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KATTSUは、最初に作品のイメージ背景やストーリーを文章で表現するのはどうかと正直躊躇していました。
昔から絵を描くときの手順でキャラクター、ストーリーや背景が頭の中でほぼほぼ完成した状態で下書きへとスタートさせるのですが、完成したその絵を明確に文章で説明した事はタイトルくらいで多分今までに無かったと思います。
作品を見て頂ける方に各々で解釈して頂ければ良いとも考えていました。
しかし、より多くの方に伝え、世界観、理解を深めて貰うために必要では無いかとASST(アスト)の勧めもあり今回、初挑戦をしてみようと思いました。
兎に角、拙い文章となりますがお許し頂けると幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
BerSerKerGirls STORY
【スパルタンの女戦士】
時は古代ギリシャ、、、数百の敵軍勢に囲まれる
1人の女戦士がいた。
夥しい数の敵兵の死骸が足場を埋め尽くす。
彼女達の想像を絶する強さに圧倒的優位に立つはずだった敵兵の顔が青褪め悲壮感が漂う。
スパルタンの優れた身体能力に加え強靭な肉体と技量を持ってしても大国の圧倒的軍勢と統率の取れた組織力にジリ貧状態となり遂には彼女1人となってしまったのだ。
圧倒的不利な状況にも関わらず体勢を低く構えバトルアクスを左右の手に持ち歯を剥き出しにし周囲を威嚇し睨みつける彼女こそスパルタン最後の生き残りにして最強の女戦士である!
どのような状況になろうとも成すべきことは変わりはしない!彼女は当然のごとく立ち向かう。
自身の体には矢が数本深く減り込み皮膚と肉は裂け骨は砕かれ損傷は内臓にまで及んでいる。
自らの鮮血と返り血で全身は真っ赤に染まりアクスを振り下ろすたびに血飛沫が舞う!
全身から力が抜け目が眩み周りの音が遠く聞こえる、、、
「クッ!こ、ここまでか、、、」
薄れゆく意識の中、誰かに呼び掛けられた気がした、、、
どれほどの時が流れたのか意識が朦朧とする中、
彼女は目覚めた。
夢とも現実ともわからぬ奇妙な異世界、、、
戦闘時に身に付けていた甲冑、更に左右の手には愛用のバトルアクスがしっかりと握りしめられているが何やら怪しげな光を帯びている。
どうやらここは黄泉の異世界?
彼女はゆっくりと周りを見渡す。
周囲全体が薄暗く何も存在しない世界、澱んだ重苦しい雰囲気。
しかし、その澱みを身体が吸収し力が漲る。
遠くから聴き覚えのある声が聞こえてくる。
声の主は最後を迎えた時に聞いたあの声だった。
【バーサーカー】
同じ頃、北欧のある城の地下通路を1人の兵士が食事を運んでいた。
硬い楕円形のパンにはカビが生え数本のキノコが入った粗末で冷えたスープ。
初の食事係となったその兵士の顔面は蒼白で冷や汗をかき食事が置かれたトレーを持つ手はガタガタと震えている。
食事係が怯えているのは他でもなくある噂を聞いていたからだ。
通常、食事係に所属すればよく見掛けることになるのだが特殊な食事係に配属されるとその後一度たりともその者を見掛けることがないのだ。
食事係はある部屋の鉄扉の前まで辿り着きノックをした。
分厚く大きな鉄扉がゴォン!ゴォン!と鈍く響く。
すると鉄扉の覗き窓がパッと開き内部にいる者が食事係と食事をギョロリと見た後ガシャっ!鍵が解錠される音がした。
内部に入ると大柄な兵士が2人立っていた。
明らかに幾度となく死線を潜り抜けてきた強者に見える。
そのうちの1人が部屋奥の鉄格子の鍵を開け顎で進むように指示をする。
食事係はゴクリっ!と生唾を飲み先へ進む。
後ろにはもう1人の大柄な兵士が付いて来ている。
直ぐにもう一つの鉄格子にたどり着いた。
最初の鉄格子からは薄暗くてよく見えなかったが、ここは牢屋になっているようだ。
広い奥行きのある牢屋の中央あたりに誰かが椅子に座っているのが分かる。
その牢屋は鉄格子以外は石壁で全方位囲まれていて窓一つ無かった。
大柄な兵士が牢屋の扉の鍵を開け
「教えられた通りに飯をやれ」と呟く。
食事係が恐る恐る牢屋内へ入ると扉が閉められ施錠される。
一瞬、振り向くも無言で再び歩みを進める。
中央の椅子に座る得体の知れない者に近づくにつれ様子が分かってきた。
椅子に座っているがその椅子自体が拘束具となっており首、腕、胴体、足に鉄製の錠で拘束されている。
他にも個別で口や手足首にも革製の拘束具が嵌められている。
この状況下でも充分に異様だが食事係が恐怖しているのは拘束されている者を間近で見たからである。
女?そもそも人間なのか?熊の頭部の皮を被り全身も熊の毛皮で覆われている。
髪はボサボサで伸びており目は見開き瞬きすらせず一点を見つめている。
糞尿と獣の強烈な臭いが充満している。
決して物音を立てず目を合わさず淡々と任務遂行するように言われているが食事係は恐怖の絶頂にあった。
まず食事が乗せられたトレーを床に置きそっと背後に回り込み拘束箇所を外していく。
何故か更に奥の方には無造作にバトルアクスが2本床に置いてあるが何やら怪しげな光を帯びているようにも見えた。
手の震えが激しくなり気が狂いそうになる中、食事係は必死に任務を遂行する。
手足首は、革製のベルトで拘束したままで最後に口の拘束具を外す。
これで食事係の任務は終了した。
牢屋の扉へ向かおうとする。
扉の外では大柄な兵士が頷いている。
「聞こ、、える、、、。」
突然その得体の知れない者が声を発したように思えた。
食事係はビタリッと動きを止め何が起こったのか頭の中で必死に纏めようと努めたが実際はパニック寸前だった。「しゃべったのか?今、コイツしゃべりやがったのか?」
無視して知らぬ顔でやり過ごそうと食事係は歩き出そうとする。
「時が、、きた、、、。」
再び発せられた声に食事係は辛抱堪らず悲鳴をあげ走り出す。
が一歩も踏み出せないところで得体の知れない者に一瞬で首根っこを噛み付かれそのまま押し倒される。
食事係は直感で悟っていた「やられるっ!終わった、、、。」
もはや体はピクリとも動かせず硬直し声も出せない。正確には「うう、、う、、。」とうめき声を上げたが首筋に噛み付いた力が増すともううめき声も出せなくなった。
得体の知れない者は噛み付いた状態のまま頭を振り「ガルルルル、、、」と喉を鳴らす。
硬直状態の食事係の目から涙がボロボロと溢れ落ちる。
その時、牢屋の奥で突然「ゴゴゴゴゴゴ、、、」地響きのような振動と大きな音がした。
食事係は音のする方こそ見れなかったが牢屋の外にいる大柄な兵士がなにやら石壁に設置されたハンドルのような物を必死に回している様が見えた。
次の瞬間、得体の知れない者が低姿勢のまま凄いスピードで反転し音のする方へ走り出した。
手足首に嵌められた革製の拘束具は床に無造作に転がっている。
走りながら床に置いてあった2本のバトルアクスを拾い上げ更に走り去る。
走る先には石壁しか無いはずだがそこには何故か通路が出現していた。
人1人がやっとで通れるくらいの狭い通路に猛スピードで得体の知れない者が突っ込んでいき消えていった。
食事係が理解するまで少し時間が掛かったが大柄な兵士が石壁に設置されたハンドルを回して石壁を開き通路を出現させたのだ。
食事係は腰が抜け泣きながら腹這いで扉へ向かうと大柄な兵士が扉を開け食事係を引き摺り出した。
食事係の首からは出血が見られるが命に別状は無さそうだ。
大柄な兵士が言った。
「よくやった!この状況で生き残ったのは貴様が初めてだ!」
食事係は「ゲホッ!ゴホッ!あ、ありがとう、奴は一体何者なんだ?何か喋っていたぞ」と言うと
大柄な兵士は薄ら笑いながら「奴が喋った?有り得んな、奴は理性のかけらも無く喋ったりもしないただの狂ったバケモノさ!」更に小声で呟くように言った
「くそっ!バーサーカーめ、、。」
そう、この得体の知れない者こそがバーサーカーであった。
バーサーカーは高速で狭い通路を駆け抜ける!
通路のずっと先には小さな光が見える。出口だ。
バーサーカーの目は先ほどとは打って変わってギラギラと輝いている。
何やらボソボソと誰かに呼び掛けているようだが何を言っているかは分からない。
ようやく通路を抜けるとあまりの眩しさに目が眩む。
そこは、地下牢からずっと離れた城の外だった。
何故か目前には数えきれないほどの敵軍が待ち構えている。
敵軍の大将らしき者が大声で叫ぶ。
「彼奴等めー!バーサーカーを放ちよったか!」
更に号令をかける。
「全軍、かかれー!バーサーカーを駆逐しろー!」
大群が一斉にバーサーカーに襲い掛かる。
バーサーカーは足を止めずそのまま大群に突っ込む。
ここからは正に地獄絵図が展開される。
もはやこの世の者では無い。
驚異的な強さだった。
程なくして攻撃を中断して様子を伺った。
死体の山の中からモゾモゾとバーサーカーが這い出てくる。
口には敵兵の血肉を喰らい、返り血で全身血みどろだが傷ひとつ負っていない。
敵軍の大将が悶絶する中バーサーカーが叫ぶ。
「よかろう、、我に、、、この異端なる、、抑制の効かぬ異能の狂戦士に理性、思考と制御する力を与える者よ!」
「共に成すべきことを成すべくこの身体、喜んで差し出そう!」
死体の山の頂きから両手に握りしめたバトルアクスを天高く突き上げる。
バトルアクスが光り輝き出す。
「放てぇぇぇぇ!」
敵軍の大将の号令が響く!
空が真っ黒に翳り夥しい数の矢がバーサーカーに浴びせられる。
バーサーカーは眼を閉じ喜びに満ち溢れた表情を浮かべている。
【オリジン】
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スパルタンの女戦士がこの異世界の地に辿り着いて程なく聞こえてきた声の主が自身に近づいてくるのを感じていた。
最初、聞き取りにくかったその声も段々と聞き取れるようになってきた。
両手に握られたバトルアクスから放たれる光が更に増していることに気付く。
「来るっ!この地に声の主はいる!」
自身に迫り来る声の主はいったい何者なのか、、、。
何故かバトルアクスから声の主の強い意志のようなものが伝わってくる。
スパルタンは体勢を低く構え戦闘態勢をとりその時を待った。
その頃、異世界に辿り着いたバーサーカーは意識を取り戻しゆっくりと深呼吸をした。
自身を抑制し理性と思考を与えてくれるスパルタンの女戦士の存在を近くに感じていた。
現世に抜け殻となった体を捨てて計画通りにここまで辿り着いた。
バーサーカーは秘密裏にそして周到に準備を進めていたのだ。
彼女が自ら欲して軍神より譲り受けた力。
彼女にはその素質があったがその力はあまりに強くデメリットもまた大きかった。
バーサーカーシステムの異常性。
バーサーカー自身の意思でオン/オフが効かないのだ。
一度バーサーカー状態になると理性や思考は失われそして何より制御が効かなくなる。
荒ぶる化け物となり動く者は見境無く全てを叩き潰す。
敵や味方は勿論のこと、家族や周りの親しい人たちまでも、、、。
彼女の得た力の代償は、あまりにも大きかった。
程なく彼女は城の地下牢で管理され敵軍が攻めてくると単身で放り出されるのだった。
しかし、彼女にとってそれは特に苦痛では無くむしろ都合が良かった。
目に映る全てを無に返す存在。消せない過去、
罪と罰、、、そして償い。
全てを無に返すとバーサーカー状態は解除され元に戻るが意識レベルはかなり低い。
無機質な状態に近い。
物事を深く考えることがとても困難な状態となる。
しかし、彼女は必死に考えていた。
バーサーカーシステムの負の打開策を、、、。
そしてもう少しでその願いが叶う。
彼女はバーサーカーとなった自身を制御できない事は承知していた。
ならば更に強い意志を持ち合わせた者と融合し完全体へと進化するという俄に信じ難い案を練っていたのだ。
自身の能力で広くアンテナを広げ同じ志を持ち人並外れた強い意志の持ち主を探し続けた。
同時に現世での融合は不可能であったため異空間に異世界を作り出し意識レベルの融合を考えていた。
そしてようやく1人の女戦士を発見する。
最強のスパルタンの女戦士を、、、。
その女戦士に意識レベルを繋ぎ合わせ最後の時をひたすら待ち続けた。
バーサーカーが地下牢で発した言葉は全てこの女戦士に向けられていたのだ。
この段階で若干ではあるが女戦士の意志を借り
バーサーカーに理性、思考が効くようになっていた。
そして女戦士の死後、この異世界へ導くことに成功しバーサーカー自身も計画通りにこの異世界に辿り着いたのだ。
この異世界に距離や時間は存在しない。
バーサーカーは瞬時にスパルタンの女戦士の元へ現れた。
2人は遂に対面した、、、。
バーサーカーとスパルタンの女戦士は共鳴する双方のバトルアクスを通じて意思の疎通が取れ一瞬で互いを深く知ることができた。
双方が未だ道半ば、成すべきことを成すため1つになる準備は、整ったかに見えたが、、、。
スパルタンの女戦士がいきなりバーサーカーに襲いかかった。
最強の女戦士の渾身の攻撃が続く。
共鳴し光り輝く双方のバトルアクスが激しくぶつかり合う。
バーサーカーがたまらず後ろへたじろぐ。
スパルタンの女戦士の強さはバーサーカーの想定を大きく超えていた。
バーサーカーは、このスパルタンの女戦士の理性と思考を取り込んでいるので冷静に攻撃を対処している。
ふぅ、、、スパルタンの女戦士が攻撃を止め一息付くと微笑みを浮かべ話し出した。
「我らは共に道半ば、互いの意思の確認も出来た、、、あとは任せる。」
バーサーカーが頷く。
2人の体が光る粉となり交わり合う。
そして一つの光の中に包まれた。
神々しい光の中に実体が現れた、、、。
「これからだ、、ここから始まる、、、。」
「我は、オリジン!、、、成すべきことを成すために戦い続ける。」
熊の皮を被り両サイドで髪を編み込み顔には血の紋章が現れている。
両手に握られたバトルアクスは光り輝き、もはや神器と化している。
オリジンは、この地で何を成そうとしているのか?
この先、少しづつ明らかになるだろう。