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アーロン・フランクリンの焼くBBQの本当の美味しさを知らないしあわせ

ゴンゴンゴン!今井さん!

モーテルのドアを叩く音が結果的に目覚ましになってしまった。寝ぼけてなければ、朝6時のはず。5時にかけた目覚ましは当然全く聞こえておらず、状況を判断するにも多くの時間を必要としなかった。

25時間の移動に、時差ボケもあいまり、そう、いわゆる、寝坊に遅刻ってやつです。今日は全米でおそらく最も有名なバーベキューレストラン「Franklin Barbecue」に行く日です。11時開店なのに、朝5時から行列ができ始め、開店と同時に売り切れ御免となる日も少なくない、そんなレストランに行く日なのです。

平日の、しかも天気予報の悪い月曜日。さすがに行列もそんなにひどくならないだろうと考え、6時に店に行くことにしていた。モーテルからは目と鼻の先。歩いて行けるけれど、寝坊したため少しでも早く到着出きるように、また雨が降ったら最悪車の中で待機出来きるようと、車で向かった。ベッドから飛び起きて5分後の話。

6時10分。まだまだ薄暗い早朝、店に到着。車を駐車して店の前に行くと、並んでいたのは一組だけ。僕たちは二番手でラインに入れることが出来たようだ。ラッキー。にしても、5時間、どうやって時間を潰そうか。

天気予報では、雷雨。にも関わらず、小雨程度で済み、また雨のかからない屋根付きのコリドーだったので、とてもラッキーでした。カッパを着たり、傘をさしたり、他の人はちょっと可愛そう。

一番手は、ミシガンからやって来た親子。子と言っても50歳になるお兄さんとその弟さんの兄弟、そして70後半と思われる彼らのお父さん、計3人の家族組でした。気さくにも声をかけてくれて、仲良くしてくれた。

ミシガンから長時間かけて駆けつけたオレらもアホだと思ったけど、お前らはもっとアホだな。24時間もかけて日本からやって来るなんて。聞いたこと無い。そんな話をしていたら、すぐ後ろに並んでいたグループは、何を言う、俺達はオーストラリアからやって来たんだぜ!そんなこんなでみんなアホであることを誇りに思いながら、和気あいあいとしたムードで、5時間もあっという間に過ぎ去った。

そして、いよいよ開店時間の11時、1分前。店のドアが開き、フランクリンバーベキューのオープンに歓喜が沸き起こった。順に店に入り、店内のテーブル席を回り込み、奥にあるレジ横のカッティングエリアで注文をして、支払いを済ませてから、テーブルについて食事をいただくかたちになっているようだ。

店主であるアーロン・フランクリンはいなかったけれど、肉をカットして注文を受けてくれるスタッフが、行列の一番手に、長く待ってくれたご褒美に特別にカットしたバーントエンドをサービスしてくれた。わぁ〜、やはり、一番手に来なきゃいけなかった。彼らが並び始めたのは、5時7分。難しくはない時間だったのに。

バーントエンドを口にしたミシガンの親子は、満面の笑みをただただ浮かべるだけだった。言葉にならない、形容のしようがないほどのうまさだったのだろう。十分伝わったてきた。そして、まだ、口に頬張ったまま、身ぶりで僕たちにもひとつづつ食べろ!と分けてくれた。やったー!そして、口に入れた瞬間、とろける脂に気を失った。ふと我に返り周りを見渡すと、恨めしそうな視線を集めてることを気づくのに時間はかからなかった。貴重な体験だった。ミシガンの親子には感謝しかない。

そして、僕たちの注文の番。注文はパウンド単位か本数単位。ポークリブ、ソーセージは本数単位でもオーダーは出来るが、メニューには基本パウンド当たりの値段が記載されている。オーダーしたのは次のメニュー。

ブリスケット1パウンド、ターキーブレスト1パウンド、プルドポーク1パウンド、ポークリブ4本のみ。サイドも野菜も頼まず、肉のみ。当初はお持ち帰りできるようにブリスケットをもう1パウンド、ターキーをもう1パウンド頼む予定だったが、カットするパウンドの量の多さにビビり、控え目にした。

テーブルに着くやいなや、もちろん、真っ先に口にしたのは看板メニューのブリスケット。フラットにポイント、バートエンドをそれぞれ盛り付けてくれていた。けれど、さっきもらったバーントエンドはそこにはなかった。評判の高いブリスケットフラット、ポイントも。ターキーも、プルドポークもポークリブも、全て霞んでしまった。

僕たちの舌がおかしいのか?周りを見渡すと、そこには、長時間待ち焦がれたフランクリン・バーベキューを手に取り、とても満足する笑顔がたくさんあった。

そう、それでいいんだ。

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