ラマダン~ブルネイでの過ごし方と注意点~
ラマダンは、イスラム教徒にとって非常に重要な月であり、断食や祈り、自己浄化を行う神聖な期間です。ブルネイ・ダルサラームでも、ラマダンは広く実践されており、社会全体がこの月に特有の雰囲気に包まれます。以下に、ブルネイでのラマダンの過ごし方と注意点について詳しく説明します。
1. ラマダンとは
意義と期間
ラマダンは、イスラム暦の第9番目の月であり、イスラム教徒にとって最も神聖な月です。この期間中、イスラム教徒は日の出から日没までの間、断食を行います。
意義: 断食(サウム)を通じて、信仰心を深め、自己浄化と神への帰依を促します。また、貧困や飢えを体験することで、他者への共感と慈善の精神を育みます。
期間: ラマダンの期間は29日から30日間で、イスラム暦に基づくため、毎年日付が異なります。2024年のラマダンは3月10日から4月8日までです。
2. ラマダン中の生活
断食のルール
ラマダン中の断食は、日の出から日没までの間、一切の飲食を断つことを意味します。以下の点に注意する必要があります。
サフール: 日の出前に摂る朝食。エネルギーを補給し、一日を乗り切るための重要な食事です。
イフタール: 日没後に摂る夕食。一般的にはデーツ(ナツメヤシ)や水で断食を終え、その後に食事を楽しみます。
祈りと宗教行事
ラマダン中は、通常よりも頻繁に祈りを捧げ、特別な礼拝(タラウィーヒ)が行われます。
礼拝: 1日5回の定例の礼拝(サラート)に加え、夜間には特別な礼拝(タラウィーヒ)が行われます。
クルアーンの朗読: クルアーン全編の朗読が奨励されており、多くのイスラム教徒がこの期間中にクルアーンを読了します。
日常生活の変化
ラマダン中は、社会全体が断食と祈りに専念するため、日常生活にも変化が生じます。
営業時間の変更: 多くの商店やレストランが営業時間を変更し、日中は閉店、夕方以降に開店する場合があります。
仕事のスケジュール: 一部の企業や政府機関では、ラマダン中の勤務時間を短縮することがあります。
3. ラマダン中の旅行者への注意点
飲食に関するエチケット
ブルネイを訪れる旅行者も、ラマダン中の飲食に関して一定のエチケットを守る必要があります。
公共の場での飲食: 日中に公共の場での飲食や飲酒は避けましょう。イスラム教徒の尊重のために、食事はプライベートな場所で行うことが推奨されます。
レストランとカフェ: 一部のレストランやカフェは日中も営業していますが、店内での飲食は控えめにすることが望まれます。
服装と行動
ラマダン中は、より控えめで礼儀正しい服装と行動が求められます。
服装: 肌の露出を控えた控えめな服装が推奨されます。特に女性は肩や膝を覆う服装が望ましいです。
行動: 大声で話す、騒ぐ、公共の場での親密な行動などは控えましょう。
イフタールの体験
ラマダン中の日没後のイフタール(夕食)は、特別な体験です。旅行者もこの機会に地元の文化に触れることができます。
イフタールの参加: 一部のホテルやレストランでは、イフタールのビュッフェが提供されます。予約をして参加することができます。
地元の人々との交流: 地元の人々と一緒にイフタールを楽しむことで、ラマダンの文化と精神を理解する良い機会となります。
4. ラマダン中の特別な行事
ラマダンバザール
ラマダン中には、特別な市場(ラマダンバザール)が開かれ、様々な食べ物や飲み物が販売されます。
場所: バンダルスリブガワンやその他の主要都市で開催されます。
販売品: 伝統的な料理、デーツ、飲み物、デザートなど、イフタールに適した食べ物が豊富に揃います。
ザカートと慈善活動
ラマダンは、慈善活動が特に重要視される月でもあります。ザカート(イスラム教の寄付)が行われ、貧困者や困窮者への支援が行われます。
ザカート: イスラム教徒は、収入や財産の一定割合を寄付することが義務付けられています。
慈善活動: 地元のコミュニティや組織が、食糧や衣類を配布する活動が活発に行われます。
5. ラマダン終了後の祝祭
イード・アル=フィトル(Eid al-Fitr)
ラマダンが終わると、イード・アル=フィトル(Eid al-Fitr)という祝祭が行われます。これは、ラマダンの終わりを祝う重要なイベントです。
祝日: ブルネイでは公的な祝日となり、多くの人々が休暇を取り、家族や友人と過ごします。
祝いの行事: 特別な礼拝(サラート・アル=イード)が行われ、家族や友人との食事やプレゼント交換が行われます。
伝統料理: イード・アル=フィトルには特別な伝統料理が用意されます。お菓子やデザート、特別なご馳走が並びます。
まとめ
ラマダンはブルネイにおいて、信仰、文化、コミュニティの絆を強める非常に重要な期間です。旅行者にとっても、この特別な期間中に現地の文化や習慣に触れることは貴重な体験となります。ラマダン中のブルネイ訪問を計画する際には、現地のエチケットや習慣を理解し、尊重することで、より豊かな旅の思い出を作ることができるでしょう。
参考文献
ブルネイ政府公式サイト
Lonely Planet - Brunei
TripAdvisor - Brunei Travel Tips
イスラム教の教義に関する文献