第24回 雨水排水問題
以前、上水道と下水道の問題への対応は記述したが、水の問題はこれだけではなかった。雨水の排水をどう処理するかという問題だ。
建物の樋などから流れ落ちる雨水を、敷地内で一箇所に集め、それを河川その他の公共の排水路に接続しなければならないという規制がある。今回の計画では、敷地前面の道路に雨水マスがあるので、そこに流し込めばいいと単純に考えていた。
設計事務所の方が、その雨水マスの経路を2022年12月初め調査した。その雨水マス(a)に水を流したところ、右下の三叉路の中心にあるマス(f)を経由して、そこで折り曲がり南側の用水路にあるエルボーから放流されていることが確認できた。
ただ、雨水マス(a)と用水路までの排水管は、町の管轄下にはないそうだ。つまり、父が母屋を新築した40年以上前に、自分で設置したと考えられる。その位置は、当時は敷地内だったが、現在は町が管理する道路にある。隣にAWAZUKU HOUSEを建設した際に、その道路を二項道路にするため、敷地の一部を寄付した。雨水マス(a)は、その寄付地にある。そのマスから用水路までの地下に通っている排水管も、父が掘ったのだろう。現在の常識では、考えられないが、当時はそのあたりもいい加減だったのだろう。
町は父が設置したということであれば、その経路で雨水排水して問題ないという。父は4月に亡くなったので確認しようがないが、間違いないだろう。
新築する予定の2棟の雨水はこのルートに流し込めばいいので問題ない。だが、母屋の現在の雨水ルートも確認する必要がある。そこで、再度調査してもらったが、不明点が多いのだ。
母屋の周囲には、雨水マスが3箇所にある。そのうち西側の雨水マス(h)が、先の道路上にある雨水マス(a)に近いので、そこに水を流してみた。当然aに流れ込むと考えたが、流れ込まなかった。ただ、微かにaから水が流れる音は聞こえてきたという。母屋の雨水マス(h)からの雨水は、aを経由せずにaから流れ出す排水管に直接接続していると考えられる。そして、雨水マス(f)を経由して、確かに用水路のエルボーから流れ落ちている。なぜ、aに接続せずに、直接排水管に接続させたのか謎だ。
また、母屋周囲にはあと2つ雨水マスがある。hに近い雨水マス(i)と母屋東側にある雨水マス(j)で、それらはつながっていた。雨水マス(i)は、当然hとつながっていると考えたが、なぜかつながっていなかった。しかし雨水マス(i)に水を流し込んだところ、雨水マス(h)からのルートと同様に、雨水マス(a)には流れ込まないものの、雨水マス(a)から音は聞こえてきた。つまり、雨水マス(h)と別のルートで、用水路につながっていた。hとiからの排水管がどこかで合流して一本になり、a-fルート(道路下)に接続している可能性もある。
整理する。母屋からは雨水排水ルートには2つある。hからのルートともう一つのi&jからのルートだ。それぞれ別のルートを辿り雨水マス(a)近くで道路下の排水管に直接合流していると考えられる。
このように、母屋は建物の四方にある4カ所の竪管(たてかん:縦方向の雨樋)からの雨水を集める3つの雨水マス(h,i,j)があるが、それらを集合させる「集合マス」が不明なのだ。もしかしたら、集合マスは存在せず、それぞれが道路下にある排水路に接続しているかもしれない。その理由として考えられるのは、マスを設置するコストを節約するためだ。今となってわからない。
ただし、問題がある。もし母屋の雨水を道路下の排水路と接続しているとすれば、そのマスが現在駐車場用に敷かれたコンクリート(土間)の下に埋まっている可能性がある。マスの蓋の上からコンクリートを敷くことは、今の常識では考えられないが、昔はなんでもありだったので、やりかねない。それはコンクリートを剥がして見なければわからない。もしその位置が新築予定のMM棟と重なっていたら、そのマスの移動工事をせねばならない。
仮にMM棟と重なっていなかったとしても、もう一つ問題がある。その謎のマスが存在するとすれば、MM棟敷地内にある可能性が高い。母屋屋根につながる竪管からの雨水は、母屋敷地内で一カ所に集め(集合マス)、そこから敷地外の公的な排水路に流し込む規則がある。つまり既存の謎のマスは規則違反になっているため、使用許可がおりない可能性がある。
しかしその後、町に確認したところ、所有者が同じであれば、敷地は別であっても認められるそうだ。上の写真の水色のライン(新設雨水排水経路①)は、認められなかった場合の母屋雨水排水ルート案であり、幸いその可能性はなくなった。
もうひとつの可能性。もし、コンクリートを剥がしてもマスが見つからなかった場合、経路は完全に不明になる。しかし、母屋雨水は用水路に流れ込んでいるのは確実であり、現在何の問題も生じていない。その場合は何もしなくてもいいことになる(上記の「重なっていない」ケースも同様)。母屋はあくまでリノベーションなので、新築と違って雨水計画を求められる建築確認申請は不要だし、敷地をまたぐことは認められることがわかったからだ。
いずれにしろ、コンクリートを剥がしてみなければ何もわからない。
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