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他人の評価を気にしなければ、人生もっと楽しいんじゃないか問題。
他人の評価って気になりますよね。アドラーの「嫌われる勇気」を始め、書店にはたくさんの書籍が並びます。多くの人が他人の評価に振り回されているからだと感じているからでしょう。もちろん他者から自分はどう見えているのかというメタ認知がなければ、「王様はハダカだ!」って、笑われてしまいます。でも本質的には、他人の評価なんて気にしない方がいいです。特に会社という場所においてはなおさらです。
突然、話は変わりますが、ぼくはとてもよく笑います。からからと大きな声で。子どもの頃からそうでした。大変なことがあっても、ついつい笑ってしまう。くよくよしないというか。今となっては、自分の長所だと思っています。
でもその「笑い」が物議をかもした事があります。
当時、かけだしのディレクターだったぼくは、数十人のディレクターがいる大所帯に配属されました。そこには数人の管理職がいましたが、中にひとり、ものすごい剛腕プロデューサーがいました。ディレクターがさぼったりすると、空気がビリビリ震えるような大声で怒鳴るような人でした。一度その人が怒りだすと、その怒鳴り声は、フロア全体に響き渡りました。今から考えたら”ハラスメントのデパート”みたいな人でしたが、番組をつくる能力はピカイチで、周囲はそれを許容していました。いまならパワハラで一発アウトなんでしょうけどね。
そんな彼からぼくも一度、フルパワーの怒鳴りを食らった事があります。
きっかけは、ぼくの笑い声でした。
その日、ぼくは自席で、先輩と軽口をたたいていました。ランチのあとで、気持ちもゆるんでいたでしょう。だんだん笑い声が大きくなり、周囲の人たちも輪にはいってきて、一緒に笑っていました。刑事ドラマであれば、「なに!品川で殺人事件だと!」とデカ長にお決まりの電話がかかってくる直前の、和気藹々とした場面です。
調子にのってげらげらわらっていると、向かいに座っていた先輩の目が怯えているのの気づきました。嫌な予感がして振り返ると、あの剛腕プロデューサーが真っ赤な顔をこちらにむかってきます。
あ、やばい、と思ったのですが、彼はすぅーと息を吸い込むと、ものすごいでかい声で怒鳴り散らしました。
「てめえ、職場のど真ん中で、ゲラゲラわらってんじゃねえ!おい、河瀬!だいたいてめえの笑い声はでかいんだよ!雰囲気がゆるむだんだよ!2度と職場でゲラゲラわったら許さねえからな!」
叱責の間中、ぼくの鼓膜はビリビリと震え、心も震えまくってました。そしてその一件以来、ひとつのことを心に刻みました。
「職場では大きな声で笑ってはいけない」
それ以来、その職場で極力笑わないようにしました。というかそこではなるべく仕事をしないようにしました。だって職場にいれば人としゃべるし、そうすればやっぱり笑っちゃうから。
その数年後、僕は異動し、別の職場で働きはじめました。そこでもぼくの笑いが注目を集めます。
当時、ぼくはそのプロジェクトでは筆頭ディレクターを務めていました。その番組のプロデューサーは、高いハードルをディレクターたちに課していました。みんな互いにライバルだという気持ちでギラギラしていました。
夜になり、取材から帰ってくると、番組論をたたかわせ、熱くなるあまり、ちょっとした口論になることもしばしばでした。やもすればギクシャクした雰囲気になりかねない空気がつねにありました。
そんなある日、話があると、プロデューサーに呼び出されました。会議室に座るなり、彼はこう切り出しました。
「河瀬さ、君はいつも職場で笑っているよね」
あ、またか、と思いました。
しかし彼は、全く予期せぬことを話し始めたのです。
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