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四半世紀前の事典を買う理由

こないだ神保町でこれを買いました。探していた事典です。

この事典、好きなんですよねえ。ずっと愛用していたのですが引越しの繰り返しのどさくさで見当たらなくなっていたのです。

試しに「餃子」って引いてみましょうか。
「挽き肉や野菜などを小麦粉を練った皮に三日月状に包み、水煮または蒸したもの」という一文に始まり、長い歴史の中で呼び名が変遷したことや、具の種類にもいろいろあることなどを詳しく説明しています。

その後がちょっときわどいです。「餃子はロシアに渡りペリメニと呼ばれ、イタリアではラビオリと呼ばれている」って・・・まるで各国にある同種の食べ物の元祖は中国の餃子であると宣言しているかのようです。これ定説ってことでいいのかしら。ロシアやイタリアの人に怒られそう。
でも、まあ大丈夫でしょう。この事典の読者は中国一筋みたいな人が多いですから。

出版されたのは1999年だから、もう25年前になります。でもこれほど現代中国の情報を網羅した事典は、これ以降、出版されていないと思います。

たとえばよく聞く「共産党がなければ新中国はない(没有共产党就没有新中国)」という決まり文句を調べてみると、ちゃんとこの言葉の出典が説明してある。

「南巡講話」「11期3中総会」など、中国ビジネスに本格的に取り組む人が踏まえておくべきキーワードの説明もきっちりしている。「住居」「食糧」「チャイナタウン」みたいな壮大なテーマの項目も充実している。

執筆陣は錚々たるメンバーです。読めば読むほど、しっかりとした見識に基づいて書かれていることが伝わってくる。まさにプロがプロ向けにつくった事典。インターネット検索とは全く別次元の情報が詰まっています。

もちろん中国のことをこれから知ろうとする若い人にもおすすめです。

できればこの25年の情報を盛り込んで改訂版を出してもらいたい。岩波書店さん、よろしくお願いします。

私たち「川端堂」は東京・神保町の共同書店「SOLIDA」に棚主の一員として出店していますが、たまたま真上の棚である「中国語音読沼」さんがこの事典を販売されてたので驚いて購入しました。ナイスな選書に感謝します。


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