10分小説
小説を書きたい。
10分で書きたい。
男はそう思った。
インスタント小説。
インスタント小説製造機。
3つのキーワードを入力するだけで、
そのキーワードをお題にした小説が
たったの10分で出来上がる。
例えば
「電車」「焼肉」「サンダル」
と入力する。
10分経つとプリンタが動き出す。
そして、
・電車の中でBBQをしている夢を見た。
・20歳ぐらいの自分。学生時代の仲間。
・ゾウリぐらいある大きな肉を焼き
・いい感じに焼き上がったのでガブリとかじりついたら
・肉だったはずがサンダルになっていた
・肉を盗んだ犯人は電車の屋上を走って逃走
・電車は外にハシゴがついていて登れるタイプの黒いディーゼル車
・20歳の自分と仲間たちも電車の上に上がり犯人を追跡
・犯人が電車から飛び降り、自分たちも続いて飛び降りるが着地に失敗
・地面にぶつかりそうになったところで目が覚める
・目の前にはBBQコンロ。肉が焦げている
10分だと このぐらいの話が小説として出てくる。
長い時間にセットすれば長い小説が出来るのだが、1つ難点がある。燃料を結構食うのだ。
ゾウリぐらい大きな肉の塊を入れる。
プリンタから出てきた紙をよく見ると、文字はインクではなく、細長く焼き付けられた肉で書かれている。
絶妙にこんがり焼けているのでつまみ食いに最適だが食べると筋書きが変わってしまうのである。
(時間の都合により完)