『マスクをすると感染リスクが高まる』という説に欠けている視点
ここ最近、日中の気温が高くなってきたせいか、マスクなしで出歩いているひとの姿を見かけることが多くなってきてませんか?
たしかに以前から「コロナはただの風邪」だと主張したり、「マスクお断り」を標榜(ひょうぼう)するひと達も一定数存在していました。
そういう人々がマスク着用を拒否して飛行機の搭乗を断られるなど、時おり話題になっていましたよね。
どうやらそのタイプの迷惑な人々が増えつつあるように思われます。
最近になって頻繁に耳にするようになった『マスクで感染リスクが高まる』説も関係しているようですが、わたしはあの説やデータには明らかな見落としがある気がしてならないのですけどね。
◆マスク着用で感染リスクが高まる説の「データにはないデータ」
そもそもマスクの着用で感染リスクが高まるのが事実なら、コロナ禍以前から『マスクが必須の職場や施設での感染の集中』がデータに現れていないのは変じゃないかと思うのですが。
具体的にいうと、検査施設等の医療機関や、缶詰や食肉加工、冷凍食品、コンビニのお惣菜製造などの食品加工工場などがそれです。
異物や細菌等の侵入を防ぐ目的で、そこで働く人々は出勤して白衣や作業着に着替えたら、検査室や工場内へ立ち入る際にはマスクをして手指消毒をおこなうのがコロナ禍以前からのルーティンになっていたはずです。
マスク着用のせいで感染リスクが高まるというのなら、とっくに世界じゅうの医療機関や検査施設、魚や食肉加工、食品加工工場でクラスターが発生しているんじゃないの?って思うのですけどね。
なのにそっちは大丈夫で、日本だとカラオケ喫茶に集う高齢者グループや、近距離で接待するお酒を扱う店などでクラスターが起きているのは何故でしょうか?
マスク着用による感染の拡大や重症化が真実だったとして、医療機関の関係者ならば即座に対応が可能だとしても、広い敷地で大人数の人々が働いている食品加工工場はどうでしょうか?
そこで働く人々は、その地域の至るところから通勤してきているはずだし、場合によっては工場は二部制三部制のシフトで稼働していて、ウィルスを持ちこむ確率も格段に高いはずです。
人員が多く、空調は稼働していても、肉や魚の下ごしらえや加工、調理済みの惣菜の盛り付けなどをおこなう製造ラインは、おそらく低温領域に空調温度が設定された密閉空間のはずです。
でないと食材や食品の腐敗が進行しやすいし、雑菌や異物混入を防ぐための室内を密閉する措置が必ずとられているはずだからです。
コロナが夏場の高温よりも冬場の低温、空気が乾燥しているほうが感染拡大しやすいと言われていることから考えると、マスクが有害ならば、工場内でとっくに甚大な被害が出ていないとおかしくないですか?
そして、もしもそんな事態になっていれば、コンビニやスーパーに搬入されるはずだった加工食品、冷凍食品、パンや乳製品、お惣菜や弁当などの製造が全てストップして、今ごろは世界中でコロナ禍による食糧危機に突入していたのでは?
でもそうはなってませんよね?
マスクでエアロゾルや感染拡大、肺炎や重症化を唱える人々は、その辺りをどう説明してくれるのでしょうか。
◆問題のあるマスクの存在
下の(図)は、東洋経済オンラインに2021/02/03 に掲載された
実験で新事実「ウレタンマスク」の本当のヤバさ ウイルス専門家、西村秀一医師が徹底検証
という記事で使われていた実験結果のグラフです。
(図)西村秀一医師の実験結果より
文字が小さくて読みにくいので補足すると、いちばん右がウレタンマスクで、左から3つめが不織布マスクです。
【実験の詳細】
クリーンルームの中で、喘息などの治療薬吸入器具として使われているネブライザーからヒトの出すエアロゾルを模したものを発生させて、それをそれぞれのマスク素材がどれくらい通すかを試しました。
喘息治療や気管支炎の治療でシューシューと出てくる薬剤のミスト(蒸気)を吸い込みますよね。あの状態がミストの発生側です。一方、ミストの受け取り側は、人がつけた状態のマスクではなく、各素材そのものを切り出し、筒の片方に隙間なく張り、反対側から空気を吸わせ、素材を通過してくるエアロゾルの粒子の径(粒子の大きさを表現するもの)ごとの濃度をレーザー粒子計測器で測りました。
東洋経済オンラインに2021/02/03 に掲載された【実験で新事実「ウレタンマスク」の本当のヤバさウイルス専門家、西村秀一医師が徹底検証】より引用
これらをふまえて「マスクで感染リスクが高まる」説を検証してみます。
こちらはマスクを着用することで、
✅飛沫を吸いこみやすく拡散しやすい
✅マスクが湿ることでエアロゾルを発生させる
✅口呼吸が多くなる
✅呼吸が深くなる
など、これらのせいで、ウイルスや飛沫が体内や肺の奥まで入りやすいという主張のようです。
ところで西村秀一医師の実験結果のグラフを見るかぎり、若い世代や外国人に愛用者が多いウレタンマスクは、呼吸はしやすいけどほとんどなんの効果もないという実験結果が出ています。
つまりスッカスカのウレタンマスクの場合には、飛沫も口呼吸も呼吸の深い浅いも、湿ってるかどうかも関係なく、効果の面ではほぼノーマスクと大差ないといっても過言ではないようです。
◆問題のあるマスクの扱い方
ウレタンマスク愛用派の人々の大半が、このマスクを丸一日ずっと着用しているようです。
それで汗をかいたり、長時間使用でマスクが湿ることにより感染リスクが高まるという話のようですけどね。
聞くところによれば、ウレタンマスク派は昨日つかったマスクを翌日もそのまま使ったり、ひとによっては数日間そのまま使い続けたりもするらしいのですが…本当なのでしょうか?
アベノマスクでお馴染みのガーゼマスクも同様ですが。
さらに、これらのマスクは、洗ってはいても、消毒や殺菌まではしていないひとも少なくないようです。
もし洗濯前のマスクにウイルスが付着していた場合、簡単に手洗いしたぐらいでは、洗濯したせいで生地一面に広がったウイルスが、生地が乾くまでのあいだにマスク一面に大増殖してそうな気がしませんか?
素人意見でも、こんな杜撰な管理のマスクをしていれば、すすんでウイルス感染したいのだとしか思えないのですけど?
マスク着用を義務付けられたアメリカのどこかの地域で、ノーマスクよりも感染率だか死亡率だかが高まったというデータがあるとのことですが、それはマスクの種別や使用法、洗濯の状況まできちんと調べたうえでのデータなのでしょうか?
そもそも欧米人にはマスク嫌いなひとが多いうえに、感染拡大した当初のマスク不要論のせいもあってか、コロナ禍で新しく普及したオシャレなウレタンマスクをしているひとを多く見かけるようです。
イメージ的にも簡単に手洗いして翌日もそのまま使ってそうな気がするし、最悪な予想では、お気に入りの同じマスクを洗濯もせず、外出する際にくり返し使用することで、いつのまにかどこかで飛沫を浴びてウイルスが付着していることです。
そしてそれに気づかないまま使いつづけるという行動こそが感染拡大を招いているのでは?
ウイルスが付着したマスクを家へ持ち込み、洗いもせずにそのまま何日も使い続けることで感染が拡大した可能性はないのでしょうか?
もしそうならば、そんな杜撰なやり方をしていれば、管理の悪いマスク使用のせいで感染者が続出しても不思議じゃないと思うのですけどね。
◆使い捨てマスクを使い捨てるメリット
効果は医療用と大差ない不織布マスクの場合ですが、医療用も含めたこれらのマスクはいずれも使い捨てタイプです。
一般の病院や検査施設では医療用のサージカルマスクを、食品加工工場ではよくある不織布マスクが使われている場合が多いようです。
画像はわたしが実際に使用しているマスクの箱です(斜めになったけどいいや💦)
ちょっとだけ割高ですが、日本製で個別包装という部分を重視して通販で購入しています(医療用ではありません)
マスクが不足していた頃ならともかく、今現在このタイプのマスクをウイルス対策目的で使っているひとならば、これを使いまわしたりはしないと思うのですけどね。
使い捨てマスクを使いまわすぐらいなら洗ってくり返し使えるマスクにするだろうし、勘違いしてるひともいるようですが使い捨てマスクはコンタクトレンズみたいに1dayじゃないですから。
使い捨てマスクを1dayタイプだと思っているなら、まずそこが間違っています。
そもそも医療現場や食品加工工場などマスクが必須の職場や現場では、持ち場を離れる場合には、手袋もマスクも新しいものと取り替えるのが普通です。
手袋に至っては、持ち場はそのままでも別の作業に変わるとその都度とりかえるそうです。
そういう使い方をするための使い捨てマスクであり手袋なのです。
わたしはそこまで徹底していませんが、食事のためにマスクをはずしたらそれは廃棄して、食後は新しいマスクと取り替えます。
汗をかいてマスクが湿るような時も、気持ち悪いので新しいものと取り替えます。
そのために割高でも携帯しやすい個別包装のものにしているわけです。
予算や在庫の都合などで節約しなければならない理由があるならともかく、そうでないなら、使い捨てマスクを使いまわせば感染リスクが高まるくらいは誰でもわかりますよね。
ここでもう一度『マスクをすると感染リスクが高まる』説のデータについて考えてみてください。
そこで用いられているデータには、食品加工工場で働く人々や医療関係者も含まれているのでしょうか?
もしも「ある地域」という特殊なケースではなく、医療現場や食品加工工場でマスク着用のせいで感染リスクが高まっているのなら、そのデータは信憑性があるかもしれません。
一部地域の住人のマスク着用による感染リスクの程度ではなく、病院や工場でのクラスター発生というもっと直接的でわかりやすいかたちのデータならばです。
でも、これまでのところはそんな話は聞きませんよね。
マスクのせいで感染リスクが高まったというデータにしても、マスクの種類や使い方、管理方法しだいでそういう数字のデータが出る可能性もあるでしょう。
同時に、そのデータを収集した地域では、扱いも管理も杜撰なウレタンマスクが多く使われていた…そういう調査結果が出る可能性もまた高いのではないかとわたしは思うのですが。
結論。
マスク着用の有無と感染リスクの問題は、マスクをするしないよりも、どんな種類のマスクをどのように使うかの条件に大きく左右される。
なので、マスク着用で感染リスクが高まるという話を鵜呑みにしてノーマスクを主張するのであれば、人混みや雑踏、公共施設や商業施設、スーパーやコンビニへ等への立ち入りは遠慮すべきです。
それが嫌ならマスクをしやがれ!
マスクは見た目のカッコ良さよりも効果の高さを優先し、ウレタンマスクにこだわるなら清潔さと洗濯での除菌に徹底的にこだわり、もっと頻繁に交換しろよ!
と、個人的にこっそり考える次第です。