決意の裏側②
フィリピン旅行から帰国し、私は文字通り「抜け殻」になったような日々を送っていた。
気を抜くとひとりでに涙が出てくる。
前々から楽しみにしていた家族旅行。
心の支えになっていた。そのために頑張ってきたのに。
それが悲惨なことになってしまい、私は打ちひしがれ、燃え尽きたようになっていた。
何を目的に生きていけばいいのか分からない日々。
でも、息子はかわいかったし、彼を育てなくてはいけない。私は死ぬわけにはいかない。
鬱々とした日々を送る中で、夫との関係も悪化していった。
「話し合い」は何度もしたけれど、もはやそれは話し合いではなく、夫から説教されていたようにしか思えなかった。
ある時、「夫がいなくなってくれないかな」と思い始めた。
ネットで検索してみたら、同じような妻たちの存在を発見した。とても心強かった。
それからしばらく経ち、ある離婚カウンセラーさんを見つけた。
夫がいなくなることを願うくらいなら、離婚した方がお互いのためにいいのではないか、と思い始めた頃だった。
勇気を出して相談に行った時、言われた言葉がものすごく心に刺さった。
それまで我慢していた思いが、一気に溢れた。
そこで弁護士を紹介してもらい、私は「離婚」へと動き出した。
思いもよらない「刺客」
離婚の決意が固まった頃、私は一番近しい友達に報告した。
表面上は「仲睦まじい夫婦」と映っていただろう私の突然の報告に、皆ビックリしていたけれど、それまでの経緯を話したら納得してくれた。
いや、1人を除いては、納得してくれた。
後日、分厚い手紙が私の元へ届いた。
内容は「離婚を思いとどまって」というものだった。
色々辛いこともあるかもしれないが、お父さんの存在は、経済的にも子供の成長のためにも必要だ。
自分の母親も同じような状況だったけれども、離婚しないでいてくれたことに感謝している、と。
もちろん、そんなことは何度も自問自答した。
私さえ我慢していれば、平和な家庭が保てるのではないか、とも思った。
何よりも息子のことは考えた。
それでも、仲の悪い夫婦のもとで息子を育てるよりも、別々になることを選ぼうとして、やっとのことで決意を固めたところだった。
私や私の家族のことをとても考えてくれたのは分かっているが、この手紙は、私に結構なダメージを与えた。
といっても、もう戻れないところまで来ていた。進むしかない。
思いを新たにした。
今考えると、私の覚悟が試されていたのかもしれない。
(つづく)