第3戦車大隊最後の姿~2022年今津駐屯地記念行事~(後編)
前回に続き、昨年12月4日に行われた、陸上自衛隊今津駐屯地70周年記念行事に行った記事になります。
戦車が主役の訓練展示
観閲行進が終わり、訓練展示へ
敵部隊の役として第3戦車大隊の96式装輪装甲車と軽装甲機動車が1両づつ展開、敵部隊役の隊員はヘルメットに赤い帯を巻いている。
訓練展示はレーダーから始まった。
今津駐屯地は戦車部隊だけではなく、中部方面移動監視隊と言うレーダーや暗視装置を使う警戒部隊と無人機での偵察を行う中部方面無人偵察機隊も駐屯しています。
この2つの部隊が警戒と偵察を行っていると言う想定で、レーダーが動いていると言う展示
私の所からは、レーダーの先を見る事は出来ても搭載している車輌は見れなかった。
更に、第3飛行隊のUH-1と第3偵察隊の87式偵察警戒車が偵察の為に進出します。偵察警戒車は砲塔の機銃を撃ちながら敵前へ向かう。
偵察警戒車に続いて第3戦車大隊の16式機動戦闘車2両が前進
展示を行うグラウンドを蛇行し、8つのタイヤを備える装輪式の機動力を見せつけながら105ミリ砲を撃ちまくる。
泥を跳ねながら撃つ姿は正直痺れましたね。カッコエエ!
訓練展示は真打たる第3戦車大隊の74式戦車が登場
状況も戦車による自衛隊の反撃開始と言うラストへ向かう。
前線であるグラウンドに進み出た戦車は105ミリ砲を機動戦闘車に負けじと撃ちまくる。
74式戦車は4両が登場した。
2両が攻撃前進して、もう2両は援護射撃をする。
攻撃と援護で戦車は何度も空砲を撃つ。
この砲撃も近くで放たれその衝撃を耳と身体で受ける。この轟音がたまらない。
グラウンドはすぐに空砲による白煙で霧が広がるように白く霞む。
その白い空間に96式装輪装甲車1両が入場、普通科(歩兵)役の隊員を降ろす。
小銃を持つ隊員が敵陣へ前進し、その横を偵察警戒車と機動戦闘車が通り過ぎて攻撃前進、反撃が成功したと言う事で状況終わりとなった。
訓練展示が終わっても、戦車を眺める私を含めた来場者に向けて戦車の乗員である隊員の皆さんが手を振りながら退場して行きました。
こうして、第3戦車大隊最後の舞台となった記念式典は終わった。
独特だった装備品展示
装備品展示では、雪の中を意識した冬季迷彩と黒色・グレーや茶色のコントラストが混じる多用途迷彩の2種類の特別塗装で第3戦車大隊の戦車が展示
装備品展示には、16式機動戦闘車もある。
第3戦車大隊所属と言うこの時でしか見られない姿での展示だ。
第3戦車大隊の解隊で編成される第3戦闘偵察大隊の主な装備車輌となっている。
今津駐屯地ならではの展示品は中部方面無人偵察機隊の無人機だろう。
2007年(平成19年)から調達が進められていたこの無人機は、北海道の北部方面隊と九州の西部方面隊にこの中部方面隊と合わせて3つの無人偵察機隊で運用されている。
見られる機会はそう多くない装備品だろう。
他の展示では戦車の駐屯地らしい、74式戦車の転輪や履帯(キャタピラ)の一部などと言った部品に加え、74式戦車を整備する大きな工具も展示されていた。
どれも軍手を装着して触ったり持つ事が出来た。
いかに戦車のメンテナンスが重労働かが分かる。
2023年(令和5年)3月15日に、第3戦車大隊は解隊
翌日、兵庫県の千僧駐屯地にあって同じ日に解隊した第3偵察隊と第3戦車大隊を統合して第3偵察戦闘大隊が編成された。
この今津駐屯地70周年記念行事で第3戦車大隊の最後の舞台を見る事が出来て良かった。(私にとっては第3戦車大隊を見る、最初で最後の時になった)
もう74式戦車装備の戦車部隊は少なく、中部方面隊では第10戦車大隊も第13戦車中隊(岡山県日本原駐屯地)も解隊して偵察戦闘大隊に改編される予定だ。
せめて近い第13戦車中隊の最後の舞台は見届けたいです。