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キュビスム展に行ってきました:同時主義とは


①キュビスム展の概要

 2024年1月28日(日)まで国立西洋美術館で開催されている、
「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展 美の革命」に行ってきました。

 この展覧会では、キュビスムの発生に影響を与えたセザンヌから始まり、ブラック、ピカソ、ドローネー、デュシャン兄弟、シャガール、ブランクーシなどの作品が展示されていました。

ピカソ≪女性の胸像≫≪輪を持つ少女≫

 キュビスムの巨匠であるブラック、ピカソの作品はどれも印象的なものが並んでいました。

②気になったこと:同時主義(シミュルタネイスム)について

 今回の展覧会の中で一番気になったことは、
同時主義(シミュルタネイスム)という表現で、
ざっくり言うと、一つの画面に複数の時間を閉じ込めるような表現でした。

 同時主義を打ち出したのはドローネー夫妻とのことで、
以下のロベール・ドローネーの≪パリ市≫では、
古代(ギリシア神話)から存在する三美神というモチーフと、
現代を象徴するエッフェル塔というモチーフを並べることで、
一つの絵の中に異なる時間軸のものを閉じ込めているようです。

ロベール・ドローネー≪パリ市≫

 また、ソニア・ドローネーの作品では、ダンスを踊る複数の姿を描くことで、ダンスの時間の流れを表現しているように感じました。同時主義の分かりやすい例だったと思います。

 元々、キュビスムは、セザンヌが行った”一つの画面の中に複数の視点を持ち込む”ということに対して、ブラックやピカソがモチーフの図形化という要素を持ち込んで展開していったかと思います。つまり、キュビスムには、一つの画面に複数の視点を持ち込むという要素がありました。
 そのようなキュビスムにさらに複数の時間軸という要素を持ち込もうとしたのが、同時主義だったのかと感じました。

 既に展開している表現に対して、新しい価値観を持ち込むことを繰り返して、アートは発展してきたのだと改めて思う機会になりました。

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