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夢か幻覚の話

豆腐選手権
豆腐で出来た土俵の上で相撲を取る。
豆腐に全身が沈むと負けになるので、
必死で相手の体を豆腐に沈める。
強く踏み込むと自分の足が豆腐に沈む。

練習はボロボロの、砂まじりの土俵でやってきた。
一度崩れた豆腐を再形成したものだ。
本番は真っ白な、まっサラな土俵で行われる。
八卦良い、

残った。

四つに組んだ体が豆腐に沈んでいく。
練習のように少しずつ えぐれるのではなく、
ただ静かに、ゆっくりと、沈んでゆく。
やがて、両者の身体は見えなくなった。

豆腐の底を抜けると、下はスープの世界だった。
スープの底に足をつくことは禁じられている。
しかしずっと浮いていることもできず、スープから這い出した。
スープサイドに上がったのも束の間、
コーチから再度スープに叩き込まれた。

スープの表面には湯葉のような膜が張っていて、
膜の下には息のできる空間が確保できた。

スープ下の空間で、膝を抱え、息を殺しながら出口を探した。

足元にペダルが2つあった。

右のペダルを踏んでみると、
天井の湯葉が全開してスープが流れ込んできた。

ペダルを離すと湯葉が閉じてスープの洪水は止まった。
左のペダルを踏んでみると、
床が抜けて下に落ちた。
真っ暗な筒の中をひたすら落ちた。

ただ暗く、長いことただ落ちていった。
落ちて落ちて、一晩落ち続けると、
朝になって目が覚めた。
底はまだ見えない。

安全な夢しか見ていない

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