2024.05.29 静岡県立美術館「テオ·ヤンセン展」
なにかと心わずらうこと多く、血圧も上がり気味だったので、気晴らしと称してこちらに行ってきた。
ヘンな動きをする機械をいっちょ冷やかしてやろうか、という感じで行ったのだが、これが大きく認識のズレがあったことに行ってから気づいて、何かと観て触って、最終的に謎も残ったのだが、かなり満足して帰ってきた次第で。
結論から言うと、
これは機械ではなく、「生き物」だったのです。
はい、後ろにチャックなどありませんでした(まだ疑っているが)。
入って行っていきなり、エントランスホールに一頭?いや二頭。
前知識なしで行ってしまったのだが、こちらがストランドビースト。
創り上げたのはテオ・ヤンセン(1948年生まれ)というオランダ人アーティスト。
ストランドビーストとは?
もともと、高潮の被害から砂浜を守る自律型生物(作品)としての設計を考えていたようだが、その考えはあまりにも独創的であり、何度も解説を読んで実物を見て動画も視て、ついでにスタッフにもいろいろ訊いたのだが、結局のところ、全容が掴めなかった私。
これらは自然の力を利用しオランダ・スヘフェニンゲンの浜を闊歩していたそうで…進化の度合いによって、それぞれ世代ごとに名前がついているのだとか。
時間ごとに、展示されているビーストの「リ・アニメーション」が行われるとのこと。つまり、展示されている巨大なやつが動くのだそうで。
えっ、ちょっとこわいです。特にこの下のやつも動くって。
どうやって? 襲ってくるかも?
リ・アニメーションまでの時間に、機構のスケッチや材料などを見て歩く。えっ、生き物だったら「解剖図」とかじゃないのか?
明らかに風待ち、というやつも。
さて、実際にリ・アニメーションが始まるというので周りに集まってきた。
ここは浜辺ではないので、背後からコンプレッサーで風を送る。
すると、エネルギーを得たストランドビーストが前進したでは。
思ったより軽快な、滑らかな動きです。重さを感じない、というのか。
戻る時も(スタッフさんが引き戻した?)案外軽い感じだった。
デモが終わってから近寄ると、このようなペットボトルの列が見えた。
本当にこの中に空気が圧縮されるのか? スタッフの方に説明を訊いたのだが、この「生き物」についての理解が完全に追いついたわけではなく…結局納得でき切れず、ただ、感心しまくったのみ。
スタッフさんが「テオが、●●で」と仰っていたので、かなりストランド・ビーストとその発明者(発見者?)に近しい人物かと。
館内にはもうふたつ、リ・アニメーションが見られるビーストがいて、すべて見て行く(名前がねー、もう何がなんだか。判ったものだけ名前を載せてます)。
途中で、背丈ほどのビーストを押して動かせるものもあり、連れとふたり、じゅんぐりに押してみた。うん、やっぱり軽快に進むわー。
ビーストによっては、頭上にヒレをはためかせたり、足場になる杭を打ち続けたり、向かい合ってお互い鼻先を振り合ったり、となかなかに愛らしい動作をするものもあった。
なんだかんだ丁寧に見て歩き、ようやくまたエントランスに降りていく。
出がけに、館の方が興奮気味に「よかった! 今から、このアノマリス・なんちゃら(かんちゃらだったかも、職員さんはちゃんと呼称していた、覚えていないmeに罪がある)の試運転(とは言ってなかったかな、生き物だもの)があるのでご覧になって行ければぜひ」と。
少し待つと、先ほどの専属スタッフさんがやってきて、しばらくあちこち引っ張ったり押し戻したりなんやかんややっていたのだが、そのうちに、えいやっとばかりにどうにかした(少し前の話で記憶力がなさすぎてごめんなさい)、すると、アノマリス・なんちゃらは束の間息を吹き返し、前進した。
居並ぶ観客はおお~とどよめき、「なんちゃら」はまた静かに停止した。
脇を通った若い女性がたのうれしそうな会話が漏れ聞こえる。
「ねー、動いたねー」
「あの飼育員さん……(聞き取れず)」
そうか、彼のことは飼育員さんとお呼びすればよかったのか…
会期中、屋外でのリ・アニメーションも数回開催されたらしい。かなりの盛況だった様子。
それにしても、あのビーストたちは今どこで、なにをしているのだろうか。