが同馬主であること、ムーア、クリスチャンが前にいることを加味すれば積極的にいって共倒れの未来は望まないだろう。すると捲っても5,6番手までであとから捲って進出したい馬を抑えるような形になると予想する。この馬の評価は下げないが、ほかの押し上げていきたい馬たちの評価は軒並み下げる。3番手評価。
4枠7番 スターズオンアース
脚質:先行 適性:S 状態:B
昨年は不利とされる大外から粘って2着。
今年はここまで全くいいところがないが強い馬であることに疑いの余地はない。
大外を回避した今回は状態面が気になる。
水曜日の追切後にはまだまだと騎手、調教師からあったように追い切りの迫力は物足りない。
母母スタセリタは2冠牝馬ソウルスターリングの母であるが同馬もオークス以降はぱったりでこの馬も気持ちの問題かもしれない。
昨年と同様、先行馬手薄で狙いたい馬だったのだが状態面不安から紐までの評価とする。
----------
展開は大いに味方するだろうが状態面が不安なので同様の評価。
4枠8番 レガレイラ
脚質:追い込み 適性:A 状態:A
昨年のホープフルS勝ち馬。
今年は皐月賞→ダービー→ローズS→エリ女と使ってまさかのすべて馬券外。
ただ皐月賞、ダービー、ローズSは上り最速で届かないなら仕方ない、エリ女はマークされ、馬群凝縮で進路取りもイマイチで惨敗と敗因は明らか。
古馬との対戦となってペースが異なれば3歳牡馬たちよりもこちらの方がやれる可能性は大いにある。
加えて前述のホープフルではダービー3着、JC2着のシンエンペラーに先着しており、中山でハマった時の爆発力はいいものがある。
斤量面でも3歳牝馬なのでハンデは4キロ。調教も問題なく動いている。
ドウデュースが捲った後をついていけば漁夫の利的に2,3着は狙いやすい枠だろうし戸崎が森泰斗引退に花を添えるところが見たい。対抗評価。
----------
ドウデュースについていけばペースが上がって…だが頼みの綱がなくなった。器用に動いていけるタイプではないことは自ら証明済みなので今回も差し遅れ濃厚。強い馬だと思うので紐にはいれるが...。
5枠9番 ディープボンド
脚質:先行 適性:A 状態:C
3年前の有馬記念2着馬。
コントレイルと同世代で長く現役を続けてきたが、絶え間なく使い続けても頑張って走る馬であることは間違いないだろう。
近年は衰えが顕著でさすがにここで狙うにはハードルが高い。見送り。
5枠10番 プログノーシス
脚質:捲り 適性:A 状態:B+
今年のコックスプレート2着馬。
戦績を見るとほぼすべてのレースで上り最速を記録しているように瞬発力に秀でた馬。
ただし、札幌記念や金鯱賞のように捲っていって最速が出せるハマった時のパフォーマンスは凄まじい。
というか馬券外は騎乗ミスのみ(差し遅れ)なので海外志向の強い使われ方をしているが昨年の秋天3着もあるように相当能力は高い。
今回は三浦の初騎乗でどんな競馬になるか想像もつかないが、こちらもドウデュースについて行けば必ず脚はつかってくれる。
父ディープインパクトで2500mが長いはずがないので距離も問題なく、海外帰りではあるが状態もそこそこ。
そもそもこれだけ遠征している馬なのでそんなに体調の波もないのだろう。
ジョッキーが理由なのか全然人気しないが、終いの脚が確実にあるのでドウデュースと一緒に上位進出して欲しい。3番手。
----------
ドウデュースと一緒に進出できなくなってしまった。こちらも差し遅れ濃厚だろう。一応紐。
6枠11番 ジャスティンパレス
脚質:差し 適性:C 状態:B+
こちらも秋古馬三冠皆勤賞。
ただ前述の通り、これまでの秋2戦を見ると末脚勝負でドウデュースに勝つことは厳しいと言わざるを得ない。
かつポジションを取るテンのスピードがないのでまた同じような競馬になるだろう。
昨年の有馬記念は非常に展開に恵まれた位置にいたが逃げたタイトルホルダーを交わせなかったところを見ても中山は疑問。
また今年は昨年よりさらにスローになりそうで、Roberto持ちのスタミナ豊富なディープインパクト直仔なだけに仔の点もマイナス評価としたい。
強い逃げ馬がいた方が能力を発揮しやすいタイプ。今回は見送り。
6枠12番 シュトルーヴェ
脚質:差し 適性:C 状態:B
今年の日経賞と目黒記念の勝ち馬。
どちらのレースも見事な差し脚であったがレースレベルは疑問。
前走の秋天は上がりの脚を使ってはいたがドウデュースには及ばない。
今回もそれなりの脚は使うだろうがそうなった時にもっと強い馬がいるメンバー。
ここは見送り。
7枠13番 スタニングローズ
脚質:先行 適性:B 状態:B→A
今年のエリザベス女王杯覇者。
レガレイラに先着はしているがC.デムが4コーナー早め先頭でよくもたせた競馬。今回も先行できそうな点はよいだろう。
ただしレースレベルは疑問。3歳牝馬が1番人気でマークされていたようにほかの馬はノーマークかつ一番いい場所を通ってきた。
戦績からしてもここでは強く買いにくい。見送り。
----------
さてドウデュースがいなくなって一番恩恵がありそうな馬を見つけた。よく考えてみた結果を展開する。
まずエリ女だが時計はよかった。レベルも2着馬はその後G3を勝っている。クリスチャンが乗って早め先頭抜け出しはジェラルディーナ、近走振るわなかったもののエリ女激走→有馬記念好走は引退レースだったサラキアと牝馬の好走パターンにあてはまらなくもない。これらの馬の好走理由は牝馬だからマイル~中距離レースに使っていたけれども実は2500m以上のレースに適性があったということもあり得る。実際オークス2着馬ながら2400m超のレースはそれ以降、使ったことがない。適性がある可能性も。
自信は母父クロフネが凄く気になるが、父バゴ×母父クロフネでグランプリ3勝したクロノジェネシスという馬がいたのでデータはよいらしい。状態はあまり気にしていなかったが引退レースということでバッチリ仕上げかつ先週の坂路では今年の自己ベストを更新。かつジョッキーはライアンムーア。クリスチャンが逃げ宣言していたが同馬主なのでやりあうことも少なくポジションが取れそうなのもいい。ついでに捲り候補も同馬主。こちらを本命とする。
7枠14番 ダノンベルーガ
脚質:差し 適性:C 状態:B
こちらも秋古馬三冠皆勤賞。
上がりは脚を使えるがやはりドウデュースにはかなわないし中山も疑問。
今回は見送る。
8枠15番 ハヤヤッコ
脚質:追い込み 適性:C 状態:B
アルゼンチン共和国杯勝ち馬。
そのレースは珍しく先行勢早いペースを刻み追い込み決着を大外から差し切った。
今回も後方待機になりそうだがスローだと届かないしペースが速くなっても末脚が使えるほかの馬にはかなわないだろう。
見送り。
8枠16番 シャフリヤール
脚質:差し 適性:B+ 状態:B+
3年前のダービー馬。
昨年は好枠からインでじっとして5着。意地は見せた。
今年も同じ競馬をすれば昨年よりも展開は向くだろうと思っていたが考えうる最悪の枠を引いてしまった。
そこまでテンが早くないのでスタートしてポジションを取りに行くことも容易ではない。
兄アルアインもそうだったがディープインパクト産駒としてはそこまで切れるタイプではないので中段から差していくにも他馬の決め手に及ばなそう。
引退レース?っぽく状態は結構よさそうだっただけに残念。見送り。
----------
上述の通り、枠は最悪であることに変わりはないが逃げ宣言までして先行しそうなのはドウデュースがいなくなった今とてもいい。とにかく先行して残り目に期待して紐では押さえる。
・結論
やっぱりドウデュースに勝てる馬見当たらなかった。
ドウデュースについていける馬を上位評価に。
◎2 ドウデュース
〇8 レガレイラ
▲10 プログノーシス
☆6 ローシャムパーク
△3,7
ドウデュースがいないなら単純なスローの前残り。
ここまでの秋2戦で同じことしてたんだから今回もどうせ同じ。
とにかく先行できそう&ジョッキーがペースをわかって進められそうな馬を上位にとる。
◎13 スタニングローズ
〇3 アーバンシック
▲6 ローシャムパーク
△7,8,10,16