司法試験本番までに身につけておくべきこと
0 はじめに
はじめまして。令和4年司法試験に合格した者です。
今回は、受験生が司法試験本番までに身につけておくべきことを紹介したいと思います。
というのも、私自身は、目的意識をもって勉強することが大事であると考えているのですが、そもそも目的が何か分からなかったらそのような勉強ができないと思ったからです。予備校の講義を受講したり、基本書を読んだりするにしても、何のためにそれをやっているかを意識しながらやるのとやらないのとでは天と地の差があると思います。
そこで、汎用性の高い司法試験本番までに身につけておくべきことを紹介したいと思います。
1 基礎知識
まずは、基礎知識を身につけておきましょう。基礎知識だからといってこれを軽視してはいけません。基礎知識が論文答案を書くための土台になるからです。
⑴ 思考
条文から考えることや、事実に要件を当てはめて結論を出すこと、憲法の三段階審査や、刑法の構成要件・違法性阻却事由・責任阻却事由、行政法の裁量権の逸脱・濫用など科目・分野ごとの思考パターンはしっかり押さえておく必要があります。ここでは、問題演習を何度も繰り返し、各分野ごとの考え方、各科目ごとの考え方、ひいては全科目に共通する法的な思考を自分なりに整理していくことが大事です。
⑵ 知識
予備校で扱う重要度の高い論点や、過去問で何度も出題されている論点は、答案にスラスラと表現できるレベルにまで精度を高めておきましょう。そこには、重要度の高い論点につきどのように論じていくかといった、答案の型も含まれます。
長文であり内容も難しく時間内に完璧な答案が作れない司法試験においては、上記のような皆んなが知っている知識の精度で勝負がつくことが多いです。
2 事務処理能力
⑴ 問題文の処理
司法試験の論文式の問題文のような長文を読んで、その意味を理解できるようになりましょう。
おそらく過去に大学入試などでがっつりと本格的な受験勉強をされてきた方はすでに身についている傾向にあると思います。
私自身は司法試験や予備試験が初めての本格的な受験勉強だったので、ここで苦労しました。受験初期は問題文を読んでも内容が頭にまったく入ってこなかったです。
そのような場合は、短答式や論文式の問題を何度も演習し、問題文に慣れるしかないと思います。論文式については、まずは旧司法試験のような短文事例問題から演習し、慣れてきたら予備試験のような中文事例問題、司法試験のような長文事例問題に移行していくのがオススメです。
⑵ 条文や判例の処理
条文や判例の意味が一読して分かるようになることを目指しましょう。それは条文を読んで具体的な場面がイメージできるということです。このレベルに行くためには、何度も問題演習をし、条文と問題を行ったり来たりすることを繰り返すほかありません。条文や判例に記載された言葉を暗記し、その意味を理解し、実際の事案に当てはめることを繰り返しましょう。
3 文書作成力
スラスラと文章が書けるようになりましょう。
最初は論証を吐き出し、問題文から必要な事実を抜き出して書けるるように、慣れてきたら条文から要件を抽出してそれに事実を当てはめる過程をメリハリをもって書けるようにしましょう。
ここの力については、模試や答練に参加し、とにかく書きまくるしかありません。根性で頑張りましょう。
また、時間内に答案を書けるようにしましょう。
その真偽はさておき、途中答案は致命的と言われる以上なるべく避けなければいけません。自分の書くスピードを把握し、時間内に最後まで書ききるようにタイムマネジメントをしておくことが重要です。
4 未知の問題に気づく力と対応力
司法試験や予備試験では必ずといっていいほど未知の問題が出題されます。
しかし、未知の問題は、そもそも気づくことすらできない受験生が多数です。そこで、まずは、未知の問題に気づけるようにしましょう。未知の問題に気づきその問題意識を答案に表現できた時点でかなり評価が高いです。その上で、その問題の解決策を考えましょう。類推適用で解決するのか、新しい規範を作るのか、当てはめを工夫するかなど色々と想定しておきましょう。この力は旧司法試験や予備試験、司法試験の演習で身につけるのが良いと思います。
5 終わりに
かなり抽象的な記載になりましたが、司法試験のエッセンスが書けたのではないかと思います。
是非これを参考に受験勉強を頑張ってください。