1989年4~5月 初ソビエト連邦モスクワ・レニングラード 8
5月4日
終日自由行動。
本のベリョースカБерёзкаへ。
ベリョースカというと、外貨専門店で観光客用の土産物店。
地元の人は入れない、なので、大きな店の前には近所の小僧さんらしき数名がべったり張り付いて覗きこんでいた。
ここ、本のベリョースカには美術書など豪勢な本が多かった。一般的にソ連の本は紙質がよくない。安い本は特に紙が脆そうで、黄ばんだ新聞紙みたいな感じ、しかもヘンテコな匂いがする。
しかしやはり外貨専門の店ではまともな本らしい本が多い。国の威信をかけているのだろう。
Sちゃんと二人、地下鉄に乗って、スモレンスカヤ駅まで。
地下道で、赤ちゃんを抱いたお婆さんのホームレスらしき人が座り込んでいたところに、通りかかった女の人がお札を握らせていたのが妙に印象的だった。
駅から少し歩き、唐突にアルバート街(アルバート通り Улица Арбат)が始まっている。
お店は多いが、ドアが重々しくてウィンドウという概念にも乏しく、本当にあなたは店ですか? と常に問いかけながら扉に手をかける。
店内に入ると、どこもけっこう人がひしめいている。
アクセサリーの店で友人にピアスを買う(3P50K)。
通りで(多分)ピロシキを買う。25K。
ゴボウ巻きみたいな色と形、中はゴボウではなく甘いんだか何だか今一つ不明。
通りには似顔絵かきが一杯。
グムГумの近くで念願のアイスクリーム(マロージナエмороженое)売りに遭遇。
このような押し車で給食のおばちゃんみたいな人たちがどこからともなく現れる。
箱の中には粗末なコーンに美味そうな黄味がかったクリームが丸く盛り付けたアイスがちんまりと並んでいる。あまり大きくない、ひとつ20K。
1回目の登場では行列についたものの間に合わずあっという間に売り切れてしまったが、次の台車登場にようやく買うことができた。
どこかのおじさんは列に入りそこね、前にいたおばさんと言い争っていた。
グム入口で立ち食いしていたら、通りかかりの人が「それ、どこで売ってたの?」と(おそらく)聞いてきたので「あっち、あっち」と指さして教えると、大股で向かっていった。
後で見たら、2個買って嬉しそうに食べていた。
グム。赤の広場にほど近い場所にある公営百貨店。
建物自体がまた凄い。
三階建てで美しい柱がジャマっけ。ずらりと店が入っている。
実に多種多様なものが。Gジャンが日本円で4~5万円くらい。
トイレも有料 15K。
ジェーツキー・ミールДетский мирにも行ってみる。
子ども専門の百貨店。
マジェラッティーのミニカー3.50Pを買ってみる。
2階は子ども服売り場。店舗内に入るまでにすでに行列。
ここまでで分かったこと。
・ソ連人はとにかく列を見かけると後ろにつく。
・ソ連人はすぐ行列をつくる。
夕食の後、団体で予約してあったということでチャイコフスキー記念劇場へ、モイセーエフバレエ団の公演を観に。
ジーンズOKと言われてほっとする。 パンフは70K。中にカフェもあった。
第一幕目が、ラテンやタンゴの曲に乗せたカフェを舞台にした出しもの。
第二幕目が、典型的民族舞踊から一転、「はげ山の一夜」をBGMに地獄の場面、迫力があった。
終わってから、場内の警備が数人まん中まで小走りにやってきてわずかに騒然とした雰囲気となる。
ボックス席にたまたま、当時の外相だった宇野さんとシュワルナゼさんがいて、その真下の席にいた我らがツアーメンバーAさんBさんが「あっ! 宇野さんや! うちら日本人やで!」と叫んで握手を求めたらしい。
席が離れていたので、その騒ぎを他の観客と同じようにまるでヒトゴトみたいに眺めていた。
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