予備校を利用して司法試験予備試験に合格する現実的な方法論について
第0 はじめに
はじめまして、令和3年司法試験予備試験に最終合格した者です。
予備試験には3回目で合格しました。その内訳は、1回目が短答落ち、2回目が論文落ち、3回目が最終合格というものです。
予備校を利用し、約4年間勉強しました。
本格的な受験勉強は予備試験が初めてで、また、地頭が特別に良いというわけでもありません。正しい方向性で、一定期間やるべきことをこなしたからこそ合格できたのだと思います。
もっとも、最初から正しい方向性で勉強ができていたわけではなく、合格者の方の話を聞いたり、ロー入試や模試、予備試験とぶつかったりする中で少しずつ方向性を軌道修正してきました。
そこで、今回は、これまで本格的に勉強をされてこなかった方を対象に、予備校を利用して予備試験に合格するまでの大まかな勉強の方向性について、具体的なアクションプランも交えながら、書いていきたいと思います。
第1 論文の勉強法
まずは、予備試験で最も難関といわれる論文の勉強法について紹介します。私自身が、予備試験に合格するまでに実践していた勉強法になります。
1 最終的なゴール
まず、受験時にどういうレベルにいるべきかというようにゴールを具体的に設定します。
究極的なゴールは合格答案を書くことだと思いますが、それだと何をしたらいいか見えづらいと思ったため、少し手前にゴールを設定しました。
答案構成ができれば、後はそれに沿って答案を書くだけです。このゴールを常に念頭に置いて勉強することが大事です。これができるようになるために基礎講座を受講したり、知識を暗記したり、問題演習をしたりするわけです。
そもそも、答案構成とは、抽出した条文や要件、論点を答案上のナンバリングのどこかで論じるか確定する作業のことです。答案構成が答案を書く際の地図となるわけです。
ナンバリングは、原則として、第1→1→⑴→アの順で書いていきます。
以下に答案構成の例を挙げますが、現時点で分からなくても大丈夫です。
このように、答案構成をする際には、ナンバリングのレベルを要件ごとに揃えたり、原則論と例外論に分けてナンバリングを設定したり、三段論法(判断基準→当てはめ→結論)をナンバリングで整理したりすることに注目してみると勉強になります。
私自身は予備校で配布される講師作成の答案例を見てナンバリングの意味合いを探るようにしてました。
憲法であれば「保障→制約→制約を正当化する基準→当てはめ」、民法であれば「要件→当てはめ」、刑法であれば「構成要件→違法性阻却事由→責任」等科目ごとに答案構成の大枠が異なるように思えますが、「条文→要件(基準)→当てはめ」という構造はどの科目も共通しているので、その点からは外れないようにしましょう。
2 具体的なアクションプラン
とはいえ、最初は問題文を読んでも何を抽出しどう構成すればいいか分からないと思います。
そこで、以下では、一からゴールを達成するまでの具体的なアクションプランについて説明しています。大まかに言えば、⑴基礎講座を受講し、⑵論証等を暗記して、⑶旧司法試験や予備試験の過去問で答案構成をするというものです。
常に、問題文を読んで答案構成ができることを目標に実践していきましょう。
⑴ 基礎講座の受講
まずは予備校の基礎講座を受講し、7法の全体像を把握しましょう。この段階では、たとえ分からなくてもあまり時間をかけず、とにかく早く講座を1周することが大事です。時間に余裕がある方は、復習として短答の過去問を演習するといいでしょう。
私自身は、約1年間かけて、7法の基礎講座と論文講座を受講しました。
⑵ 論証等の暗記
答案構成をするためには、大前提として道具となる知識が必要です。そこで、まずは予備校などで配布される論証を暗記することになります。論証とは、ある法的な論点について、それを解決するための判断基準とその基準が定立される理由が書かれた文章のことをいいます。
暗記の程度は人によって異なりますが、キーワードだけを覚え本番でそれらを繋げて文章が作れるようになるのが理想なのかなと思います。
ここから先では、アクションプランの続きに加えて、コラムとして、論証の分析方法や、全科目に共通する法的な考え方について書いています。気になる方は是非購入して読んでみてください。
※短答の勉強法を追加しました。
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