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ねえ、パパ。見て見て。
火事という「経験しなくてもいい困難」を経験した3人の子どもたち。自分たちの家が燃える様を直視してしまったショックは大きいはずだ。リビングが火の海になり、窓ガラスがボンボンと音を立てて割れる。そこから命からがら逃げた。その経験は心のやわらかな部分に深い傷を残している。癒えることはあっても、消えることはないだろう。
普段は考えずに接しているが、ふとした瞬間にその傷を感じる。その度に心が竦む。かける言葉を思いつけない。その気持ちを飲み込んで、また日常に戻る。そんなやましさに似た気持ちを抱えながら、子どもたちと過ごしている。
子どもたちの迷いない笑顔を感じることもある。
英語のテストで前よりいい点をとった時。マリオカートで難しいコースをノーミスで走り切った時。可愛い靴を初めて履いた時。上手にたこ焼きが焼けた時。
何げない日常だけど、本人たちにとってはドラマなんだと思う。そんな時、子どもたちは決まってこういう。
「パパ、見て!見て!」
火事にあってしばらくして、子どもたちの言葉に素直に従うようになった。「どれどれ、ちょっと見せてみて」って目線を向けると、自然と心も向き合う。
糸井重里さんの言葉に「視線は愛情」という言葉がある。見るって実はカロリーのいることだと思う。その時間、その人のためだけに時間を費やすのだから。子どもたちは、本能的に知っているのだろう。
たまに面倒だなぁと思うこともあるけど、その時は許してね。
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