お客さまの利便性向上とCO₂排出量削減につながるオープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」
コロナ禍を契機にEC需要が拡大し、宅配便の取り扱い個数が増加しています。宅配便の再配達におけるCO₂排出量の増加や、ドライバー不足が大きな社会問題となっており、国土交通省が「宅配便の再配達削減に向けて」というメッセージ(※1)を表明しました。そこでヤマト運輸では、荷物を都合の良いタイミングで受け取れる仕組みとして、Packcity Japan(パックシティジャパン)が運営するオープン型宅配便ロッカー「PUDO(プドー)ステーション」を積極的に活用しています。“24時間” “生活動線上” “非対面”という社会ニーズに対応したPUDOステーションを中心に、ヤマト運輸におけるCO₂排出量削減の取り組みを、川崎主管支店・主管支店長の鈴木浩治さんに伺いました。
“地域のお客さまと一緒に”という意識を大切にしています
——コロナ禍により外出を控える方が増加し、ネットショッピングの利用率が急増しました。時代のニーズとしてヤマト運輸が力を入れているサービスを教えてください。
弊社は年間約22億5,000万個(2022年3月期)の荷物を取り扱っており、全国で約54,000台のトラックを保有しています。2020年1月には「ヤマトグループ サステナブル中期計画2023【環境・社会】」を策定し、重点施策の一つとして「2050年温室効果ガス自社排出実質ゼロ」を掲げ、様々な取り組みを進めています。そこで私たちが力を入れているのが、街の駅やスーパーマーケットなど生活動線上で荷物の受け取りや発送ができるオープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」の活用です。
PUDOステーション活用の背景は、お客さまが荷物を待つストレスや再配達の連絡の手間の解消です。全国に約6,300台設置されており、川崎市では、川崎駅や武蔵小杉駅などをはじめとした生活動線上に248台設置し(2022年11月時点)、特徴の一つとして、様々な物流事業者が利用できる仕組みになっています。
オープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」の利用方法
※使用する際の注意事項はPackcity Japanのホームページ をご参照ください。【荷物を発送する場合】
1、PUDOステーション備えつけられたタッチパネルに触れて「発送」をタッチする。
2、対象サービスのサイト上で発行した二次元コードをスキャナーにかざす。
3、画面に従って、お届け希望日時とボックスのサイズを指定する。
4、扉が開いたボックスに荷物を入れる。
5、扉を閉めたあと、「完了」ボタンを押して完了。
※ 発送可能な荷物は、「宅急便をスマホで送る」をご利用の荷物や、ヤマト運輸と提携しているECサイトなどの荷物です。
【荷物を受け取る場合】
1、クロネコメンバーズへ登録後、クロネコメンバーズ各種サービスの「受け取り場所」から指定可能なPUDOステーションを選択する。
2、ご指定のPUDOステーションに荷物が納品されると「納品完了通知」が届く。
3、「納品完了通知」が届いたら、指定のPUDOステーションのタッチパネルに触れて「受け取り」をタッチする。
4、「納品完了通知」から「受取用バーコード」を取得しスキャナーにかざす。もしくは通知に記載の「認証番号」を入力する。
5、受け取りのサインをタッチパネルの四角枠内に記入する。
6、 扉が開き、荷物を取り出したあと、扉を閉めて完了。
——ほかにもCO₂排出量の削減につながる取り組みはありますか?
ヤマト運輸の個人向け会員サービス「クロネコメンバーズ」は、荷物を受け取る際に、希望の配送日時や受け取り場所を事前に指定することができます。また、便利な機能として、LINE(※2)トーク画面上でも配送日時や受け取り場所の変更が可能です。荷物を発送する際にはスマートフォンなどで簡単に送り状が発行でき、伝票レスで手続きができます。
現在、クロネコメンバーズの登録者数は全国で約5,000万人以上で、川崎市でも多くのお客さまにご登録いただいています。当社のサービスをご利用いただき、一度でお荷物をお受け取りいただけると、結果的にCO₂排出量の削減に貢献できます。
デジタルになじみのないシニア層へ向けて
——では、川崎主管支店として重点的に行っていることは何でしょうか?
以前、福田市長にお会いした際に脱炭素に向けた取り組みが話題に上がり、EVの充電設備を整えることが課題だとお伝えさせていただきました。現在、川崎主管支店では数十台のEVを導入しており、2030年までにヤマトグループ全体で20,000台の導入を目指しています。
法人のお客さま向けには、「機密文書リサイクルサービス」を積極的にご提案しています。在宅勤務中にご自宅で使用された書類などを処分する際に、シュレッダーにかけて処分することで情報漏洩の心配や、焼却による環境負荷が心配されます。ですが機密文書リサイクルサービスは、専用ボックスに入れていただいた書類を未開封の箱ごと回収・溶解するため、情報漏洩の心配がありません。さらに溶解処理後はトイレットペーパーなどの資源に再利用しますので、資源循環による環境負荷低減にも貢献できます。
また、企業市民活動として、幼稚園や保育園、小学校を対象に「こども交通安全教室」を実施し、子どもたちに環境への理解を深めてもらうために「クロネコヤマト環境教室」を行っています。紙芝居などを使って学ぶ機会を提供し、小さい頃から安全意識や環境意識を高めることで、将来的に子どもたちの安全や環境に配慮した行動につながることを目指しています。
このような様々な取り組みを行いながら、「脱炭素アクションみぞのくち」を始めとした川崎市の脱炭素戦略に協力し、弊社も街づくりに貢献していきたいと考えています。
——先程お話ししていただいたPUDOステーションを含め、ここ数年でデジタル化が急速に進んだと思いますが、シニア世代の反応はいかがでしょうか?
弊社の商品・サービスは、老若男女問わず多くのお客さまにご利用いただいています。PUDOステーションやクロネコメンバーズなど、デジタル化することでより便利に発送や受け取りが可能なサービスを提供していますが、スマートフォンやPCが苦手な方もいらっしゃいます。そのようなお客さまにもサービスの便利さを知っていただき、ご利用いただくためのサポートを行うような取り組みが必要だと考えています。
荷物を受け取りやすい仕組みをつくることで、CO₂排出量削減にもつながることは大きな意味があると思います。今回ご紹介したPUDOステーションを始め、弊社のサービスは、お客さまの利便性と環境配慮につながる取り組みが多く、ぜひ多くのお客さまにご活用いただきたいと考えています。
企業と利用者の双方が意識することで活かせるサステナブルな取り組みが、ヤマト運輸には数多くありました。これらの取り組みを積極的に取り入れることで、生活者の利便性が向上し、企業側の効率も上がり、環境への負荷も低減できる。そんな嬉しいサイクルが生まれるヤマト運輸の仕組みが、今後さらに身近な存在になっていくことを期待しています。
※1 国土交通省「宅配便の再配達削減に向けて」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/re_delivery_reduce.html
※2 「LINE」はLINE株式会社の商標または登録商標です。
書いた人・佐藤季子
編集プロダクションを経て、音楽誌や演劇誌などエンタメ系の雑誌でライターとして活動。地元・川崎市では、麻生区の地域情報サイトロコっち新百合ヶ丘、小中学生で結成された麻生区SDGs推進隊(一般社団法人サステナブルマップ )の運営メンバーとして活動中。