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同じ惑星で浮遊する

人は定着しない生き物だ。
どれだけ同じ土地で暮らしていても、生まれた時から住む場所が変わらない人も。過去の自分とは考え方が変わることも自分の中に相反する感情が芽生えることもある。私はそんなときすごく動揺する。でもそこに変化する意思があろうとなかろうと時間は進み続けるし環境は変わっていく。
フェンファンくんはそんな複雑な気持ちをいとも簡単に浮遊とあらわした。そして揺らぐ私たちを浮遊生物と名付けた。


浮遊生物 (p)lankton

以下、許豊凡ソロ公演「浮遊生物」のネタバレを含みます




ステージの話


ソロコンタイトルが発表された時、正直浮遊とは何だろうとぐるぐる考えた。でもそのふんわりとしたテーマが色づいていくようなソロ公演は圧巻だった。
白い布で包まれたステージ、グレースーツや白シャツとデニムの衣装、そんなシンプルな空間がフェンファンくんらしいしとても似合うなと思った。フェンファンくんだけが照らされたときのスポットライトはまるで空から降りそそいでいるのかと感じたし、水色のライトは本当に雨が降っている情景が浮かんだ。空間すべてにフェンファンくんのこだわりを感じられて頭の中をのぞいてしまった気分になった。
特に素敵だったのはVCR。大自然を写した映像は原風景のようで懐かしさを感じた。フェンファンくんはずっとカッコよかった(語彙力消滅)。あとフェンファンくんを水に濡らしてはいけません。色気を放ちすぎるので。

part.1 白昼夢

I'ma Dreamerから始まった白昼夢というステージ。フェンファンくんがかいた歌詞からは夢を追いかけるINIのみんなの姿がリアルに浮かび上がる。そんな大好きな一曲をまるまる歌ってくれた。普段は担当しない低音ラップは力強くて一瞬で引き込まれた。歌った後I'ma Dreamerって結構大変な曲だね〜と笑っていたフェンファンくんが愛おしい。僕ってこの段階から喋るタイプじゃないじゃんと言ってたのも可愛かったな。
次の曲はキリンジのエイリアンズ。階段に座りながら歌う姿が様になる。正直私しっかりと聴いたことがなくて(本当にすみません。エイリアンズって曲だよなとは気づいたんです)、でも歌詞が素敵すぎてフェンMINIたちへのラブレターみたいに受け取ってしまった。
流れるようにVaundyの東京フラッシュへ。ステージを動きながら歌うフェンファンくん。フェンファンくんのエッジの効いた歌声が大好きだから東京フラッシュではそれが堪能できて嬉しかった。白昼夢というパートだったけどそのときは都会の夜にいる気分だったな。
4曲目は尊敬しているアーティスト、宇多田ヒカルの真夏の通り雨。INITIMEでAutomaticをカバーしてたのがすごい良くて、宇多田はカバーして欲しいと思ってたから嬉しかった。スポットライトを浴びたフェンファンくんがあまりにも神々しくて。曲終わり後ろにはけていく時に消えないで、と切なくなった。

part.2 you see me like water

真夏の通り雨から雨が降り続けていた。そんな中VCRのフェンファンくんは水に飛び込んで泳ぐわけでもなく浮遊していた。
Drip Dropのアレンジされたイントロが流れ衣装チェンジしたフェンファンくんが登場した。原曲の青さを残しながら大人っぽくシティポップアレンジされたドリドロ。降り続けていた雨が晴れるようなこの曲のことをもっと大好きになった。実はイヤモニが外れたまま歌ってたみたいなんだけどそんなトラブル感じさせないくらい圧巻のパフォーマンスで。歌った後トラブルをあたふた説明する姿がやっぱり可愛かった〜。
part.2のテーマyou see me like water。海とか水面とか水のように生きているフェンファンくん。水に入るところの映像は一発撮りで緊張したし大変だったけど、神(ここ強調)スタッフの皆さんが実現させてくれた、表現したいものができた、と言っていた。丁寧な話し方なのに急に「神」とかのギャル語彙が出るところ大好きだと思ったな。
日本の曲を多く歌っていたフェンファンくん。これまでは好きな曲が多かったけど、次はみなさんが青春を感じられるような曲を探していた中で出会って歌えそうと思った曲と話してくれた(ニュアンス)。YUIのgood-bye days。私は少し世代が違くてこれも正直知らなかったんだけど、ファファンくんって平成のJ-popも似合うんだよなと改めて実感した。みなさんの青春の中に僕はいなかったけどこれから青春を作っていけたら、なんてことを言っていたけど私たちはフェンファンくんやINIのみんなを見てるだけでもう一度青春してる気分になってるんだよと思った。
フェンファンくんが「次の曲は聞いたことないかもしれません…。いや聞いたことないです!」と言った時オリジナル曲を確信したフェンMINたちのおおー!!という歓声が暖かくて。本当に待ってたよ。オリジナル曲「like water」、もうアイドルのソロ曲の域を超えているくらい完成度の高い曲で…。ここで初めてダンスもするんだけど、フェンファンくんのダンスってキレがあるのに優雅で色っぽいというか、とにかくダンサーさん2人を従えて踊るフェンファンくんがかっこよすぎてずっと見ていたいと思った。最後の一曲が終わってダンサーさんと共に風のようにはけていくフェンファンくん。最後まで自分の世界観があって、終わってしまうのは名残惜しいけど一本の映画を見た後のような感動があった。だからまさかアンコールで出てくると思わなくて、On My  Shoulderの冒頭が聞こえたとき本当に嬉しかった。(そういえばOn My  Shoulder歌ってないなとは思った) 最後までおしゃれで粋な人だったな。
この曲のカバーが出たのは私がINIを好きになってまだ1ヶ月とかのときだった。常に海の中でもがいているような感覚で毎日を過ごす私にとってこの曲は本当に支えになってくれた。知らない曲だったけれど、フェンファンくんのおかげで出会った、今ではお守りのような曲。歌ってくれてありがとう。

素敵なお土産もありがとう

入場時もらったフライヤーにはQRコードが付いていてメッセージを受け取ることができた。公演が始まる前ペンライトがつかなくてパニックになってたせいで読み取ることができなかったんだけど、このQRコードを大切な人にシェアしてもいいと言ってくれたフェンファンくん、ナチュラルにファンみんなを掬い上げてくれる素敵な人だ。
公演中水飲む姿が毎回可愛すぎて(てかめっちゃ飲んでた)MINIが毎回ざわざわしながら見守ってたの面白かったな。本人はそんなMINIのどきどき気づいてなさそう。ちびっこMINIの言葉に裏声で返すフェンファンくんも可愛かった。でもパフォーマンス中のマイクを持つ手とか眼差しは本当にかっこよくて。フェンファンくんの可愛さもかっこよさも色っぽさも全ての魅力を堪能できた1時間だったな。MINIもいろんな楽しみ方でフェンファンくんの作る世界を味わってて素敵だった。フェンファンくんの歌声とフェンMINIの愛で包まれた空間が本当に居心地が良くてずっとここにいたいと本気で思ったよ。

風のような人

フェンファンくんのことを知れば知るほどわからなくて、でも知れば知るほど面白くて。だって余韻に浸ったまま次の日の朝目覚めたら本人は元気にギャルピースしてるし。本当に面白い。アイドルだし知識も豊富で遠い存在だけどすぐそばで寄り添ってくれているような親しみやすさもあるそんな人。
私はフェンファンくんのこと風のような人だと思っている。きっと人によっていろんな印象があるよね。本人は水のように生きていたいと言っていたし。でもふらっとどこかへ行ってしまいそうな儚さがまるで風のようで。でも私たちの背中をそっと撫でてくれる暖かい風。生きていると苦しみや辛さをなくすことはできない。きっとフェンファンくんもそれを分かっているから肩を貸してくれるんだと思う。社会から浮かないように、普通から外れないように気を張って生きてきたけど、脱力して浮遊していこうと言ってくれたフェンファンくんにすごく救われたし気持ちも軽くなったた。ソロコンを通して浮遊の意味がより鮮明になったよ。多分私の浮遊姿は不恰好だけど笑。でもこの広い海の中で浮遊生物同士また会えるよね。
あなたを包む風がずっと暖かいものであるように、流れ着いた先で素敵な景色が広がっていますように。


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