撮影ログ〜高尾山②〜
登山を続けよう。
前回までは高尾山の麓からロープウェイに乗り、山腹からは吊り橋を見物するために4号路を通ってきたところだ。
吊り橋を渡ったあとは山の尾根を渡るルートになった。これまでの山肌を横切って歩くルートとは違い、道幅が広く歩きやすかったがその分傾斜がきつかったのを覚えている。
尾根を登り着ていた上着を脱ぐほど汗ばんできた頃、ようやく山頂付近へたどり着いた。
山頂に着くと山を覆っていた霧はすっかり晴れていて、街の方まで見通せるほどだった。
時刻はおよそ13時半。麓で三福だんごを食べたことも忘れ再び空腹感が込み上げてきた。昼食の時間だ。
あたりを見渡しすぐに入れそうな茶屋を見つけ、山菜そばとおにぎりのセットとアサヒビールを注文した。
山頂なだけあって値段も“山頂”価格だったのを覚えている。しかし、山を登って高揚した気分だ。当然、財布の紐も緩くなるというものだ。
茶屋を出た後も財布の紐は緩んだままで、茶屋を出たあとソフトクリームまで食べてしまった。欲望のままに振る舞うのはとても楽しい。
この白い螺旋にはいつも心を乱されてしまう。魅惑的な螺旋だ。
食欲も満たされ山を降りはじめた。登りの山道に疲れてしまったので、綺麗に舗装された1号路を通ることにした。1号路の途中には高尾山薬王院がある。次の目的地はそこだ。
1号路は緑を楽しむ余裕があるほど歩きやすかった。登りも1号路にしてもよかったかもしれないが、あの山道を登ってきたことで、この舗装された道のありがたさを感じることが出来ている。人生には遠回りこそが最短の道だったりすることがあるが、今回もそうだったのかもしれない。そうこうしているうちにすぐに薬王院に着いてしまった。
天狗が棲むと言われているこの山では大天狗と烏天狗が祀られている。
信心深くない方なので神様仏様の類はあまり信じないが、それを真実だと信じていた人々が山を畏れ、仏様に祈りを捧げることで救済を得ようとしていた気持ちは理解できる。こういった寺社仏閣はいつの時代も誰かの心の支えであってほしいと願っている。
薬王院を出てさらに麓へ降っていく。途中、団子をつまみつつ登りで下車したロープウェイ乗り場のあたりにたどり着いた。
降りではロープウェイではなくリフトに乗ることにした。降りはリフトにして正解だったと思う。このときの空気や景色を大切な思い出として記憶していたい。
山を降りたあと、再び京王線に乗って街に戻る。まどろみながら揺れる電車は心地よいが身体を日常へと運んでいく。
山から街が見えたように山と街が隔絶されているわけではない。いつでもどこにでも行けるんだということを忘れないでいたい。