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チャンスの女神には、後ろ髪がない。

 会社にいたときに、よく言われた言葉がある。

「今は時期が悪いから、ちょっとタイミングみようか」

 野心的なプロジェクトの企画を出したりすると、上司からいわれがちだ。時期が悪いというのは、社内的に、という意味だ。上層部の意向がうんぬんかんぬんとか、世の中の風向きがとか、まあそんな類のことである。
 そういわれると、時期がよくなるときまで待とう、と一旦諦める。しかし経験上、その時期はほぼほぼやってこないまま、そのアイデアは雲散霧消することになる。

 それにはいくつかの理由があるが、突き詰めると以下のふたつだ。

 この言葉を発する時点で、相手はそれほど乗り気ではない。
 また周囲には、さらに乗り気でない人々がとぐろを巻くほどいる。

 ではその乗り気でない人々を、その気にさせるよう、換骨奪胎、いろんな手を加えていくこともあるが、原型をとどめない、残念なものになることも珍しくない。

 多くの場合は早々に諦めて、気持ちを切り替えたほうがいい。

 諦められるようなアイデアならそれでいいだろう。でも稀に自分の中に確信があることもある。優れたアイデアには必ず旬がある。それを逃すと、チャンスはその手から滑り落ちてしまう。

 この仕事は絶対、今やるべきだ。今を逃したら、次はない。

 そんな時には、どうするのがいいのか。

 条件を変えてみる。

 例えば、相談相手を変えてみる。そうすれば全く違う視点からアドバイスをもらえたりする。
 例えば、自分の立ち位置を変えてみる。会社なら異動願いを出してみたり、もある。

 ぼくの友人は、もっと思い切って”条件”を変えた。

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