『つばさ吃音相談室』の羽佐田さんと吃音談義(保存用)
吃音臨床で活躍中の羽佐田さんとメールで吃音談義をしていたら、非常に興味深いお話をしてもらった。
今まで口では何度か聞いたことがあったけど文章では初めてかも。
せっかくなので公開していいか確認するとOKとのことなので、興味ある人は読んでみてください。
ちなみに「○○をすれば吃音は改善する」という内容ではないです。
読んでも吃音は良くなりませんので悪しからず。
後書でかつんこ主観も書いてみた。
ではどうぞ。
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僕らは
『慣れていないから』話せないんではないんだよね
話し方に、なんらかのトラブルがあるから、上手く話せないんだよね
となると
このトラブルの解決が大切で
トラブルを抱えたままの話し方を
いくら高頻度に駆使し続けても
基本的には
その話し方に対する熟練度が上がるだけで
ただ吃音が厄介なのは
常に話せないのでなくて
たまに
結果としては
上手く話せてしまう時があって
だからこのトラブルを抱えたままの話し方を駆使して
そのたまに起こる偶然の産物の成功経験を得ようとするんだけど
それはまさに偶然の産物であって
僕は訓練において
『再現性のある成功経験』って凄い大切だと思っていて
再現性って
①何度でも繰り返せること
②何度繰り返しても同じ結果が起こること
偶然の産物の成功の褒め称えて
「今の上手く言えてたね!もう一度同じようにやってみたら!」って言われても
いつもと同じ話し方で、エイって話したら、たまたま結果として上手くいっただけだから
「もう一度同じよう上手く話して」なんて言われても出来るかどうかなんて分からない
つまり
自信にはならない
仮に今までとは異なる話し方を身につけて
その話し方を駆使して話したら上手く話せた
こういった成功経験は
成功の根拠、理由が自分の中でハッキリとしている
根拠、理由はその『新たに身につけた話し方』
もう一度同じようにやろうと思えば
その新たな話し方でもう一度先ほどと同じように話せばいいわけだし
その話し方が方法的に正しいならば
再度同じ結果、つまり成功する。
この根拠ある成経験は何度でも繰り返せて
何度でも成功する
まさに
『再現性の高い成功経験』
かつんこさんが電話が苦手だとして
仮に本物の電話で
本当に電話をかけたとして
ドキドキしながらエイって話してみたら
偶然上手く話せたとして
そこで僕が
「今の上手く話せたね!もう一度同じように上手く話して」って言っても
できる気がしないのは
成功の根拠、理由が
自分の中に無いからなんだよね。
いつもと同じ話し方で話しただけで
たまたま上手く話せた
だから成功経験を反復できる気がしない
つまり
自信にはならない。
これが
『再現性が低い成功経験』
これはわざわざやらなくても
僕らは今までの人生のなかで
実は幾度となく積んできているはず
でも、それらの成功経験は
残念ながら
自信にはなっていない
この再現性の低い成功経験を繰り返す訓練が過去よくあった
とにかく電話してみよう
とにかくスピーチしてみよう
とにかく音読してみよう
間違った箸の持ち方を直したいのであれば
その間違った箸の持ち方のまま、とにかく箸で飯を食べ続ける事が大切なのではなく
先ずは正しい箸の持ち方を習得することが必要
その正しい箸の持ち方を習得する際には
飯やおかずなどは必要なく、箸だけあれば十分な訳で
正しい箸の持ち方を習得した後に
その正しい箸の持ち方を駆使して
実際に飯やおかずが問題なく食べられるのかを試して
そして自信に変えていく
話し方もそうやって
変わっていく
そう思う
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【かつんこ主観】
吃音は自然と改善していくことがある。
自助会に行くとそんな人も少なくない。
自分もその一人。
症状が出た中学1年の時は酷かった。通常会話が困難なほどの連発性吃音。
連発から難発という鉄板な変化をしながら、でも何をしたわけではなく自然と改善していった。
ただ、自然と改善するケースと意図的に改善させるケースは全く別物だと考えている。
練習をすると純粋に楽しいとか気持ちが楽になるという人もいるだろうし、それを否定をする理由はない。
でもよく「場慣れ」というキーワードが出てくるけど、それでは吃音は良くならないと思っている。
一時的に良くなった気がすることもあるけど、何かのきっかけで症状が戻る。
その繰り返し。
俗に言うところの「吃音症状の波」ってやつ。
場慣れで吃音が良くなるなら、吃音で困っている人はこんなにも多くないはず。
改善目的でただ何となく練習をしても無駄になる可能性が高い。
羽佐田さんの言う通り、最初にトラブルを起こしている話し方を変えないと吃音は改善していかないでは?と思っている。
段階を踏むということが重要なんだろうなと。
羽佐田さんが実際にその方法で改善という成果を人一倍出せているのが何よりも説得力がある。
※トンデモは別として、他の臨床方法は否定してません。念のため。
今は自分の吃音を改善したいという気持ちは全くない。
さほど吃音で困っていないから。
言えない言葉は何の抵抗もなく言い換えをするし、逃げれるケースなら躊躇することなく逃げる。
言えないと思ったらメモ紙・スマホ・ネットも使う。
無駄な戦いはしない。
でも吃音の改善が必要だと感じれば、間違いなく羽佐田さんの力をお借りすることになると思う。