司法試験や予備試験における暗記の重要性と暗記対象の選別方法
第1 はじめに
司法試験や予備試験の受験業界では、「暗記が大事!」「とにかく暗記をしろ!」と言った意見を耳にする一方で、「機械的に暗記をしても意味がなく、理解をすることこそが大事!」といった意見も耳にします。
どちらの意見も理にかなっているように思いますが、暗記の位置づけについて受験生を混乱させているように感じます。
今回は、司法試験や予備試験における暗記の重要性と暗記対象の選別方法について私の意見を述べようと思います。
第2 暗記の重要性
私は、暗記という学習分野が司法試験や予備試験に合格するまでの重要な関門の一つだと考えており、「とにかくまずは暗記をしろ」派です。
理由は2つあります。
1つ目は、暗記をしたことによる効用が大きいことです。
まず、暗記をすることで瞬発的に知識の出し入れができるようになり、短時間で正誤の判断をしたり、答案を書いたりすることができるようになりますが、これは予備試験や司法試験において大変効果的です。
また、先に暗記をしておくことで、後に暗記をした項目の理解が深まるといった現象が起こりえます。
2つ目は、暗記と正面から向き合う受験生が意外と少ないため、暗記をするだけで他の受験生と差がつけられることです。
特に、これまであまり受験勉強をしてこなかった方(私自身もそうでした)は、意識的に暗記だけの時間を作り、暗唱をするなどして暗記の努力をしましょう。なぜなら、「暗記の時間を作り、暗記をする」という行為は、地頭が関係のない部分です。つまり、暗記という学習分野は、東大生や京大生のような受験強者と互角に戦うことができるフィールドになるのです。
このように暗記は重要なので、とにかく勉強時間の中に暗記だけをする時間を設けましょう。意外と暗記をしていない受験生は多いです。ちゃんと暗記をするだけで本当に差がつきます。それだけ暗記と正面から向き合う受験生は少ないのです。
第3 暗記対象の選別方法
では、どの部分を暗記すればいいのでしょうか?ここでは、暗記対象を選別する上で役に立つ観点をいくつか紹介していきます。
1 予備校の講師に覚えるよう指摘された部分
まず、予備校で講座を受講している方は、講師に覚えるよう指摘された部分を暗記していくことが一般的です。予備校で配布される論証集であったり、講義でマークした条文の趣旨や定義といったところが挙げられます。
2 答案を書くために暗記しないといけないと感じた部分
しかし、講師に指摘された部分だけを暗記しても、それだけで答案を書くことは至難の業です。そこで、答案を書けるようになるための知識を追加的に暗記していく必要があります。
では答案を書けるようになるための知識はどうやって選別すればいいのでしょうか?
過去問を実際に起案して、答案例を確認し、ここは記憶していないと書けないと感じた部分を暗記すればいいのです。本番に持ち運べるのは六法だけです。六法を見て問題になる条文を探し、それをもとに答案を書くと思いますが、その際に記憶しておかないと書けない部分を暗記の対象とするのです。
3 多くの受験生が書いてくるであろう部分
また、法律に関わる知識は膨大なので、暗記の対象が無限に広がっていくおそれがあります。
そこで、暗記の対象を限定する意味でも、多くの受験生が書いてくる部分かどうかという基準も参考になります。
例えば、刑訴における強制処分の定義など、受験生が正確に記憶し、書いてくる規範は、正確に書けていないだけで一気に差をつけられます。そのため、多くの受験生が書いてくる部分は暗記の必要性が高いです。
第4 終わりに
暗記の時間を設け、暗唱等を繰り返し暗記をすることは脳への負担が大きく苦行に近い行為です。しかし、だからこそ暗記を避ける受験生は多く、しっかり暗記をするだけで他の受験生と差をつけることができます。
また、暗記の対象を自分なりに考えて選別できているかどうかでも差がつきます。是非とも、今暗記している部分は、答案を書くために必要かどうかなどに照らして検証してみてください。
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