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「おすすめの本を教えてよ」という難問
川口市出身の自称読書家 川口竜也です!
趣味は読書です。そう語ると、普段本を読まない人から大抵こう言われる。
「えーじゃあおすすめの本教えてよ」
この質問に、未だに悩まずに答えられた事がない。そもそも読書なんて嗜好品のようなもの、私に合うものがあなたに合うとはわからないし、相手がどんな本なら読めるのかわからないことには、おすすめも出来ない。
多分、相手はそんな事は興味ないだろうけど、質問された側からしたら真剣にならざるを得ない。なぜなら、それで人格が問われてしまうと考えてしまうからだ。
そもそも、私のおすすめの一冊はこれです、と胸を張って言える人は凄いと思う。先日も読書家が集まって居酒屋で飲んでいたとき、この一冊だけは絶対に読んでほしいという本は何かという話になったが、結局これだというものはみんな出なかった。
また、読書家は本に優劣をつけられない性質がある。その原因は圧倒的な読書量にあると私は考える。単純な話、10冊の中から1冊を選ぶより、100冊の中から1冊を選ぶ方がはるかに難しい。
ちなみに、私の学生時代の友達に、上橋菜穂子さんの作品しか読まない奴がいる。そいつの話は大抵「鹿の王」か「精霊の守り人」であり、それ以外の本の話を聞いたことがない。上橋さんの本ばかり読んでいるからこそ、おすすめがパッと浮かぶのだろう。
では、どの本も人に薦めるほどの本ではなかったのかというと、勿論そうではない。むしろ、おすすめしたい本が多すぎて一つに絞れないのである。面白かったと思う本が多すぎて、一つに選べないのである。
例えば、私が本を読み始めるきっかけとなった本は、中学時代に読んだ 細田守さんの「サマーウォーズ」KADOKAWA である。小説や物語の世界にハマったのはこの本であるが、では人におすすめするかと言えば微妙である(勿論、非常に好きな作品ではある)。
個人的には、ジュール・ヴェルヌは好きである。「海底二万哩」新潮社や「80日間世界一周」岩波文庫など、学生時代に読み漁ったこともあった。だが、人に薦めてまで読んで欲しいかと問われえたら、まあまあである(無論、ジュール・ヴェルヌはSF好きなら一読すべきである)。
それ以前に、最近は人に勧められた本を読んでいるせいか、自分が選んだ本という認識が少ない。みんな面白いと言っている本だから、という月並みな理由が頭の中を掠め、もっといい本があるはずだと頭を捻ってしまう(そもそも、相手はそこまで興味ないかもしれないのだが)。
とりわけ、「おすすめの本はありますか?」という質問は、頭の中で「あなたの人生を変えた1冊はなんですか?」に変換されてしまう。それ故、この本のことを話したら、自分の程度が見られてしまうのではないかと考えてしまうのです。
読書家にとっては、全ての本が今の自分を作り上げたわけであるし、むしろ圧倒的な読書量を前に、いわば1000分の1を出せと言う方が酷である。
ちなみに同じ読書好き同士だと、読書が趣味ですと言うと、大抵こういうパスが回ってくる。
「えーじゃあ普段どんなジャンルの本読むんですか?」
これだと、今現在のあなたに聞いている上、回答の幅が広いため質問に答えやすい。それでもおすすめの本を聞きたいのならば、ある程度幅を狭めてから聞いて下さい。読書家は悩んでしまうものなのです。
読書好きな方がおすすめの本に窮した場合、おすすめの本が無いのではなく、そのような葛藤をしていることを知って貰いたい。それではまた次回!
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