困難女性支援パブコメについて、総務省・厚労省の考えを1問で聞いてみました


0. まとめ


【質問】パブコメの結果公示は全ての意見の趣旨と、それを考慮した結果を含んでいますか?
● 総務省:はい、その通りです。

【質問】困難女性支援パブコメの結果公示は全ての意見の趣旨と、それを考慮した結果を含んでいますか?
● 厚労省:ご意見の中には条文案そのもの“等”とは、直接的には関係のないもの“等”があるため、必ずしも全てを考慮した結果になっているものではございません。
 なお、非開示とした意見はありません。

※厚労省のご回答は、私にはよく分かりませんでした。

1. はじめに


 困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(案)、同法律の施行に伴う関係法令(案)についての2つのパブリック・コメント(パブコメ)についての総務省、厚生労働省に質問回答を基に、私の理解を確認する質問を1つ追加しました。なにぶん行政、法律とも素人であり、頂いた回答を公開しますので有識者に広くご議論を頂ければと考えています。
 本件は「諸派党構想・政治版」を活用し、浜田聡先生事務所(末永ゆかり様)を通して行ったものです。以下で示すのは、私が同事務所とやり取りしたメールを原文とし、記載順や段落等の調整、一部補足などを行ったものです。

「諸派党構想・政治版」
https://t.co/vByRfz8kWE

2. 前提


 これは「行政手続」に関して何か変なことが起きていないかと考えての質問です。立法の経緯や法律の内容などには、この質問は一切触れていません。
 パブコメは行政手続法に則っており、その結果の公示は同法43条に従っています。前回、パブコメの結果公示について、一般論を行政手続の管轄省である総務省に、厚生労働省には困難女性支援パブコメにおける対応を、それぞれ伺いました。
 今回は、前回質問の総括となる質問を両省に送り、回答を頂きました。

「前回の質問、回答」
https://t.co/7RhMP0dPNN

3. 質問


 原文まま、数字は前回質問の番号です。「e-Gov」は政府のポータルサイトであり、パブコメの募集および結果の公示はここで行われます。
●総務省
 1〜5より、パブリックコメントの結果としてe-Govにて公示されるものは、当該案件に寄せられた全ての意見(但し3、4に従い適正に除かれたものを含まない)の趣旨を含み、かつ、それらに対して考慮した結果が含まれると解してよいか?

●厚労省
(結果が開示された困難女性支援法に関する2つのパブリックコメントについて)
 e-Govに公示された結果は1.で回答頂いた件数の意見全て(但し一部の非開示となる部分を除く)の趣旨を含み、かつ、それらに対して考慮した結果が含まれると解してよいか?

 1で回答頂いた「意見の件数」の定義をご教示頂きたい。併せて、eメールで提出された複数の箇所への指摘を含むExcelファイルは、1件となるか指摘箇所の数等に応じた件数となるか、ご教示頂きたい。

4. 総務省の回答


Q. パブリックコメントの結果としてe-Govにて公示されるものは、当該案件に寄せられた全ての意見(但し3、4に従い適正に除かれたものを含まない)の趣旨を含み、かつ、それらに対して考慮した結果が含まれると解してよいか?

A. 記載いただきました解釈で問題ございません。

5. 厚労省の回答


Q. e-Govに公示された結果は1.で回答頂いた件数の意見全て(但し一部の非開示となる部分を除く)の趣旨を含み、かつ、それらに対して考慮した結果が含まれると解してよいか?

A. いただいたご意見の中には、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に伴う関係法令(案)」及び「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針(案)」の条文案そのもの等とは、直接的には関係のないもの等があるため、必ずしも全てを考慮した結果になっているものではございません。


Q.「意見の件数」の定義
A. 同一の方から頂いたご意見は、複数指摘が含まれている場合も1件とカウントしております。(意見フォームやメールでご意見をいただいた場合は、1つのeメールアドレスごとに1件とカウントしております。)このため、同一のeメールアドレスよりいただいた意見は、複数指摘等がある場合も1件となります。

6. 前回回答より補足


【総務省】
● 提出意見の整理又は要約につきましては、(中略)提出意見の趣旨を損ねない程度にとどめられるべきと解されます。
● 提出意見を公示し又は公にすることにより第三者の利益を害するおそれがあるとき、その他正当な理由があるときは、当該提出意見の全部又は一部を除くことができます。「除く」とは、該当箇所を、その内容が分からないように黒塗り等を行い、提出意見から除去することを意味しますが、必要以上に除くことは許されません。
● 意見提出期間の終了後に提出された意見、命令等制定機関以外の者に提出された意見、命令等の案以外についての意見につきましては、命令等の案についての意見には該当せず、当該意見及びこれを考慮した結果を公示する必要はございません。

【厚労省】
● 非開示とした御意見はございません。なお、御意見の一部に非開示とすべきものが含まれているものがあります(以下略)

【総務省】
● パブリック・コメントは、結果の公示をもって終了いたしますが、公示された内容に遺漏があった場合は、命令等制定機関は速やかに公示した内容を修正すべきものと考えます。


7. おわりに


 「等」ってなんやねん
 と、問い詰めたいところですが、厚労省のリソースを過度に頂くことは当方の本意ではありません。行政手続上、何かおかしな処理がなされている可能性は十分に示されたと思いますので、これ以上の質疑は国会等の公の場で、正式になされるべきと考えます。
(このやり取りを始めてから緊張で睡眠も十分とれず、精神的肉体的にこれ以上はしんどいのも理由です。界隈の胆力たるや、、、)
 ご対応を頂きました浜田聡先生、末永ゆかり様、ほか事務所の皆様に御礼申し上げます。また、ご回答を頂きました両省の皆様にも御礼申し上げます。施行に際して手続上の瑕疵が懸念されては本事業の正当性に揺らぎが生じます。是非とも早急に疑念を解消していただきたく、よろしくお願いします。


8. 参考文献


参考文献1:宇賀克也著「行政手続三法の解説 第3次改訂版」学陽書房、2022 p189
参考文献2:瀬戸市におけるパブリック・コメント制度 https://city.seto.aichi.jp/docs/2010/11/10/03862/index.html


9. 付記「”等”になった?私の意見(一部抜粋、原文まま)」


 なにぶんパブコメ初体験ですので、単に届いてなかったのかもしれません。
 もし私が本指針を受け取って実行する立場だったら最低限明らかにして欲しい、改善して欲しい点を意識して60箇所ほど意見を差し上げており、下記はその一部です。割と前向きな意見だと自負しており、結果公示の一覧では指摘箇所にすら上がっていなかったのは寂しかったです。

「パブコメ結果」

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000251368

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000251311

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000251311

【基本的な方針(案)に対して】
(第2 3.支援の基本的な考え方)
●「共有する情報の取扱についてあらかじめルール」とあるが、本ルールは全国で共有であることが強く望まれる。困難な問題を抱える女性の支援では、支援対象者が他自治体の警察、救急で保護されるなど、事業単位をまたがっての関係機関との情報共有が必要とされるケースが想定される。個別の自治体ごとにルールを設定することは上記観点からは避けるべきである。
●「共有する情報の取扱についてあらかじめルールを決めることが望ましい」とあるが、同ルール設定は必須とすべきである。困難な問題を抱える女性の支援では警察、救急等の関わる緊急性の高い事象に支援対象者が巻き込まれる、あるいはそこから支援が始まる場合も想定され、そのような場合には警察、救急等含めた関係機関に緊急に情報を共有する必要が生じることも容易に想定されることから、事前のルール設定は必須である。更に、同ルールについては関係機関とも事前に共有すべきであり、可能であれば、公開されるべきと考える。

(第2 4. 支援に関わる関係機関等 (4) 民間団体等)
●「各団体の特色を活かした活動により(略)支援を行っている民間団体」とあるが、この記述では特色が無いと判断される民間団体を軽視することになるため、同様の活動をしている民間団体が多くある場合にはそれのみによって当該団体の本事業への参加は困難となる。協働する民間団体の選定には、特色ではなく、本支援事業の目的に沿った判断が優先されるべきであり、当該記述を見直す必要がある。

(32ページ 第2 10. 調査研究等の推進)
●「また、(略)」と「さらに(略)」の両文章に主語が見当たらないことから、それぞれの実施主体を明確にするため、語を補う必要がある。

(32ページ 第2 11. 基本方針の見直し)
●「本評価により得られた結果は公表する」とあるが、当該時点では参加できていない民間団体の参画を促す目的から、結果の公表は基本計画の見直し前に行うべきである。

【関係法令(案)に対して】
(③女性自立支援施設の設備及び運営に関する基準案 帳簿の整理)
●支援内容を検証可能なものとするため、整備した帳簿は対象者の入所中には廃棄しないこと、さらに、その保管期限を、例えば退所後10年など、定めること。

(③女性自立支援施設の設備及び運営に関する基準案 秘密保持等)
●秘密保持によって公衆の不利益に通じる秘密を保持の対象から除き、秘密保持の範囲は限定されるべきである。

以上


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